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『妹はミュート。推しは爆音。』  作者: 沼口ちるの


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第12話:格差兄妹の「公開処刑」

その夜、紫苑様の公式配信。 隣には、相変わらず「爽やかイケメン」を装うAランク配信者・ケビンが座っていた。


「さあみんな! 今夜も紫苑ちゃんと僕のラブラブ配信、盛り上がっていこうか! ほら紫苑ちゃん、もっと笑って?」


カメラの死角で、ケビンが白雪さんの腕を強く掴むのが見えた。 紫苑様は唇を噛み、無理に口角を上げようとする――。


その時、配信画面に「乱入者」の通知が爆音で鳴り響いた。


(ピコンッ!!) 【SSSランク「るるな」& Eランク「悠」が、強制コラボ申請を送信しました】


「な、なんだ!? 配信ジャック!?」 ケビンが狼狽える中、画面が四分割され、僕と瑠々のアバターが割り込む。


「やっほー、みんな! るるなだよっ♡ 今日はね、私のバカな兄貴がどうしても『本物の気高さ』を教わりたいって言うから、無理やりお邪魔しちゃった!」


「紫苑様! 先日は僕の通知音(家畜ボイス)でご迷惑を! そのお詫びに、今夜は僕が……ケビンさん、貴方と『ギフト対決』をしたいんです!」


コメント欄は一気に最高潮に達した。 『伝説のクズ兄貴キター!』『SSSのるるなも一緒かよw』『ケビン対悠!? 勝負にならねえだろww』


「ははっ! Eランクが僕にギフト勝負? 笑わせるなよ。負けたらどうするんだ?」


ケビンが鼻で笑う。当然だ。AランクとEランクでは戦力差が違いすぎる。 だが、これが僕の狙いだった。


「僕が負けたら、僕のこの『5万人のフォロワー』のアカウント、今すぐ消去して引退します。……でも、もし僕が勝ったら。ケビンさん、貴方が裏で紫苑様に送った『脅迫じみた指示のチャット画面』、ここで全部公開してください」


ケビンの顔が、一瞬で土気色になった。


「な、何を……そんなものあるわけ――」


「あるわよ。私、さっきアンタの端末ハッキング……じゃなくて、ちょっと『お掃除』のついでに覗いちゃった♡」


瑠々が不敵に微笑む。 実は公式特番の際、瑠々は持ち前の機転でケビンの端末から証拠のスクショを確保していたのだ。


「さあ、勝負だケビン! 僕の後ろには、僕みたいな『踏まれたいドM』が5万人ついてるんだよ!!」


僕が叫ぶと同時に、紫苑様が静かに口を開いた。


「……悠。貴方、本当に救いようのない家畜ね。……でも、その泥臭さだけは認めてあげるわ。……行きなさい!」


その瞬間、紫苑様のリスナーと、僕の野次馬リスナー、そして瑠々の信者たちが一体となった。 『家畜兵団、突撃だあああ!』『紫苑様を解放しろ!』『10ポイントギフトの雨を降らせろ!!』


単価は低い。だが、5万人の「数」がケビンの「質」を圧倒していく。 画面を埋め尽くす安価なギフトの弾幕が、ケビンの高額ギフトを飲み込んでいく。


「な、なんだこれ……! 止まれ! 止まれよおおお!!」


結果は、僕の圧勝。 ケビンのプライドは粉砕され、瑠々によって「裏の指示」が次々と晒されていく。 『うわ、ケビン最低だな』『紫苑様、今までこんなのに耐えてたのか……』


ケビンの同接は激減し、逆に紫苑様の画面には、僕を含めた新規の「ドM予備軍」からの熱狂的な支持が爆発した。


配信終了後。 画面が暗くなる直前、紫苑様が僕だけに聞こえるような小さな声で囁いた。


「……ありがと。私の、一番の……ファン」



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