2-1.新たな世界
なんだか暖かいものに包まれている。
さらに、どこからか赤ちゃんの泣き声がする。……。
いや、どこからかじゃない、俺からだ。俺、産まれたのか?……。
周りから大人の声がする。日本語とは違うようで、
何と言っているのかは分からない。だが、
「……。この子はメティス…。メティス=フェアルティよ。」
そう聞こえた気がした。メティス。それが俺の名前だろう。
目が開けられないため、両親がどんな人なのかは分からない。
だけど、きれいな声だ。………。少し眠くなってきたな。このまま寝るか………。
数ヶ月後______
この世界で数ヶ月過ごして色々分かることがあった。
まず、自分、両親の姿(容姿)。俺はショートカットの銀髪の青目。
母さんはロングの綺麗な金髪で緑色の目。
父さんは、後ろで結んでる少し長い銀髪でオレンジ色の目。
二人ともかなりの美形。
そして、俺が生まれたフェアルティ家は貴族でもかなり上の方らしい。
これはメイドのリミさんから聞いた。
さらに、この世界の言語も大分、分かるようになってきた。
毎日、母さん達が話し掛けてくれるからだろう。
読み聞かせもしてもらって、字も分かるようになった。
それと、この世界も日本と同じように1年が12ヵ月、
一週間7日(火・水・木・風・土・光・闇)だった。
でも、1ヵ月は30日と決まっているのは部分は少し日本と違うが、
ぶっちゃけ、30日ってはっきりしてる方が分かりやすくていいと思う。
だが!実は結構楽しみにしていた魔法を使うことはまだできていない。
なので今日は、魔法を使えるようになるため、
この前書庫で見つけた[魔法入門書]を見に行くのだ!
魔法だ!魔法!前世の子供の頃、魔法が使えたら…と考えていたあの魔法!
部屋に誰もいなくなったのを確認し、ベッドから抜け出す。
そのままハイハイをし、書庫へ向かう。
簡単に言っているが、実は書庫まで結構距離がある。
たぶん、歩いていくとそんなに遠く無いのだが、ハイハイはきつい。。
「メティス様ー?どこにいらっしゃいますかー?」
メイドさん達の声が聞こえる。
ヤバい。急がないと見つかる!今日こそ魔法を使うんだ!
「ふぅ。」
なんとか書庫に入り、一安心して溜め息をつく。
さて、あの本は、、あった![魔法入門書]!
さっそく、中を見てみよう。……。おっ!
〈魔法を使うには〉
魔法を使うために必要なのは、詠唱と魔力とイメージだ。
だが、そう難しい事ではない。魔力の流れを感じ、手に集めるようにする。
その後、イメージをしっかりと持つ。そして詠唱。
誰でも使えるようになる。次ページから、Dランク魔法を紹介しよう。
なるほど。イメージと魔力と詠唱か。
どうやらこの世界の普通の言語と魔法詠唱の言語は違うらしい。
言語をいきなり憶えるのは出来ないが、
簡単な魔法くらい俺にもできそうかな。そう思い、ページをめくる。
〈Dランク魔法〉
・πυρ[ピュール] 火属性魔法
イメージになどにより大きさの違いはあるが、
小さな火が出る。生活にも使える便利な魔法。
・υδωρ[ヒュドール] 水属性魔法
イメージになどにより大きさの違いはあるが、
小さな水が出る。生活にも使える便利な魔法。
ほかにも色々魔法が書かれている。別ページに書いてあるのをみると、
魔法にはDーCーBーAーSーSSランクのランク分けがされている。
このランク分けには、魔法の効果・威力、使用魔力量、
習得難易度などが関係しているらしい。
さらに、このランク分けは、
この本だけと言うわけではなく、この世界共通らしい。
このヒュドールっていうの、出来そうかな?そう思い、実践する事にする。
魔力の流れ…?こんな感じか?手を少し前に出し、手のひらを上に向ける。
この魔力を、手に……。微妙な気もするけど、やるしかない!水をイメージして、、
「[ヒュドール]!」
詠唱を行うと、手の上の空気中に直径15cmくらいの水の球体が出来る。
おお!これが魔法!すげぇよ…
「よっしゃー!!」
…。あ。つい叫んでしまった…。
目の前の水の球体を消すイメージをすると、すぐに消えた。なるほど。
魔法について大分知ることが出来た気がする。
他のページも何ページか見てみる。
しばらくして時間がたった頃、本を閉じる。
そろそろ書庫を出るか。もうすぐ夕ご飯だろう。
扉をゆっくあけて、顔を出してみる。
よし、誰もいなさそうだな。そのまま廊下へ出て、
壁に掴まりながら部屋に向かう。すると、後ろから足音がした。
「まぁ、メティス!ここにいたのね。」
あっ、母さんだ。ヤバい。怒られるかな…
「もう、心配したのよ。でもここにいて良かった。…。書庫に行ってたの?」
心配させちゃったな。でも、大丈夫そうだ。よし、ちょっと聞いてみるか。
「あい!しょこ!ねぇ、かあしゃんはどんなまほうちゅかえりゅ?」
産まれてから数ヶ月たった今でも、まだ上手く喋れないが、伝わってるよな?
「まぁ、魔法のことを知りたいの?流石の私と父さんの子ね。」
にっこりしながら優しく言ってくれる。
「ほんと!?ありがちょ!」
「ふふっ。[ヒュドール]。」
おお!すごい!いきなりでびっくりした。だけど、綺麗で幻想的だ。
Dランク魔法でもイメージ次第で変わるものなんだな。と実感する。
「かあしゃん、しゅごい!きれい!」
「ありがと。喜んでくれて良かったよ。じゃあ部屋に戻ろうか。」
「あい!」
その後、部屋で母さんと少し喋ったあと、ご飯を食べ、部屋に戻った。
「おやすみ。リミしゃん。」
「はい。メティス様おやすみなさい。」
パタン。扉が閉まる。足音が少しずつ遠ざかっていった。
今日、あの本を読み、色々なことが分かった。
魔法を使う方法、魔法には属性があり、それで分けられていること。
他にも、一人に3属性程度、適正属性があり、適正属性の魔法は習得しやすく、
上位(Aランクとか)の魔法も少し習得しやすくなる。
さらに、適正属性の魔法を使う際は少し魔力量が少なくなるということ。
そして、基本的に魔法が使えるようになるのは、
体内に[魔力の種]と呼ばれる器官のようなものが出来る
8~10歳からだということだ。
…ん?……あれ?俺、まだ一歳にもなって無いよね?
神様の力って凄いんだな。
ていうか、あの神、どんな能力付けてるんだよ。
因みに、[ルトナーク大陸]の[アルテス王国]が
主な舞台となります。
章が進むと別の国に行くこともあると
思いますが…。
閲覧、ありがとうございます。