僕達のせいだ
女「ここはどこ? 真っ白で何も無い空間」
男「どこだろう」
女「あなたは誰?」
男「僕を覚えてないんだね」
女「ごめんなさい。私自身のこともよく覚えてない」
男「これから思い出すよ。下を見てごらん」
女「食パンが落ちてる」
男「そうだね。拾ってみて」
女「わかった。あ、いちごジャムが付いてたんだね。地面にジャムが付いちゃってる」
男「それはジャムじゃないよ。血だよ」
女「なんで食パンに血が付いてるの?」
男「誰の血だと思う?」
女「分からない。あなたの血?」
男「違う」
女「私の血?」
男「それも違う。亡くなった子の血だよ」
女「亡くなった子? それは家族? それとも友達?」
男「家族だよ。僕と君の」
女「私とあなたは家族だったんだね。あなたはお兄ちゃん? それとも弟?」
男「兄でも弟でもない。君の愛する人だよ」
女「私はあなたを愛していたんだね。一緒の大学に行く為に一緒に勉強したね」
男「思い出してきたね」
女「うん。でも、この血が誰のか分からない」
男「君の子の血だよ」
女「そういえばそうだったね。私は妊娠してた。でも、まだお腹の中にいるはずだよ」
男「もう居ない。僕と君は全てが上手くいってた。あの大学に進めれば互いの人生は良い方向に進んでた」
女「もう居ないんだ。上手くいってる時に限って悪い事が起きるよね」
男「意外とそうでもない。なるべくしてなったんだよ」
女「お互い欲に負けちゃったんだよね。運が悪いとかじゃない。私達のせいであの子はこの世に生まれる前に堕ちた」
男「君は心と体に傷を負った。僕のせいで。僕がしっかりしていたならこんな事にはならなかった」
女「私達のせい。あなただけじゃない」
男「もう起きる時間だよ。」
医者「あなたの子は亡くなりました。あなた自身の体も出血が酷く輸血が必要になりました。あなたの彼氏が血液を提供してくれたおかげで助かりました」
男「おかえり。2人で頑張って生きよう。愛してる」
女「私も愛してる」