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言い訳ヒーローだってマン!  作者: 葉加多錬一朗


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2/2

どうしよう、どうしよう、

 キンコンカンコンと始業のチャイムが鳴る。オフィスに居る皆が立ち上がり1番奥の部長の席へ体を向ける。

 カクカクシカジカの伝達事項を僕たちに伝え終わると、いつものアレが始まる。

「よっしゃー今日もしっかり声出していくぞ!」

そこからは「いらっしゃいませ」だとか「おはようございます」とか「ありがとうございます」といういわゆる挨拶というやつを腹の底から捻り出す。必死に声を出しながら必死に頭を下げる。新卒であるので他の先輩よりも全力で挨拶を捻り出して頭をさげる。部長から見ればヘビメタバンドのライブさながらの光景だろう。

 それが終わるといつもの仕事だ。ひたすらやってくる書類や資料を処理して印鑑を押して課長に回す。もしその間に電話が鳴れば他の誰よりも先に取る。昼休憩が来るまではこれをひたすら続けるのでどんなに忙しく体がだるくなったりウトウトすることもない。疲れる暇も眠くなる暇もないからだ。

 昼休憩が終わった後は定時が来るまで午前中に引き続き、書類!資料!印鑑!電話! ちなみに、昨今の世の中の情勢もあり残業は基本ない。というよりも、残業代をカットするのが目的だろう。

 そのため、1時間当たりの仕事の量が半端ないことになるのだ。

「ちょっと飯田くん、この書類とこの書類の内容がごちゃごちゃになってるけど」

課長がムッとした表情で近づいてくる。

「す、すみません…」

「これの修正は今日中に。ああ、僕この後取引先のとこ行ってくるから分からないことあったら他の誰かに聞いといて」

 現在の時刻は13時30分、定時まであと4時間。新規案件の協議が14時半から15時までで、先輩から16時までに必ず終わらせておいてと言われた新製品の検品と大量のFAXの送信がある。最悪同期のやつに半分か3割仕事を投げることもできるが、そいつもそいつで忙しい上に部署が異なるため製品の検品ができない。16時以降にそれをするとなるとそのときにやろうと思っていた他の仕事が後回しになり、明日の朝また新しく仕事を任された時にどんどん仕事が溜まって電話対応が困難になってしまう。かといって協議が始まるまでにやるにしても、大量の資料の印刷や電話の対応が難しくなる。その上同じ部署の先輩が全員出張や訪問客の対応で席を外してしまうので、わからないことが出てきた時に相談できる相手が居なくなるのだ。

 困った、でも断れない。マズい何か仕事を後回しにするかどうにかして定時以降まで会社に残らして貰うにも…

 どうしようどうしようという思考が頭を埋め尽くしていく。ダメだどうにもならない、もうここは根性で乗り切ろう……そう思ったときだった。

「だ、だって!」

(なんで!?マズイこんなこと言うともっとマズイ!)

「飯田くん、何か言いたいのか?」

「いやだって……えっと、じゃなくて…その……」

「そ、その?」

課長は首を傾げて固まっている。

「あ、あの!このあと協議がありまして…あと、部署の先輩が全員外出だったりで居なくなるので……」

「そ、そうか……まあ今日中じゃなくても明日の朝とかでいいから……やっといてね……」

課長は何かオドオドした様子でその場を去って行った。

 その後無事に協議や諸々の仕事が終わり定時で帰宅した。書類の修正と、だってと言ったもどかしさを残して。

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