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魔法使いのおじさん  作者: 光晴さん
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第8話 畑と食堂と緊急事態




買い物を終えて、家に戻ってきた俺はすぐに畑に行く。


俺の畑は案の定、1年も放置していたので硬くなっていた。

「うん、こういう時は『土魔法』だよな」

すぐに土魔法を使い、畑を耕していく。


確か、ジャガイモを植えるときは30センチほど耕すと聞いたことがある。

だから、30センチほど深く耕していく。


次は高畝たかうねを作って、水はけをよくする。

ジャガイモは水はけが悪いと、すぐに腐るそうだから気を付けないとな。


俺はガンガン魔法を使い、畑は見る見るうちに耕され高畝が出来上がっていく。

傍から見ればおかしな光景だっただろう。

畑に向かって手をかざした俺。その畑はひとりでにうねりかき回され、


土の色が変わっていき、高畝が出来上がっていく。


高畝たかうねとは、畑に15センチほど土を盛り上げた土だ。

排水・通気性がよく乾燥を好む作物を栽培するとき用いるらしい。



「これで畑はいいかな…」

次は、ジャガイモを植えるんだけどそのまま植えてもダメだったと習ったような…

何せもう20年以上前の記憶だからあいまいだな。


とにかく俺が覚えているやり方をしておくか。

え~と、ジャガイモを半分に切って切り口を上…下…どっちだっけ?

どっちも植えてみるか。こっちの高畝に上にしたものを、あっちに下にしたものを。


俺は、ジャガイモを半分にして1つ1つ植えていった。

「魔法を使うと、早く終わるな…」

植え終わると、水をどうするか記憶を呼び起こす…


確かジャガイモは、植えた後は水をやらなくてよかったはず。


俺は水をやらずに、家に入ろうとして靴の汚れに気づき水魔法で靴を洗って

家に入っていった。

「もう、夕方か……今日は働いた感じが、いいな」


充実感というのかな、こんな風に働いたのは初めてだ。

汗水…は流したか疑問だが、充実感は会社では味わえなかった。


あれだな、会社を辞めて田舎暮らしを始めるなんて言うのは

こういう充実感を味わうためなのかもな~

でも、この靴はもう駄目だな。


冒険者たちが履いているブーツを作るか、買うかしないとな。

地球の靴が、よくもったものだな。

俺は明日ギルドへ行って、資料図書館と雑貨屋に寄ることを予定して


夕食を食べることにした。

といっても、道具はあっても食材はない。だから乗合馬車の間

食べていたものを夕食として、ベッドに腰かけ本を読み始めた。



『中級魔術書』を読んでいると、役立ちそうな魔法を見つける。

『空間魔法』の中にあった『時間魔法』、時間を操るというものだった。

ただし、アイテムボックス内のみという制限付きだったが…


でも俺には、これが使えると思った。

何せこの魔法が使えれば、発酵や醸造ができるってことだ。

料理に役立つこと間違いなし、この世界の魔法はすごいな!



俺は眠気に襲われ、そのままベッドで眠りについた。




次の日、ベッドで起きた俺は【クリーン】の魔法で全身をきれいにすると

外に出て朝日を浴びながらコップの中に水魔法で水を出して、一気に飲む。

こうすると目が覚めて、俺はスッキリする。


それから畑の様子を見てから、『冒険者ギルド』へ出かけた。



冒険者ギルドの2階に食堂があったな、朝はそこで済ますか。

そんなことを考えながらギルドに入っていくと、正面の掲示板の周りに

冒険者が20人ぐらい集まっていた。


今日は多いな~と、思いながら2階に上がり食堂へ行く。


「いらっしゃいませ!」

食堂に入ると、女の子の声が聞こえた。

俺に声をかけてきたのは、10歳ぐらいの女の子だ。この食堂で働いているのか?


「おじさん、何にします?」

俺は席に着きながら、何があるのかな~と考えていると

「おじさん、今日のおすすめは『ボア肉のシチュー』だよ」


女の子はおいしいよーと、説明してくれるのでそれを注文する。

「お母さん、『ボア肉のシチュー』を1つ!」

「はーい。シャルちゃん、パンと飲み物を用意してくれる?」


なるほど、お母さんのお手伝いで接客をしているのか…

えらいな~、俺が10歳のころは遊んでばかりだったな。

「おじさん、のみものは何にしますか?」


「ミルクは、あるかな?」

「あるよ、ミルクでいいの?」

「ああ、ミルクでお願いするよ」


「はーい」

と元気いっぱいで返事をして、奥に入っていく。

そして、ミルクの入ったコップとパンをお盆に載せて出てくる。


さらに女の子の後ろから、木の深皿にシチューを入れて女の子のお母さんが

続いて出てきた。

「お待たせしました」「おまたせしました」


女の子がまずパンとミルクが載っているお盆を置いて、そこにシチューの深皿を

中央に置いていく。

パンは少し硬そうだが、シチューはおいしそうだ。


2人がカウンターに戻っていく中、シチューを一口食べてみる。

「美味い!」

その一言を聞いて、親子は笑顔になって頷いていた。


シチューの中に入っている野菜もうまいが、このボア肉がうまい。

牛肉とも豚肉とも少し違う。鶏肉が一番近いか。

全体が一つになっていて、ホント美味しい!


こんなシチューが食べられるなら、この食堂に毎日通ってもいいな。


俺が夢中になって食べていると、食堂の入り口からジェシカさんから声をかけられた。

「あ、恭也さん。探しましたよ、すぐに下へ降りてください」

「ん、何かあったんですか?」


「ギルドの緊急依頼が出されました!」

それって、異世界小説ものでよくある魔物なんかが攻めてきたとかかな?

俺は急いで、パンとシチューを食い終わりミルクを一気飲みして


カウンターにいた親子に、声をかけてギルドの1階へ降りて行く。



ギルドの1階は、冒険者らしき人に加えて村の人たちも集まっていた。

俺も人々の中に入ると、ギルド長という人が話し始めた。

「ギルド長のボルクだ。『ナルキド』の町近くにオークの集落が発見された。


『ナルキド』にある冒険者ギルドでオーク討伐で集落を襲ったのだが、

10体ほどのオークが、この村の方向に逃げたそうだ。

『ナルキド』からも冒険者が討伐に出たらしいが、オークの方が足が速い。


そのため、この村からもオーク討伐をすることになった。

何も全部倒せとは言わない。『ナルキド』の冒険者が到着するまでに

オークの数をできるだけ減らす。


この依頼の報奨金は、ギルドが責任もって出す。

受けてくれるものは、村の入り口に集まってくれ。

時間が惜しいから10分後には、村の入り口から出発するぞ!」


ギルド長の話が終わると、全員すぐに行動を起こしていた。

冒険者のほとんどは、雑貨屋に行き準備を済ませていくのだろう。

村人たちは、家に帰り村を守るために何かするのだろう。



さて、俺はオーク討伐に参加するかな…

こんな時こそ、魔法使いの出番だろう。






読んでいただきありがとうございます。

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