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4


無造作な一撃で鉄の扉を蹴り破る。


普段は持て余し気味な、全身を覆う人工筋肉が役に立つ場面だ。



不意をつかれ間の抜けた顔で白衣を着た連中がこちらに振り向く。


その間抜け面に向かって両手の銃が次々と鉛弾を吐き出していく。



この銃は優れ物だ。


消音器と一体化した銃身は弾薬の炸裂音をまるで感じさせない。


指が動くたび、カチカチと小さな音が引き金から微かに聞こえる。


その度に白衣に赤い花が咲き、踊り疲れて奴らは倒れていった。




「“子猫”上に行くぞ」



弾倉を換えながら言う。



「あ、あぁ…うん」



“子猫”はしばし呆然とした顔でいたが、俺に声をかけられて目が覚めた様に応えた。




まぁ…無理もない。



こういった汚れ仕事は害獣駆除とは趣が異なるものだからな。


音をたてずに階段を昇りながら小声で言う。



「扉を開けたらすぐ引き金を引け、そのうち当たる」



2階にいた監督役は三人だった。


二人を俺が、残りを“子猫”が始末した。


“子猫”の倒した幹部がまだ動いている。


俯せに倒れているそいつの後頭部に一発いれた。



「…とどめはしっかりさせ、道連れにされるぞ」



これで“ハイエナ”の廻してきた仕事の半分が終わった。



敵対するD区画が開発している“新薬”のデータとサンプルを入手し、研究を『やめさせる』



この部屋にあるはずの開発資料を探すのは“子猫”に任せよう。


俺は階下に降りて行った。


一階での“掃除”の際に地下室への扉を見つけている。



…おそらく。



弾倉をまた換えながら地下へ降りて行く。




いくつかの檻があった。




“新薬”の開発には実験台が必要だ。


檻の中には実験用にかき集められた亜人どもがいた。



大昔、人間の遺伝子を組み替えて様々な亜人が造られた。


その一部は“子猫”の様に並の人間と変わらない知能と他の動物の特徴を持っていたが、他の一部は人間的な部分がだいぶ少なめだった。




…あぁ、これは。


“子猫”には見せられないな。




“子猫”と同レベルか、やや劣るレベルの亜人の女子供が十人ほど檻に入っている。


“新薬”の効果だろう、半分ほどは虫の息だし、もう半分は魂が抜けた様に壁にもたれていた。




「……すまんな」




指先からカチカチと音が鳴り



銃口からプスプスと音が鳴り




俺は地下室を後にした……



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