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月
(紙本臨夢さんから頂いた単語で)
あの日と同じ月が十余回空に昇ったんだね
熱は下がることを知らずに君のことを考え
描いた未来とは違った今を恨むべきなのか
乾燥した空気に浮かぶ名の知れた星座もさ
散々言われたところでそうは見えないんだ
だから僕が勝手に思い込んだ君のサインは
離れた星が偶然に造り上げた芸術みたいに
似てもいないものに押し付けてみた期待値
地球が零した涙みたいなものだってね月は
遥か昔の悲しみを忘れられずに時は過ぎた
たまには月のない晩があったっていいよね
年賀状を買いに行く空に浮かぶ月は緋色で
出来損ないの僕の思いなんてまるで届かず
随分と続けた宛先も今年は書くには及ばず
ずるい僕は僕自身の考え方が好きじゃない
痛みをやわらげるのは零れ落ちた月明かり




