epilogue
―Epilogue―
白一色の室内。
モニターに映る男は歩みを止め、背中の『柩』を降ろした。
「…救助隊を編成しなくては」
初老の室長が言った。
「お待ち下さい室長、彼は救助を望みません」
特務監察官と呼ばれた男が差し止める。
「何故君にそれが解るのかね」
「彼は私の担当区民で自由意志によって地上にいます、彼の事はよく知っております」
それに、と特務監察官は続けた。
「手遅れでしょう」
第二階層からはレベルの差こそあれ、放射能にさらされている。
助かり様が無いのだ。
地上の男は
『柩』を開けた。
「女性です!中に女性が!助けないと」
「…死人ですよ」
地上では男が『柩』から出した女を抱き抱え、『柩』にもたれて座り込んでいる。
「特務監察官、彼はなんの為に?」
「……さ、遅くなるので私は任地に戻ります。君達も野暮な覗きはそれくらいにしておきたまえ」
地上
荒野に座り込んだ男が
抱き抱えた女に
囁いた。
「……空だぞ…お前だけの」
END
バナー提供:相内 充希 様
如何でしたでしょうか?
すっかり『徒歩5分』とキャラかぶっていたのを失念してました…
かっこつけ過ぎな代物ですが、旧作ですのでそこは御容赦を。




