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『妹はミュート。推しは爆音。』  作者: 沼口ちるの


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第6話:【放送事故】絶対にバレてはいけない裏側

「みんなー、今日のコラボ配信、楽しんでくれてるかなっ? るるなの『リアルお兄ちゃん(仮)』こと、悠くんでーす♡」


スマホの画面内、るるなのアバターが僕のアバターの肩を叩く。 アプリ『Link-V』のイベント『双子座の試練』。僕は瑠々の脅しに屈し、彼女の配信に「従順な兄」という設定でゲスト出演していた。


『悠くん、るるなちゃんに振り回されてて草』 『意外と声いいじゃん、もっと喋れよ』


コメント欄は、SSSランクの圧倒的な物量で流れていく。 僕は台本通り、必死に「妹想いの優しい兄」を演じていた。だが、限界は突然やってくる。


(ピコンッ)


手元の、僕が紫苑様の配信をチェックするために置いていた「私用スマホ」に通知が来た。 【紫苑様が配信を開始しました:『……少し、疲れちゃったわ』】


(し、紫苑様!? こんな時間に!? しかもタイトルが意味深すぎる……!)


僕はパニックになった。推しのピンチ(?)を放っておけるはずがない。 僕は反射的に、配信用のマイクをミュートにした……つもりだった。


「……あ、ちょっと……トイレ。ごめん、るるな」


「え、ちょっと悠くん!? ……もー、お兄ちゃんってば。みんな、少しだけ待っててね♡」


瑠々がリスナーに愛想を振りまく横で、僕はマイクが「生きて」いることに気づかず、私用スマホの音量を最大にしてしまった。


『……っ、もう。あんな男とペアなんて。……誰か、助けて……』


スピーカーから漏れ出す、紫苑様の切実な、吐息混じりの美声。 それが、るるなの数万人が見ている配信に、クリスタルクリアな音質で流れ込んだ。


「……はぁぁぁ紫苑様ぁ!! 大丈夫です、僕が、僕だけが今すぐギフト投げに行きますからねぇ!!」


僕の、魂からの叫び。 静まり返るコメント欄。 そして、隣に座る瑠々の顔が、みるみるうちに般若のごとく歪んでいく。


「……アンタ。今、なんて言った?」


「え? ……あ、あぁぁぁ!! ミュート、してな、い……!?」


「……。……。……」


瑠々は無言で立ち上がると、カメラの死角から僕の頭を掴み、無理やりマイクの前に引きずり出した。


「えー、みんな。……ごめんね? 今の、るるなの『本当の』お兄ちゃんだよ」


彼女はスマホを僕の顔の前に突き出し、氷のような声で続けた。


「……アンタたち、今の聞いた? 私がこんなに頑張ってるのに、このクズ兄貴は隣で別の女の配信見てデレデレしてたの。……ねえ、これ。拡散していいよ。炎上させて、このゴミを社会的に抹殺して」


その瞬間、コメント欄が爆発した。


『待って、今の地声!?』 『「死ねば」って言った!? るるなちゃん今「死ねば」って言った!?』 『実の兄貴かよwww 配信者同士だったのかよwww』


「るるなちゃん!? ちょ、キャラ! キャラ戻して!」 「うるさいっ!! アンタのせいで台無しよ! もういい、全部バラしてやる! このEランクの底辺配信者は、私の実の兄です!!」


翌朝。 SNSのトレンド1位には、僕のユーザー名が踊っていた。 【悲報:SSSランクるるな、実兄(Eランク)を配信中にガチトス】 【格差兄妹、放送事故の真相】


同接3人だった僕のチャンネルには、一晩で数万人の登録者が押し寄せていた。


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