表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『妹はミュート。推しは爆音。』  作者: 沼口ちるの


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/82

第56話:十九条アリアの逆襲、Bランクの咆哮

サトエン事務所の特設コントロールルーム。 鉄マネージャーがモニターを見つめ、静かに秒読みを開始する。 「――各プラットフォーム、接続確認。同時接続待機、すでに20万人。……十九条、準備はいいですね?」


「……ええ。数年間、ずっとこの瞬間を待っていたわ」


一期生の筆頭、十九条アリア。 彼女は実力がありながら、前の環境では「型」に嵌められ、Bランクの壁を越えられずにくすぶっていた。しかし、サトエンでの一ヶ月、悠真の背中を見、紫苑の指導を受け、彼女の歌は「優等生」から「表現者」へと変貌を遂げていた。


「――サトウ・エンターテインメント一期生、十九条アリア。……開演スタートよ」


配信が始まった瞬間、画面を埋め尽くしたのは、昨日までの「バトル」でサトエンに興味を持った膨大な数の新規リスナーだった。


『これがSSSランクが認めた新人か?』 『Bランクの経験者らしいけど、何が変わったんだ?』


冷ややかな視線が混ざる中、アリアが歌い出したのは、かつての彼女なら絶対に選ばなかった、激しく、感情を叩きつけるようなロックナンバーだった。


「――っ!!」


その声が響いた瞬間、コメント欄が止まった。 悠真から学んだ「泥臭い熱量」と、紫苑から盗んだ「冷徹な技巧」。それらがアリア本来のポテンシャルと混ざり合い、爆発的なエネルギーとなってリスナーの耳を貫く。


「……信じられない。あの子、一ヶ月前とは別人ね」 モニタリングしていた紫苑が、満足げに口角を上げる。


「うん。……自分の『殻』を、自分でぶち破ったんだ」 悠真もまた、その歌声に鳥肌を立てていた。


アリアに続く他の経験者組も、それぞれが「くすぶっていた理由」を過去にするような、圧倒的なパフォーマンスを見せていく。 ある者は沈黙を武器にし、ある者は狂気的な演技力で、かつてのファンさえも驚愕させる「新生」の姿を見せつけた。


そして、その配信の最後。アリアは真っ直ぐにカメラを見据えて言い放った。


「私は今まで、Bランクで終わる人間だと思っていました。……でも、この事務所には、ランクなんて数字を笑い飛ばす怪物が多すぎる。……私も、そこへ行きます。……悠真先輩、覚悟しておいてくださいね」


『うおおおお! アリア、カッコよすぎるだろ!』 『Bランクの意地を見た……! これがサトエンか!』


初日の同時接続者数は、新人としては異例の全メンバー平均5万人超え。 特にアリアは、デビュー配信にしてAランクへの「昇格圏内」を伺うほどの圧倒的なロケットスタートを決めた。


「……鉄さん、これ……」 「ええ。サトエンの戦略的勝利です。……くすぶっていた才能を、正しい熱量で焼いた結果ですよ」


こうして、10人のヒヨコたちは、一晩にして配信界を揺るがす「新星」へと進化した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ