第64話 ガルチャ迷宮
迷宮都市『ガルチャ』
この町は、『べルスベン王国』の中心都市ではなく第3都市。
2つの迷宮を中心に、町が出来上がっている。
1つは、力試しに修行に挑戦する『ガルチャダンジョン』
その全貌は、全200層以上と今だ最下層に到達したものはいないとか。
全体は洞窟のような作りとなっているが、途中で空がある階層が出てくる。
魔物も多種多様で、迷宮都市で一番潜る人が多いダンジョンだ。
もう1つは、謎解きを主に挑戦する人が多い『ガルチャ迷宮』
その全貌は、いまだ解明されておらず最下層はおろか10階降りることも
難しいとされていて、敵があまり出てこないのが特徴と言えるだろう。
全体はラビリンス。縦5メートル・横3メートルの通路が続き
あちこち曲がり角がある。地図を記しながら罠を解除し宝物を手に入れる場所だ。
魔物も強いものはあまり出ないため、宝物目当ての探索者が多い。
2つの迷宮から、各ギルドが構えてその後に職人の店が続く。
食堂や宿屋が続き、商人の店や市場はその後。
そして、居住区が続くといった円状に町が作られている。
この迷宮都市が他と違うと言えば、城壁の位置だろう。
この町で城壁は、2つの迷宮を囲むようにそびえている。
この迷宮都市が誕生してから、迷宮から魔物があふれてきたことはないが
用心のためと、この国の何代か前の国王が建設したとか。
そんな話を、迷宮都市『ガルチャ』の宿の一室でグレースさんから聞いていた。
俺は隣の部屋をとったのだが、明日からの迷宮行きのことで話し合おうと
グレースさんたちの部屋に集まったのだ。
「明日から『ガルチャ迷宮』へ行くわけですが、
絵美さん、何か注意することがありまして?」
「『ガルチャ迷宮』は魔物が少なく、謎解きが主だとはさっき聞きましたよね?」
皆が頷く。
「ならば、特別用意するものはありません。
迷宮は冒険者ギルドが入場管理をしていますから、入るときにギルドカードを
ギルド職員に見せれば、簡単に入れます」
「では、明日に備えて寝ておきましょう。
わたくし、初めての迷宮に興奮しておりますが何とか眠りたいと思います」
……実は俺も、初迷宮に少し興奮している。
まだまだ、少年のハートがあるようだ。
次の日、俺たちは準備を終えると『ガルチャ迷宮』の入り口へ来ていた。
ここは、隣の『ガルチャダンジョン』と違って人が少ない。
特に冒険者の数が、圧倒的に少なかった。
代わりに多かったのが、商人だ。
この迷宮からは、たくさんの貴重なアイテムが出るらしく
それを目当てにした商人たちが、いろいろな要望を提示していた。
俺たちはそれを横目に見ながら、入り口前のギルド職員にギルドカードを提示し
中へ入っていった。
「この1回は、私が先導します。
それで『ガルチャ迷宮』がどんなところなのかを感じ取ってください」
俺たち全員が頷くと、絵美さんを先頭に迷宮を進んでいく。
この迷宮は確かに大きい。
縦横の幅は、余裕があるし明るさも魔法を使うまでもない。
所々、扉があるのが気になる。
「絵美さん、この扉の先はどうなっているんですか?」
皆がいったん止まり、扉の前に集まった。
「この扉の中には、通路が続いていたり部屋になっていたり様々です」
「だとすると、この扉の先がどうなっているのか確かめたくなりますね」
エリーが、そっと扉を開ける。
エリーが開けた扉の隙間から覗くと、そこは通路になっていた。
「ここは、通路になっているのね」
絵美さんが、手元の地図を見て
「この地図にも、ここは通路になっていますね」
「あの、絵美さん。
この迷宮の通路とかは、変わらないままなんですか?」
絵美さんは、笑顔を浮かべて
「ええ、この『ガルチャ迷宮』は宝物の位置や魔物の位置以外は
基本変わりません。
隣の『ダンジョン』の方は、7日ごとに変わるそうですよ」
皆で感心しながら、絵美さんの先導してくれる通路を進む。
通路の様子は、最初の時と変わらない。
地面は土を固めたようなものだし、壁はレンガを積み上げたものだった。
天井は、高すぎて見えなかったが魔物の気配はなかった。
また、罠はこの1階にはないそうだ。
迷宮を進むこと2時間。
相変わらず景色は変わっていない。
曲がったり、進んだり、扉を開けて進んだりと、いろいろしながら1階を進む。
確かにこの迷宮は魔物が少ないのだろう。
この2時間に魔物は、ゴブリンが2匹。
はっきり言って少なすぎる。
でもこの迷宮の試練はわかったような気がする。
それは、退屈だ。
シャルたちは、雑談しながら歩いているが
絵美さんは地図を片手に道を確かめながら進む。
俺はといえば、欠伸をしながら絵美さんの後ろを歩いていた。
シャルたちの雑談に加わるような話はないし、
道を間違えないように進む絵美さんには、話しかけづらい…
だから俺は、魔法の練習にあてた。
迷宮の中を歩きながら、魔力操作を行い風を操って遊んでいると
絵美さんが、声をかけてくる。
「皆さん、お待たせしました。あれが下の地下1階への階段です」
ここまで読んでくれてありがとう。




