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3


分厚い扉を開け、薄暗い部屋に足を踏みいれた。




「コートをそこにかけてから入って下さいよ」



奥から聞こえる声に思わず鼻を鳴らす。


それくらいは弁えているつもりだ。



「ケーブルは踏まない様にお願いしますよ」



…まただ、こいつはひとを見た目そのままに扱いやがる。



「…ここに来るのは久しぶりですね、どうしました“オーガ”貴方がクレジットに困るとも思えませんけど?」



幾つもあるモニターの前に陣取り両の手で別々のキーボードを叩きながら“ハイエナ”は言った。



「…忙しいのは解るが、まずこっちを向いたらどうだ?」


「これは失礼」



そう言うとくるりと椅子を回しながら、パチリと指を鳴らす。


センサーが反応して部屋が明るくなった。




革張りの椅子にカカシの様な男が踏ん反り返っている。


この男は“ハイエナ”


女にも間違えられそうな童顔に真ん丸なミラーグラスをかけて、耳まで裂けている様な嫌な笑いを始終浮かべている。



「…まぁお座り下さい」



やっと気が付いた様に席をすすめる。



…わざとだ。



この男は来客をいつも値踏みする。


薦められないうちにソファーに座る様な奴が、後々どうなったのかは…まぁ言わないでおこう。




自分自身は慇懃無礼なくせに他人の礼儀に容赦しない。


それが“ハイエナ”だった。



困った事に、この男が俺達の掃除仕事を仲介している。



「…何か仕事は無いか?安いものでいい」



俺は座ると早々に切り出した。



「金欠ですか?珍しい」


「俺じゃ無ぇ、仕事仲間がだ…新人だからな」


「あぁ、左様で…うっかり使い過ぎますからねぇ新人は」



訳知り顔で相槌を打つ。


口許をニヤつかせながら。


そのくせミラーグラスの奥、こちらから見えない眼はきっと笑ってないのだろう。




キーボードを片手で叩きデータを覗き込む。



「あぁ、新人は…“子猫”ですね?かわいいコだ、世話も焼きたくなる、解ります」


「仕事を見繕っているかと思えば…さっさとしろ」



このカカシ野郎とは一生ソリが合わなそうだ…




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