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第1話 私の好きな眼鏡君たち

 

 私、人見(ひとみ)キラメは眼鏡男子が好きだ。

 私自身は眼鏡をかけていない。しかし、昔から眼鏡男子が好きだ。

 もうそろそろ三十路が見えてる独身OLであるが、眼鏡キャラには目がない。メガネだけに(ry


 漫画でもアニメでもドラマでもゲームでも、まず最初に自分好みの眼鏡男子がいるかどうかを無意識に確認してしまう。

 よくチェックするのは、現代や未来を舞台にした作品だ。理由は当然、眼鏡君が登場する確率が段違いだからである。

 流行りの異世界ファンタジーは、全くとは言わないが眼鏡君が出てくる率はどうしてもやや低くなるのが困りものだ。歴史系ともなるとさらに下がるし、特に刀を振るって敵を倒す系のジャンルはなかなか興味を惹かれない。よく流行るけどね。


 好みドストライクなのが制服姿、もしくはスーツ姿の眼鏡君なのだが――

 異世界ものだと、その設定だけでどうやっても特異な存在となってしまうのがまた非常に困る。

 例え異世界転生したとしてもスーツも制服も脱いでほしくないし、眼鏡だって外してほしくないのだ。

 ヒロインが異世界転生しても、セーラー服のままでいてほしい! 制服のままで電撃魔法やら触手やらを喰らってほしい! と思う男子は多かろう! それと同じ!!



 眼鏡男子と言っても千差万別。

 人気なイケメン眼鏡キャラとしてよくあるパターンが、釣り目で少々神経質そうな秀才タイプ。

 その場合オールバックというタイプも多いし、性格がかなり尖っている場合も多く、頭脳派なのに必要以上にガタイが良い場合も多い。

 ――個人的にはいくら眼鏡でも、そういうタイプは苦手。

 一見優しそうに見えて、実は凶悪酷薄クズというパターンもどれほどあったか。

 そういうパターンも刺さる時は刺さるものだけど、私が一番好きなのは――


 眼鏡だけど、目自体はどちらかといえば垂れ目な方がいい。瞳が大きければなおイイ。

 性格はやや気弱でも、真面目で芯が強くて優しいタイプ。

 頭が良いのが望ましいが、別にそうでなくとも構わない。

 多少地味でもナヨナヨでもぽっちゃりでも構わない。むしろ肩幅ありすぎたり背が高すぎたりは引く。


 これまで様々な眼鏡男子を好きになったが、私が好きになったのは圧倒的に後者のタイプ。

 いわば優男系眼鏡君とでもいうべきか。

 そういう、一見戦いに向かなさそうな眼鏡君たちが懸命にバトルするっていうパターンが、私はたまらなく好きだったりする。


 しかしアニメや漫画で描かれるそういう眼鏡キャラは、概してオタクと呼ばれるパターンが多い。バトルものだと最前線では戦わず、オペレーターなどのサポートに徹し、目立たないキャラが殆ど。


 何といっても最大の問題が



 ――他のキャラと比べ、何故か人気がない。

 主人公との顔面格差・容姿格差はほぼないに等しいのに。

 むしろヒロインより断然可愛いケースも多いのに、だ。



 その為か、私の好きな眼鏡君たちは作品内外問わず、酷い扱いをされることが非常に多い。


 無謀にもヒロインに恋し、主役カップルに挟まるかませ犬扱いは当たり前。

 ヒロインの彼氏もしくは婚約者という栄誉ある立ち位置を与えられた場合でも、主人公に惨たらしくヒロインを奪われるのは最初から目に見えているし実際そうなる。

 色恋沙汰に関係せずに済んだ場合でも、しょっちゅう謎の童〇弄りをされたりおかしな性癖をつけられたり。

 そうでなくても常に弱虫泣き虫足手まとい扱いされ、無理矢理前線に出ようとしてはドジの役立たずっぷりを曝したり。

 最悪、敵に精神汚染喰らって闇落ちなんて場合もありうる。

 ついでに、可愛らしかった顔面が悪魔の如く醜悪化。小学生の頃にコレを経験した私は数日熱でうなされた。


 さらに言うと――

 そういう扱い()()されなかった場合、容赦なく死亡退場させられるケースも圧倒的。

 死亡まで行かずとも、いつの間にか物語からフェードアウトして空気キャラになっていたなんてパターンもやたら多い。


 非常に珍しく、大どんでん返しの一発逆転で、眼鏡君が人気ヒロインとゴールした!というケースがあっても

「モブ眼鏡にヒロインが取られた!」などと罵倒されることの方が多い。

 作品の展開から考えるとそこまで不自然ではないにも関わらず、である。貴様らが彼の何を分かってるっていうんじゃい!!



 ダメ押しついでに言うと、そういう私好みの『優男系眼鏡君』がよく登場するのは決まって、男性向け作品だったりする。

 女性向け作品だと全く気配もなかったり、出ていても殆ど目立たないままフェードアウトすることが多い。


 たまに、すごく刺さる眼鏡君がいる!と思っても――

 その作品はいわゆる美少女動物園ハーレムもので、主人公の友人AとかBとかの存在で登場し、モテまくる主人公を羨んだり妬んだりするだけの出番しか与えられず……なんてこともしょっちゅう。

 ヒロインレースに敗れた女子キャラとイイ感じになり最終的にくっつくならまだいい方で、それすらなく空気で終わるパターンも多数。



 だから、グッズなんて出ないのが当たり前。

 メインキャラ殆どが揃っている公式イラストなどで、何故かハブられるのも日常茶飯事。

 中の人のイベントやラジオ出演がたまにあっても、キャラの話題になることは少ない。何故ならろくに描かれない眼鏡君たちも多いから!



 ――どうして、私の好きな眼鏡君は、こうも不遇な扱いをされるのだろう?

 常日頃からそんな風に私は、不満たらたらで過ごしてきた。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 眼鏡男子に対する視点人物の思いの丈が余す所なく表現されているので、「この人は本当に眼鏡男子が好きなんだなぁ…」と、その情熱が伝わってきますね。 [一言] 確かに歴史ジャンルと眼鏡キャラは相…
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