2-5.Let'study!
遂にこの日がやってきた。シャルネさんが家に来る日!
教育係になるかはまだ、決まっていないが…。
父さんと応接室でシャルネさんの到着を待つ。
「そういえば、どんな人なの?写真とか無かったけど…。」
「それは、父さんも見たことないから分からないな…。
実は父さんも結構緊張してるんだぞ…。
どんなひとか分からないし、なんてったって宮廷魔法師だからな。」
そう言う父さんの手は確かに微かに震えていた。
父さんでも緊張するときがあるんだな…。
その後、暫く無言の空間が続く。
しかし、それも直ぐに破られる。…コンコンコン。
「旦那様。シャルネ様をお連れしました。」
父さんはさっきまでの緊張を吹き飛ばし、
「お通ししてくれ。」
何時も通りの声でそう言った。流石、父さんだ。切り替えが早いな…。
父さんの声の後、一人の男性が入ってくる。
「今回は突然の手紙に返信してくださり、ありがとうございます!
まさか、応じてくださるとは…
あぁ、私、シャルネと申します。今回は突然のお手紙に返信をくださり、
誠にありがとうございます!」
第一印象は__なにこの美形!めっちゃ格好いい人だな!である。
ショートカットの黒髪で、体格も良い。
「本日はご足労、感謝する。………。
まぁ、本題に入りましょう。どうぞ、おかけください。」
父さんがそう言う。
「では……単刀直入に聞きますとメティスの教育係になりたいとのことだが、
一体何故宮廷魔法師の方が?」
父さん、ストレートに聞くんだな。まぁ、それを知らないと話が進まないしな。
「あぁ!伝え忘れていました、すみません!
メティス様の教育係になりたいというのは、実は私、御披露目会にて
メティス様を拝見させていただいたのですが、
素晴らしい挨拶に感動してしまい、是非ともこの方に
私が研究してきたことを伝え、お教えしたいと思いまして、
今回このような手紙を送らせていただいたのです。」
「そうだったのか。あぁ、改めて、こちらが我が息子のメティスだ。」
_____。
「では、この家に住み込みということでよかったかな。
これから、よろしく頼む。」
「はい!精一杯、頑張らせていただきます!」
「では、メティスの部屋を案内しよう。メティス、ついていきなさい。」
その後、リミさんと三人で自分の部屋まで戻った。
「では、ごゆっくり。」
部屋にシャルネさんと二人きりになる。………。むぐぅ。
会話しないとだよな…でも、会話って何を話せば…。
「あぁ、すみません!何分、緊張してしまって…。
では、私から改めて自己紹介を。私、シャルネと申します。
メティス様の教育係にさせていただき、
とても光栄です。今後とも、どうぞよろしくお願い致します。」
そう言って軽く一礼している。本当にしっかりしてて良い人だな。
「えっと…メティス=フェアルティです。
こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。」
お互いに軽く礼をする。
「では、いきなりではありますが、メティス様は_」
「その前にシャルネさん、様は止めましょう。」
「え?で、ですが…」
「シャルネさんは先生です!先生が生徒に様をつけるのははおかしいです。」
先生という、教えてもらってる人に様と呼ばれても困るしな…。
「メティス様がそう仰るのであれば、使用しないようにしますね。
……。えっと、メティスさん…?」
「さんはおかしいです。」
「メティス…くん?」
「はい。何でしょうか?」
笑ってそう答える。やっぱり先生なのだから、様じゃない方がいいな。
「では、メティス君も、先生とお呼びください。」
「はい!シャルネ先生!」
そっか、先生か…。この人とは仲良くしていけたらいいな。改めてそう思った。
「では、先程の話の続きを。まずですが、メティス様は文字の書き読みは?」
「出来ますよ。」
読み書きは、生まれて1歳半には完璧になったな…。
「では、計算などは…」
「多分、出来ると思いますよ。」
実際にやったことはないが、出来るだろう。
数字は言語と違って1、2、3、4の同じ形だったし。
「そうでしたか。驚きですね…。………では、これを解いてみてください。」
「はい。えっと、これは?」
「王立第一学園中等部入学試験の計算問題です。因みに、学園にはご存じで?」
学園か。聞いたことは何回あるけど詳しくは知らないしな。聞いてみるかな。
「聞いたことはありますが、詳しくは…。どういうところですか?」
「学園及び学校というものは、誰もが通わなくてはいけない教育機関の事です。
アルテス王国の学校は基本的に初等部・中等部・高等部があるんです。
その中でも、初等部は誰もが通わないと行けないんです。」
まぁ、学校か…。義務教育的なのが初等部というわけか。
「なるほど。その中等部の試験と…。」
「メティス君は理解が早くて助かります。あ、因みに、
初等部は8歳から3年間、中等部は11歳から3年間、
高等部は14歳から4年間通います。
平民は初等部だけで十分なのですが、メティス君は貴族ですから、
高等部まで通うのが基本です。」
「そうなんですね。
……ていうことは僕もあと4年もせずに通うことになるんですね。」
「ええ。……え?…えっと、メティス君、今何歳でしたっけ?」
「今は4歳ですが、あと2ヶ月で5歳です…。」
「4歳??……普通に会話するものですから、てっきり6、7歳かと……。
「あははは…。」
普通に会話しすぎた…?そっか、俺まだ、4歳だった………。
「ま、まぁ、学園の説明もこんなところにして、この問題を解いてください。」
「あ、はい。」
どれどれ、どんな問題かなー……。
ふむふむ。
解いた感想としては、大体、中学校1年生位の問題だった。簡単だったな。
横で先生が丸付けをしている。
「丸付け、終わりましたよ……。えっと、一言良いですか?」
え!?そんなに酷い回答したか?やっぱり、この世界は計算が違うのか?
「えと…良いですよ…?」
「貴方は天才なんですか!?本当に4歳ですか!?」
「…え?」
天才って……?冷静に考えよう。
中学一年の学力を4歳が持っていると、先生は知った…。
うん。普通におかしいな。転生したから記憶があり、知識があるわけで、
天才でもなんでもないんだけどな…。
「あー…。すみません。僕がおかしかったです。」
「そうやって自分で納得してるのもおかしいですが…まぁいいでしょう。
あぁ、試験は満点でしたよ。
聞き忘れていましたが、この国や他国の事についてはご存じで?」
「いえ、歴史とか地理とかは全く…。」
「でしたら、今後はそちらを中心に勉強していきましょうか。」
「はい!」
確かに、国語、数学、理科は出来たとしても、社会が全くだしな。
魔法についても詳しくは知らないし…。
その日はその後、授業(?)を終わり、何時も通り過ごした。
これからは、シャルネ先生から色々、学んでいくとしよう。
閲覧、ありがとうございます。