2-4.新たな出会いの予兆
「そうだ、メティス。お前にいい知らせだぞ。」
夕食の後、父さんから声が掛かる。
「どうしたの?」
「それは内緒さ。後で執務室に来い。」
「うん?わかった。」
父さんが内緒にするとは珍しい。一体何の用事だろうか?
執務室前___
コンコンコン。ノックをする。
「メティスか?入っていいぞ。」
「失礼します…。………相変わらずの紙の量だね…。」
父さんの机の上には、いつも通り紙の山が積まれている。
「ははっ。まぁ、それはおいといてだな。
今回、お前を呼んだのは、教育係を付けることが決まったからだ。」
「教育係!」
実は、早いうちから教育を受けておきたいと思い、
父さんに教育係が欲しいと言っていたのだ。にしてもさすが父さん。仕事が早い。
「嬉しそうでなによりだよ。で、教育係の件なんだが、
相手の方から教育係になりたいという手紙が来ていてな。」
「そうなの?で、どんな人?」
色々、気になってしまう。だって、教育係だよ?家庭教師みたいな!
「それなんだが、この資料を見た方が早いだろう。」
「うん?」
父さんから資料を渡される。ふむ。
名前はシャルネ、男性、27歳…か。名字が無いってことは貴族ではないのか。
現職業は…宮廷魔法師!?
宮廷魔法師というのは国内でも5人だけの、魔法の扱い・知恵に特化した人が
なることの出来るの職業だ。主な仕事としては、魔法を教える講師を
各地で行ったり、魔法研究をしたりなどと聞く。
そんな凄い職業の人が教育係に…?
「えっと…父さん…。何で宮廷魔法師が教育係に…??」
「それなんだが、俺もよくわかっていない。宮廷魔法師なら、
給料や情報が目的というわけでもないだろう。
だが、普通に家庭教師になるにしても、理由が分からないよな…。」
父さんも俺と全く同じ考えらしい。
やはり、宮廷魔法師が教育係になりたいという理由が分からない。
一体、何故だろうか…?
「まぁ、考えていても仕方ない。とりあえず、この人でいいか?
今週の光の日、つまり明明後日、お会い出来ればとのことなんだが…。」
「うん、この人で大丈夫だよ。」
確かに考えていても仕方ない。一度、会ってみよう。
「よし。じゃあ、相手の方にも連絡しておくからな。
あぁ、後、資料はメティスが持っておけ。しっかり読んでみるといい。」
「わかった。父さん、忙しいのにわざわざありがとう。」
「子供はそんな事気にしなくていいぞ。お前のためなら何でもするさ。」
そう笑いながら、頭を撫でてくれる。
父さんの手伝いをするためにも、早く色々学ばないとな!
その後、執務室を出て、自分の部屋に戻った。
しっかりと資料を読むと、シャルネさんについて他にも色々わかった。
まず、最終学歴は、王立第一学園高等部卒業。
その後、王都の魔道具店に就職するも、魔法について詳しく知りたいと思い、
魔法研究会職員に転職。
そこでかなり上級の魔法が扱えるようになり、
その凄さを認められ、宮廷魔法師になったと…。
ふむふむ。って学園なんてあったんだな。
まぁ、教育係に今後、色々聞いていけばいいかな。
ふぁあ。今日はとりあえず寝るか…。
今日はそのまま眠りについた。
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