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デウスエクスマキナ、機械仕掛けの神、サーガを強制的に終わらせる神、終焉の神、因果を絶つ神、解決の神。
色々呼ばれる神だが、その神は比較的新しい神であり、機械仕掛け、燃料又は、動力を使い、物体を作用させ人知で、発展させていく古代的且つ退廃的思想から生み出される形態。
神とは呼ばず、一部の主教から嫌われ、悪魔崇拝、邪神、邪教等と詰られるも、機械と魔力との融合で使われ大衆に広く知られ使われている。
俺はその日、事故を起こした。
和歌山県某所、バイクでカッ飛んでいた。
大型SSの1000リッター。時速160kmまだまだ加速しようとアクセルを開ける。
どんどんと出てくるアドレナリン。
景色が流れているのが徐々に点になってくる。
そして一気に減速し、カーブを曲がる。
そして、長い下りの直線。
立ち上がりで思いっきり捻り、暴れるバイクを押さえつけ加速する。
そこで事故を起こした。
事故を起こしたバイクか、オイルを垂れ流している車か何か。
路面に油が滲んでおり、思いっきり飛ばされた。
メーターは見ていなかった。
やばいと思った時はガードレールに全力でぶつかり、そのバイクも主を追いかけ、伸し掛かった。
痛みもなく、意識も無いと思うが、走馬灯だろうか、何故かガードレールとサンドイッチになっている自分を外側から見ている。
「死んだんか俺....ぺったんこやんけどないしょうか どうしょうもないな、ヘルメットもめっちゃ撓んでるやん何キロ出してんねんこの阿保」
ぶつぶつと自分に文句を言いつつ、これから俺の体を拾うであろう人達や、家族に猛省する。
止まっているような速度をじっと見ていると、空の方へ一瞬にして引っ張られどんどん上がっていく。
内心地獄に行ったらどうしようとか考えていたものの、天に引っ張られるという事は天国だろうと思っていた。
するすると引っ張られ成層圏を過ぎ、太陽が見え気が付けば太陽が過ぎ、そのまままだ引っ張られる。
ここでふと考える、もしかしたら、このまま飛びっぱなしって事はないだろうか、それは地獄だ、せめて意識を手放して飛んでいきたい。
しかしどんどんと加速し、光が横に伸び、視界が明るくなり一瞬光が瞬いたかと思うと光玉が浮かんでいた。
「....」
「....」
「やあ」
「はい」
この光ってる玉は閻魔様か?
えらく味気ないと思いつつ話しかける。
「閻魔様ですか?」
「閻魔? いえ、機械神デウス・エクス・マキナです」
「そうですか、順番待ちって事ですか?」
「順番ですか?」
「俺、死んでいますよね?」
そう言うと光玉が明暗する。
「いえ、貴方はまだ死んでいません」
「死んでないんですか? よっしゃ!、って、全然ようない、背骨バキバキ肋骨ぺったん手足なんかイカやで...じゃないですか!」
「そうですね、まだ、死んでいないだけです、私の眷属になれば生きる事ができますがどうしますか?」
「はぁ、眷属ですか?」
「ええ、眷属です、今の肉体を私が再構築し、私の眷属を増やして欲しいのです」
「断ったら死ぬんですよね?」
「ええ、貴方は死にます、転生もできません」
「転生ってなぜなんですか?」
「こちらの世界に来てしまったので、魂が合わないのです」
「そんなんズルいやん戻してや俺のおった地球に」
「なぜ何ですか? 意識はそのまま消え無に帰すだけですが、それと私へのメリットがありません」
「この神ほんま! デウス・エクス・マキナってそもそもこっちの神やんけ、あーもう」
「ええ、私はそちらで生まれ此方へ来た神です、で、眷属になりますか?」
「なんで...なぜ、貴方様は眷属を求められるのですか?」
「私はこの世界では祀られていません、信徒が全く居ないのです」
「えぇ、私は、ええ私は取り合えず眷属になるって方向でおいておいてほしいのですが、なぜこの世界で眷属または信徒を探さなかったのですか?」
「私はこの世界では邪神と呼ばれ蔑まれています」
「邪神ねぇ...何かしら一人くらい居ないのですか? 枕元に立ってアンタが主人公言うたらだめなんですか?」
「それをしてもいいのですが、この世界では皆宗教に入っています」
「そんなん言うたら....いえ、私も仏教に入っていますがどうされるのですか?」
「そちらの神とは取引させていただきました、丁度いい罰当たりがバイクで事故を起こしたと」
「そんなん罰当たりって他にも絶対その山で事故ってるって俺だけちゃうって」
「ですので丁度いいと」
「思い立ったら即行動かよ、でも俺馬鹿で阿保ですよ持ってる資格も乙四くらいで」
「ですので丁度いい、天才すぎると生態系が壊れるくらいこちらの世界が変えられたり無能すぎるとすぐに死んでしまいます」
「そんなんもうちょっと、そう自衛隊員とかどっかの軍人とかいますやん絶対俺より生存能力が有るって」
「ですので、丁度いいと」
「くれへんかってんな、良い悪い別にして、俺が一番地球で要らん子やってんな! 親聞いたら泣くぞ」
ため息を吐きつつ被っていたヘルメットを脱ぎタバコを取り出して吸う。
「まだ諦めきられへんけど、わかりました、ええ、分かりました」
「では転生の」
「まてまて、タバコ吸うぐらいの時間頂戴、転生言ってもどうするのですか?」
「どうするとは?」
「体は俺のまんまやったらすぐ死ぬで...なのでやっぱりちょっとは強く」
「分かっています、ですのであなたの乗っていた乗り物を体と融合」
「そんなん人ちゃうやんなに? 俺人間やめんの? 俺それやったらトラックとかにしたら良かった」
「トラックとは分かりませんが、人体の部分はほぼ残りません」
「おま、そんなん! はぁ? 子ども欲しなったらどうすんねん宦官ちゃうぞ」
「子どもですか? ではその時祈って下さい、相手の了承を経てる場合のみ子どもができます」
「この糞神! おい! 過程を楽しむのが人間や俺完璧機械やんけ! 祈るってなんやねん今の子どもみんな知ってるぞ! コウノトリでも来るんか!」
「人の部分を作ると弱点になってしまい」
「何が弱点や! 頭だけ機械とかも有るやんけ! いやいや、頭機械も嫌やわなるべく人間にして」
「では.....」
「折衷案や、神様は俺を全身機械にして、庇護を全力で与えたい、俺はなるべく人間でおりたい」
「んで、ここの世界には、レベルアップではないにしろ、素質があればある程度強くもなれると、そして俺は一応、個々の世界ではそこそこ強いどのくらいかと言うと、200馬力ちょい分からんわ、銃とか大砲も存在するが、魔力という力を使って戦うと、俺の魔力25リッター意味が分からんガソリン駆動ちゃうぞ」
頭を掻きながらメモを読む。
「で、折衷案やけど、魔力を使うときにこの世界の魔法、衣纏いで背中と胸部及び下半身からも装甲を出し25L分動けるようにすると、手の数も足の数も増やさずバイクのように高速移動もできるようにはできないか、分かりました、ほんとに? はいんで、食事も人と同じ、で、ガソリンの代わりにエーテルって言う魔力補充の液体って、これ体に毒ないん? 死ねへん? ジエチルエーテルと違う? あれ飲めるらしいで飲んだことないけどそれで...」
「だいたい要望言ったな」
「分かりました、では転生させます、かなり痛みを伴いますが我慢してください」
止める間もなく体が発光し全身に激痛いや焼けた鉄を押し当てられる痛みで悶える。
「転生した直後は力も無く本調子とは程遠いです、貴方の力はいずれ人々に羨まられ果てに現人神と呼ばれる相応しい人になります、私の初の息子よ、かわいい息子よ、私を邪神と呼ぶ神々よ、私は神ぞ機械仕掛けの神ぞ、息子が信徒を殺すか、手を取り生きるか、ああ楽しみや、願わくば幸せを」
一つの雷鳴が一瞬世界を跨いだ。
光は果ての地と呼ばれる所に落ち爆炎が包む。
そこに現れたのは現人神、太郎エクスマキナ。
いや、エクスマキナ太郎か?