7
「“ハイエナ”」
「コートは脱いで下さいよ」
しったことか。
俺は早足で進み、“ハイエナ”が振り向く前に奴の後頭部へ銃口を押し付けた。
「…………ほう?撃ちませんね?」
薄暗い部屋。
モニターの画面に奴の顔が反射して見える。
銃口を突き付けられて…
…奴は笑っていた。
「機会を逃さない貴方がまだ撃たない…何か聞きたい事でも?」
「……“子猫”が死んだ」
明け方
部屋の外で物音がした。
扉を開けると
“子猫”が倒れていた。
血まみれで。
「“子猫”にどんな仕事をやらせた?お前なら誰の腕前がどの程度か判っているはずだ」
「…彼女に出来無い仕事を私が廻したみたいに言いますねぇ?」
心外そうに“ハイエナ”は続けた。
「仕事内容は明かせません、ですが五人でやらせて完了の報告は受けています」
「なんだと?」
「全員無傷で完了、とね」
………なら?
なら、“子猫”は…
「……えへへ…失敗しちゃった…」
青ざめた顔
指先が震えていた。
「…大丈夫、大丈夫だこれくらいなら」
俺は嘘つきだ。
「……空…見たかったな……青い…」
“子猫”が
最期の息をはいた。
俺の腕の中で静かに。
「…で?腹いせに私を撃ちますか?」
「…何故お前は笑っていられるんだ?」
銃を突き付けられて。
「あぁ、貴方が後ろから撃たない律儀な人だって知っていますから」
奴は言葉を続ける。
「彼女を撃った相手を探せるのは私だけでしょうし、それに」
ハイエナは笑う獣
だから私も笑うのですよ。
そう言って奴はまた笑った。
……“ハイエナ”
貴様は糞野郎だ。