表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『妹はミュート。推しは爆音。』  作者: 沼口ちるの


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/82

第51話:ダブル・インパクト、女王たちの移籍騒動

「……代表、至急、防弾ガラスの手配を。……いえ、それよりも精神安定剤が必要かもしれません」


阿久津マネージャーの眼鏡が、冷や汗で曇っていた。 サトエンの会議室。瑠々社長、そして僕の前に、業界を震撼させる二通の書類が叩きつけられた。


一通は、業界最大手『スターダスト・V』からの退所及び、移籍合意書。 【優美那:Sランク昇格を機に、スターダストを円満退社。サトエンへの合流を希望】


もう一通は、歌い手特化の老舗『ノワール・レコード』からの電撃移籍届。 【紫苑:Sランクとして、サトエンへの移籍を決定。既に関係各所への根回し済み】


「……ちょっと、嘘でしょ!?」 瑠々の叫びが事務所の壁を震わせた。


「優美那ちゃん、あの大手のスターダストを辞めたの!? 契約金だって凄まじい額だったはずよ!? 紫苑さんも、あんなに大切にされてたノワールを捨ててくるなんて……!」


「……理由は、極めてシンプルです」 鉄マネージャーが、胃を押さえながら二人の移籍会見(予定)の資料を広げた。 「お二人とも、『悠の隣で歌うこと以上に、価値のある報酬はない』と断言しております。……スターダストの社長は泣いていたそうですよ」


その時、会議室のドアが、逃げ場のないプレッシャーと共に開いた。


「……あら、優美那。大手の過保護な環境を捨ててまで、この『砂糖小屋』に身を投じるなんて。……ようやく私と同じ土俵に上がってきたようね」 紫苑様が、Sランクの絶対的な威圧感を纏って入ってくる。


「……紫苑さんこそ。孤高の歌い手でいるより、悠さんの『隣』にいる方が大事だと気づいたんですね。私は、もう一歩も引きません」 優美那もまた、大手の看板を脱ぎ捨て、一人の表現者として不敵な笑みを浮かべていた。


「……あ、あの……二人とも、なんでそんな無茶を……」


僕の問いかけに、二人は同時に僕を指さした。


「「貴方が、私たちの『居場所』だからよ(です)!!」」


「お兄ちゃん、これもう収穫祭どころの騒ぎじゃないわよ!」 瑠々が僕の肩を掴んで揺さぶる。 「Sランク二人に、SSSランクの私。……サトエン、設立一ヶ月で、業界のバランスを破壊する『世界最強の火薬庫』になっちゃったじゃない!!」


結城マネージャーは各メディアからの問い合わせ電話でパンクし、阿久津マネージャーは「Sランク二人の違約金と契約金の調整」で、もはや笑うしかない状態だ。


「……悠、早く私のデスクを用意しなさい。貴方の隣にね」 「悠さん、私も……今日から、ずっと一緒ですね」


僕の平和なAランクライフは、Sランクという二つの巨大な輝きに呑み込まれ、全く新しい、そして最も美しく激しい「混沌」へと突入したのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ