2-3.御披露目会と初めての友達
「メティス、準備はいいか?」
「う…うん!だいじょうぶ!」
今日は、6月1日。アルテス王国貴族会議会の日。
だか、約1時間前ほどに会議は終わり、貴族の子供の御披露目会が行われていた。
今日、御披露目があるのはフェアルティ家を含めて5家。
ちなみに俺は4番目だ。今は3番目の子が挨拶をしているので、
ステージ袖で待機している。
3番目の子は可愛い女の子で、必死に挨拶している。
パチパチパチパチ。
拍手が聞こえる。ていうことは…三番目の子が終わったのか!
うわー…。次だ。すっごい緊張してきた!
「メティス、お前の番だ。まずは俺が挨拶をするから、呼んだらきなさい。」
「うん。わかった!」
父さんがステージへ歩いて行く。
緊張する!とりあえず、深呼吸して落ち着こう!
大きく深呼吸をする。とりあえず、落ち着いたかな……。
「…………。じゃあ、メティス。」
よしっ!しっかりとしていこう!
緊張しながらも、ステージ中央へ歩いていき、父さんの横で止まる。
「しょうかいにあずかりました。メティス=フェアルティです。
こんごとも、どうぞよろしくおねがいいたします。」
そう言い、一礼をする。
よかったぁー…。噛まずにきちんと言えた!
「凄いですな。まだ4歳でしょう?」「随分、立派な挨拶を…。」
そんな声が会場で上がっていた。メティスは勿論のこと知らないのだが。
なんか凄いざわついてる!?え!?俺、なんか失敗したっけ??
まぁ、大丈夫だろう!
「まだ幼いですが、今後とも
フェアルティ家のメティスをよろしくお願いいたします。」
そう言い、父さんが一礼する。
そのまま父さんとステージを降りた。
会場内、隅にあるテーブル_
「緊張したか?」
父さんが笑いながら聞いてくる。
「うん。きんちょうしたよ…。」
「まぁ、お疲れ様。…といっても、
この後、父さんは挨拶とかまだ少しあるから
行ってくるけど、大丈夫か?」
「だいじょうぶだよ。」
うへぇ。まだあったのか。父さんは本当に忙しいな……。
「じゃあ、行ってくる。メティスは、この会場の隣にある子供用の部屋で
友達づくりでもしながら休憩してこい。リミさん、メティスを頼むよ。」
「うん。わかった。」 「了解致しました。」
そう言い、父さんが席を立ち他の貴族のところへ行っている。
あ、言い忘れてたけど、勿論リミさんも一緒に来ている。専属メイドだしな…。
「では、メティス様。行きましょうか。」
「うん。」
俺も席を立ち、扉から会場を出る。
会場横、子供用の部屋___
「メティス様。私はこちらに居りますので、
何かありましたら言ってくださいね。」
「うん。じゃあ、行ってくる。」
子供用の部屋はさらに2つの部屋に分かれていた。子供用とメイド用らしい。
子供用の部屋に入ってみる。そこには既に2人の子供がいた。
部屋の中には、大きい机と5個の椅子があり、
机の上にはお菓子や飲み物が置かれていた。
ていうか、とりあえず挨拶すべきか…?
「えっと…こんにちは…。」
俺が挨拶すると、2人ともこっちを向く。
「あ!きみは、フェアルティ家のこだよね?
わたしはきみのまえにあいさつしてた、
ブリュンヒルデ家の、カミラ=ブリュンヒルデだよ!よろしくねっ!」
一人の少女が返事をしてくれる。3番目に挨拶してた子だ。
ブリュンヒルデ家ってどこだっけ……
そう考えていたら、カミラちゃんが頭を軽く叩かれていた。
「カミラ!メティスさまはこうしゃくけのかただぞ!
けいごをつかえ!…まったく。メティスさま、すみません。
カミラはきぞくかいきゅうのことをよくわかっていなくて…。」
一人の少年がそう言ってくる。え?この子、5歳くらいだよね?すげぇな。
しっかりしてる…。カミラちゃんとは幼なじみ的な感じだろうか?
「い、いや、だいじょうぶだよ。そういうのはとくにきにしてないし、
こどもどうしなんだから、きがるにはなしてくれていいよ。」
まだ子供なんだし、敬語なんてつかわれても堅苦しい感じで嫌だしな。
それに、仲良くしていきたいし。
「ありがとうございます。
あ、ぼくはクルセイダー家のウィリオ=クルセイダーといいます。
これから、よろしくおねがいします。」
ウィリオ君か。それにしても賢い子だな。ていうか、
「けいごはやめよ?」
「あっ!すみません…じゃなくて、ごめん。」
「ほらねっ!けいごじゃなくていいんだよ!」
カミラちゃんが笑いながらウィリオ君にそう言っている。
「それはメティスさまがやさしかったからだ!つぎからはけいごだぞ!」
「ねね、メティスくん!メティスくんってなんさい?」
ウィリオ君が注意しているのも聞かず、カミラちゃんが話しかけてくる。
この二人、相当仲がいいんだな。
「カーミーラー!はなしをきけ!」
「まぁまぁ、ウィリオ君。落ち着いて。」
「メティスさま、すみません。カミラがめいわくを…。」
「ぶー!」
かわいいな。カミラちゃん。じゃなくて、名前が敬語だなー…。
「ねぇ、これからおたがいのことはよびすてにしないか?
おれはよびすてのほうがいいんだけど…。」
「よびすて?うん!そうしよう!」
「いいんですか?…メティスさまがおっしゃるのでしたら…。」
その後も、父さんが迎えにくるまで、カミラとウィリオと3人でずっとしゃべっていた。
ちなみに、2人とも俺と同い年だということがわかった。
その後、2人と別れ、家に帰った。
御披露目会だけで、この世で初めての友達が2人もできたな!
閲覧、ありがとうございます。
カミラとウィリアもまた後々出すと思います。
(貴族だしね。)