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『妹はミュート。推しは爆音。』  作者: 沼口ちるの


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第33話:黄金の門番、Bランク三羽烏

「……ついに来たか。Bランクの『最果て』に」


僕の目の前のランキング表には、三人の名前が刻まれている。 彼らは【Bランク・プラチナホルダー】。 実力はAランク級でありながら、昇格後の厳しいノルマや競争を嫌い、あえてBランクのトップに居座り続けて甘い汁を吸う、この階層の「主」たちだ。


彼らを倒し、そのスコアを奪い取らなければ、Aランクへの道は開かれない。


「……悠真くん、だったかな? 最近いい気になってるみたいだけど、ここは僕たちが作った『庭』なんだ。新入りの君には、少しお灸を据えないとね」


代表して連絡を寄越したのは、Bランク1位の戦略家、カイジ(仮名)。 彼は、歌・ゲーム・雑談、すべてにおいて「リスナーの搾り取り方」を知り尽くした、数字の化け物だ。


「……僕を、ただの新入りだと思わないでください。……僕は、紫苑様の隣に行く。そのためなら、あんたたちが作った『庭』ごと、歌で焼き払ってやる」


「ははっ、威勢がいいね。じゃあ、今週末。三日間の『スコア・レイド』で勝負だ。僕たち三人と同時に配信して、誰が一番多くのギフトを稼げるか。……負けたら、君は二度とLink-Vで歌えなくなるけど、いいかな?」


極悪な条件。けれど、ここで引けば僕は一生、白雪さんの「家畜」のまま終わる。


その夜、佐藤家のリビング。 「……三羽烏ね。あの人たち、リスナーの『煽り方』がプロ級よ」 瑠々が真剣な表情でタブレットを操作する。 「兄貴、今のままの歌じゃ勝てない。あいつらは『音楽』じゃなくて『ギャンブル』を売ってるんだから。……勝つには、あいつらの計算を狂わせる『バグ』が必要よ」


「バグ……?」


「そう。……紫苑さんに相談しなさい。あの人なら、あいつらを黙らせる『劇薬』を知ってるはずよ」


翌日、バイト先。 白雪さんは、僕が持ち込んだ三羽烏の資料を一瞥し、冷たく言い放った。


「……あんなゴミ掃除に、私の手を貸せと? 恥を知りなさい」


「……。……それでも、勝ちたいんです。彼らを倒して、胸を張って紫苑様のいるAランクに行きたい!」


僕の必死の訴えに、白雪さんはため息をつき、本棚の奥から一枚の古い楽譜を取り出した。


「……いいわ。あいつらが『計算』で攻めてくるなら、貴方は『本能』で答えなさい。……これから三日間、一睡もさせないわよ。……Aランクへ行く覚悟、見せなさい」


ついに始まった、Bランク最終決戦。 計算と策略の三羽烏に対し、僕は白雪さんから授かった「劇薬」を胸に、戦場へと飛び込んだ。



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