第79話:神々の饗宴、世界を揺らす聖夜の咆哮
ドームの熱気は、もはや測定不能な領域に達していました。 SSSランクの3人――宵闇堂魔、星野ルミ、るるな。彼らが並び立つだけでも奇跡でしたが、今夜のゲストリストは世界を絶句させました。
ステージの奈落からせり上がってきたのは、SSSランクと同列の権威を持つ、生ける伝説たち。
「……ハロー、ジャパン。今夜は最高の夜にするわ」 北欧の至宝、透き通るようなハイトーンで世界を支配する歌姫アイラ。 その隣では、ボロボロのストラトキャスターを構えたイギリスの怪鳥、ジョーが不敵に弦を弾く。さらに背後には、地響きのようなバスドラムを鳴らす日本の伝説、HIROYAが鎮座していました。
「……信じられない。僕たちが、あんな神様たちと同じステージの空気を吸ってるなんて」
Aランク以上の任意参加枠として、バックコーラスや楽器演奏でサポートに入るサトエンの面々。悠真もまた、ジョーのギターソロの間近で、その圧倒的な指捌きに目を奪われていました。
「悠真、見惚れている暇はない。……この『世界の鼓動』に遅れるな!」
宵闇堂魔の叱咤が飛ぶ。 アイラのクリスタルボイス、ジョーの泣きのギター、HIROYAの鉄壁のビート。そこにLink-V最強の3人の歌声が重なり、もはや会場は一つの巨大な生命体と化していました。
「……っ、エイトくん! これ、機材持つの!? 回線が!」 「……瑠々さん、いえ『るるな』様。……大丈夫です。今、僕が『8』として裏で全世界のサーバーを一時的にリンクさせ、この熱量を分散処理しています。……でも、僕の20回分の占いをすべて使い切っても……この『奇跡』を観測し続けるのは限界に近い……!」
仮面の裏で血の涙を流さんばかりの集中力を見せるエイト。 その予言通り、ライブは絶頂を迎えます。
アイラと星野ルミのダブルディーヴァが天を突き、ジョーと宵闇堂魔が背中合わせで火花を散らす。そしてセンターでは、悠真が、伝説のるるなと肩を並べてサビを歌い上げました。
「――跪きなさい! この音こそが、世界の真実よ!」
客席で見守る予定だった紫苑さえも、その熱量に耐えきれず、SSランクの誇りを胸にステージへ乱入。女王の命令口調が、世界最強の楽器たちを従え、コーラスとして重なります。
優美那は、もはやペンを動かすことさえ不敬であると感じ、涙を流しながらその光景を脳裏に刻んでいました。 (……SSS、世界の伝説、そして悠さん。……今、ここで世界が終わっても後悔はありません……。これが、音楽が到達しうる『解』……)
聖夜の空に、国境も次元も超えた咆哮が響き渡る。 サトエンは、この一夜をもって、単なるVtuber事務所から「世界のエンタメの総本山」へと、その名を轟かせたのでした。




