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『妹はミュート。推しは爆音。』  作者: 沼口ちるの


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19/82

第19話:Cランク。ここからが本当の地獄。

「――おめでとうございます。ランク集計の結果、悠さんのランクが【C】に更新されました」


スマホの画面に踊る、銀色の『C』の文字。 Dランクから一ヶ月。あの紫苑様とのデュエット動画『家畜の円舞曲ワルツ』が、僕の運命を劇的に変えた。


再生回数は投稿から一週間で100万回を突破。 「紫苑様の隣で歌う、あの放送事故の兄貴は何者だ?」という好奇心は、動画のクオリティによって「実力派の新人」という評価に上書きされた。


「……上がった。……ついに、Cランクだ」


時給はさらに上がり、ついにアルバイトのシフトを減らせるくらいの収益が見込めるようになった。 だが、喜びも束の間、コメント欄の雰囲気は以前とは一変していた。


『Cランク昇格おめ! でもここからが本番だぞ』 『Cランクからは「おすすめ」のアルゴリズムが厳しくなるんだよな』 『上のランクの奴らから「新参が調子乗るな」って叩かれる時期か』


そう。Dランクまでは「頑張る新人」として温かく見守られていたが、Cランクは配信者全体の「上位20%」に入る領域。 ここから上は、本気でトップを目指すライバルたちが、椅子取りゲームのように視聴者の時間を奪い合う「修羅の道」なのだ。


「……悠、浮かれてる暇はないわよ」


リビングでタブレットを見ていた瑠々が、冷たく言い放った。


「Cランクになったってことは、公式の『月間対抗イベント』への参加権を得たってこと。……つまり、これからは実力で他のCランクやBランクを蹴落としていかなきゃならないの」


「……蹴落とす。……でも、僕はただ、紫苑様のために……」


「甘いわね。アンタが上がれば、誰かが下がる。それがこのアプリのルール。……見てなさい、早速『洗礼』が来るわよ」


瑠々の予言は、その夜の配信で的中した。 僕の枠に、聞き覚えのある不快な声が「コラボ凸」として割り込んできたのだ。


「よお、悠! Cランク昇格おめでとう。……でも、紫苑ちゃんを使って売名した分際で、調子に乗ってると痛い目見るぜ?」


画面に現れたのは、先日僕が引退に追い込んだ……はずのケビンの「取り巻き」を自称するBランク配信者だった。 背後には、彼を支持するアンチ層が雪崩れ込んでくる。


「……。……調子に乗ってるつもりはありません。僕はただ、自分の歌を届けているだけです」


「ハッ! 歌ぁ? 紫苑のコネで回した再生数だろ? 来週の『新人王決定イベント』、震えて待ってろよ。僕らが完膚なきまでに叩き潰してやるから」


一方的な宣戦布告。 Cランクという壁を越えた瞬間、僕は「家畜」から「狩られる対象」へと変わったのだ。


(……上等だ。紫苑様に、恥ずかしい姿は見せられない)


僕は拳を握りしめた。 翌日、いつもの「本屋(ボイトレ会場)」で白雪さんは、僕の顔を見るなり短く告げた。


「……ようやく、戦場に立ったわね。……いい? 負けたら、今度こそ本当に家畜の首輪を外して、二度と私の前に現れないこと。分かったわね?」


厳しい言葉。けれど、その瞳は「さあ、私に付いてきなさい」と燃えていた。

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