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『妹はミュート。推しは爆音。』  作者: 沼口ちるの


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第64話:星を視る男、崩壊するクールビューティー

「さて……せっかくサトエンにお邪魔したんだ。お近づきの印に、未来のスターたちへ『指針』を授けようか」


神田シュウが優雅に指を鳴らした瞬間、サトエンのラウンジは彼のパーソナルカラーである神秘的な紫の空気に包まれました。


その時でした。 一期生の筆頭として、常に冷静沈着、悠真にすら不敵な態度を見せていた十九条アリアの様子が一変したのは。


「……っ、ぁ…………」


アリアの顔は、かつてないほど真っ赤に染まり、膝がガタガタと震えています。彼女の手には、いつの間にか神田シュウの公式グッズである「星の護符(1万2千円)」が握りしめられていました。


「アリアさん? 顔色がすごいことになってるけど……」 「悠真先輩、静かにしてください……! 今、尊さで心臓が止まりそうなんです……。シュウ様が……本物のシュウ様が、私のアバターを視界に入れている……。これ、実質、神託(結婚)ですよね……?」


アリアは、界隈でも有名な「シュウ信者」だったのです。


「……おや、君は僕のファンかな? 嬉しいね」 シュウが優雅に歩み寄り、アリアの瞳をじっと見つめました。アリアは「ひっ……!」という、およそBランク(現Aランク)とは思えない声を漏らして硬直します。


「十九条アリア。君は今、悠真くんの背中を追っているね。……でも、星は告げている。君が追うべきは『背中』ではなく、彼の『影』だ」


「……あ、影……(シュウ様の……美声が……鼓膜を愛している……)」


「そう。光を追えば、君は一生彼の二番手に甘んじる。けれど、彼の光が届かない『孤独』や『痛み』を歌に変えることができれば……君はサトエンの『夜の女王』になれる。……次の配信は、あえて照明を落としなさい。暗闇の中でこそ、君の本当の価値が輝く」


「っ……はい! シュウ様!! 地獄の底まで……いえ、暗闇の果てまで、そのお言葉を抱いて歌います!!」


アリアは、これまでの「打倒・悠真」の野心を一瞬でかなぐり捨て、シュウの神託を全うすることを誓いました。その姿は、もはやライバーではなく、一人の狂信的なオタクのそれでした。


「……アリアちゃん、キャラ崩壊がひどいわね」 瑠々が呆れたように鼻を鳴らします。


「……シュウさん、アリアをあんなにしちゃって……」 悠真が苦笑していると、シュウは次に弟子のエイトを悠真の前に出しました。


「さあエイト。修行の成果だ。悠真くんの近未来を視てごらん」


「……は、はい。……悠真さん……。……今夜、あなたの部屋の前に、『紫色の雷』と『桃色の嵐』が立ち込めています。……さらに、その後ろで『アリアさんがシュウ様の神託を録音した音源を聴きながら、般若のような顔で壁を叩いている』のが見えます……。悠真さん、今夜は、事務所の鍵を閉めて寝てください……」


「……エイトくん、後半の占いが怖すぎるんだけど!!」


神田シュウの神託は、一期生に新たな「覚悟」を与えると同時に、アリアという最強の戦力を「限界オタク」へと変貌させ、サトエンにさらなるカオスを招き入れたのでした。

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