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『妹はミュート。推しは爆音。』  作者: 沼口ちるの


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第75話:群雄割拠、サトエン新時代の幕開け

サトエン事務所の掲示板。そこに映し出された最新のランキングリストを見て、スタッフたちの間にどよめきが走った。


「……信じられない。一期生全員が、この短期間でAランク、Bランクへ一斉昇格なんて」


その筆頭は、やはり十九条アリアだった。 神田シュウから授かった「夜の女王」という指針を忠実に守り、照明を落とした深夜の「懺悔室ライブ」が大ヒット。彼女の歌声は「浄化の闇」と称され、ついにAランクのトップ層に食い込んだ。


「……シュウ様の教えを、私が汚すわけにはいきませんから」 そう語る彼女の瞳には、かつての焦燥ではなく、確固たる自信が宿っていた。


他のメンバーも続く。 エイトの「運命ガチャ配信」で幸運を掴んだメンバーは、その勢いのままBランクへ昇格。シュウの助言通り「毒舌キャラ」に転向した新人や、不運を笑いに変えた雑談ライバーたちも、それぞれの「色」を見つけ出し、確実にリスナーの心を掴んでいった。


「……いいわね、この熱気」 瑠々が、賑わうラウンジを見渡して満足げに頷く。


「お兄ちゃん、これでサトエンは『悠真一強』の事務所から、層の厚い『スター軍団』になったわ。SSランクの紫苑さんを筆頭に、実力派のA・Bランクがこれだけ揃えば、他の事務所も手出しはできないわね」


悠真は、成長した新人たち一人ひとりとハイタッチを交わしていた。 「みんな、すごいよ! これでやっと、同じステージで歌えるね」


その様子を、仮面を被った「8」として部屋の隅で見ていたエイトが、ポツリと独り言を漏らす。


「……あ。……今、悠真さんの背後に……『一期生全員からの、巨大な愛の矢』が数千本降ってくるのが見えました。……これ、物理的な被害は出ないけど、悠真さんの精神力が削られるやつです……」


「……何それ!? 僕、みんなに嫌われるようなことした!?」


「いいえ。……好きすぎて、重すぎるんです」


その光景を、優美那が血走った目でスケッチブックに描き写す。 (……SSSの魔王、SSの女王、そして成長したAランクの戦士たちに囲まれる悠さん……。あぁ、これが『サトエン・ハーレム(男女混合)』の完成形……! 描ききれません、手が追いつきません……!)


サトエンは今、全てのランク層に隙のない布陣を敷き、Link-V界の勢力図を完全に塗り替えようとしていた。



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