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魔法使いのおじさん  作者: 光晴さん
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第6話 家と畑と冒険者登録




『ナルバ村』の門番に挨拶を交わして、村の中へ入っていく乗合馬車。

俺はようやく村につき、そのまま村の中央に止まるまで周りを眺めていた。

村の入り口から見渡していたが、確かに人が少なそうだ。


でも、畑は大きい。どんなものを育てているのかわからないが、

1つの畑に家族全員で耕したり、世話をしているようだ。

俺にも、畑を貰えるのかな?



そして、村の中央で馬車は止まり俺たちは下車する。

「お客さん、『ナルバ村』に到着したよ」


「長旅、お疲れさまでした」

俺は御者のおじさんに声をかけると、御者のおじさんはこれが仕事と手を振ってくれた。

この村で馬車に乗っていた全員が下りた。


冒険者の男性は、馬車から降りるとそのまま村の冒険者ギルドへ向かった。

町娘の女性は、馬車から降りると村のさらに奥に移動していった。

そして俺は、御者のおじさんに村長の家を教えてもらい向かおうとしたが


その時に、御者のおじさんはこの後どうするのか聞いてみると

「俺は、入り口近くにある乗合馬車の御者用の家に泊まり

明後日の朝、客を乗せて王都に戻る予定だな」


乗合馬車には組合があるそうだ。

すべての乗合馬車は王都から出ていて、こんな辺境の村にまで足を延ばしている。

また、『商人ギルド』とも提携しており辺境の村から近くの町へ


魔物などの素材を運んでいるそうだ。

こんなシステムを考えたのは、過去の異世界人だそうだ。

さらに、過去の異世界人がもたらしたものはいろいろと世界に浸透しているらしい。


そのうち、どれが異世界人のもたらしたものかわかるだろう。


そんなことを考えながら歩いていると、村長の家にたどりつた。

俺はそのまま、村長の家の扉を叩く。

「ごめんください、王都より派遣された『魔法使い』です」


村長の家の扉が開くと、40歳ぐらいの男性が出てきた。

「あなたが、王都からこられた異世界から召喚された方ですか?」

「はい、あなたが村長さんですか?」


「ええ、そうです。

この『ナルバ村』の村長をしています、ビルガンといいます」

村長は、俺と同じぐらいの身長でその体は引き締まっていて力が強そうだ。


おそらく村長自ら畑を耕したりしているのだろう。

短い青い髪のどこにでもいるおじさんだが、そのカイゼル髭が特徴的だろう。

「これは、初めまして。一条 恭也といいます」


「恭也さんと、お呼びすればよろしいかな?」

村長は、髭をいじりながら名前の呼び方を聞いてくる。

「ええ、それでお願いします。それで、俺はこの村でどうすればいいのですか?」


「おお、そうですね。

恭也さんには、家と畑を用意しておりますのでこの村に住んでいただきます」

俺の住む家に、畑までもらえるとは…


「家や畑まで用意してくれているのはうれしいんですが、なぜそこまで?」

「とりあえず、案内しながらお話ししましょう」

俺と村長は、俺の家のある場所へ移動した。


「実は、この村は村民の数が少なくて人手不足が続いています。

畑などからの収穫はある程度あるのですが、冒険者の数は少なく森の中から

出てくる魔物になかなか対処できていないのです。


そこで、私は王都に手紙を書きまして冒険者の派遣や

村に移住してくれそうな人を紹介してほしいとお願いしました」

「それで、私がこの村へ派遣されたと…」


村長は立ち止まり、

「その通りです。ですからこちらの家とその裏手にある畑を用意しました」

村長が紹介してくれた家は、平屋建ての普通の家だ。


家の中は、玄関兼リビングにキッチン。リビングの奥に6畳くらいの部屋と

その隣にはトイレがありお風呂はなかった。

家の裏手には、井戸がありそのそばに畑が広がっていた。


「よくこんな物件がありましたね…」

「あー、実はこの家は1年前に村から町へ引っ越していった家族の住んでいた家なんだ」

1年ぐらいだれも住んでいないから、俺に住んでもらって活用しようというわけか。


「ありがとうございます、村長。

大切に使わせてもらいますね」

「気にいってもらえて何よりです、ようこそ『ナルバ村』へ」

「はい、こちらこそよろしくお願いします」


俺と村長は握手を交わして、その場を別れた。



俺は家の中に入ると、さっそく家にあるものとないものを点検していく。

まず、リビングに机やイスはある。キッチンは竈があるな。

とりあえず、見えるところに【クリーン】をかけてきれいにしておく。


奥の部屋には、ベッドはある。クローゼットもついている。

そして、部屋に【クリーン】できれいになる。

トイレは和式に近いな、これも何とかするかな…


トイレに【クリーン】をかけてきれいにすると、裏の畑に出る。

井戸はあるけど、掃除が必要みたいなので【クリーン】をかける。

畑は、植えるものが今はないので放置っと。


あとはお風呂を何とかしないとな…

あと必要なものは買いに行くか。そういえば、村長は

どこで買い物をすればいいか言わなかったな。


こういう時は事前に情報収集しておいて正解だな。

では、冒険者ギルドへ行くか。確かそこにこの村唯一の雑貨屋もあるって話だし。

ついでに冒険者登録もしておくか。



俺はこの村にある『冒険者ギルド』へ向かった。

その途中で、村の人にあったので挨拶をしておく。

「初めまして、今度この村に住むことになった『魔法使い』の恭也です」


「これは丁寧に、初めまして私はナージルといいます」

「これからよろしくお願いします」

そんなあいさつを交わして、別れていく。何人かの村人とあいさつを交わして

ようやく『冒険者ギルド』にたどり着いた。


『ナルバ村』の『冒険者ギルド』は、村長の家よりも大きく

2階建てで入り口は常に開いている。

中へ入ると、左側にギルドの受付があり正面には掲示板があって

依頼書などが張り出してある。


右側には、2階へ上がる階段と雑貨屋が商売をしていた。

2階に何があるかはわからないが、とりあえずギルド登録しておこう。

俺はギルドの受付へ足を運んだ。


「すみません、登録をお願いしたいんですが」

事務仕事をしていた受付嬢は、俺の顔を見て笑顔で受け答えしてくれた。

「いらっしゃいませ、登録ですね。

では他のギルドのカードか身分証を提示してください」


俺は『魔術師ギルド』のカードを渡すと、傍にある水晶にカードを差し込み

「水晶に手を置いてください」

俺が手を置くと、一瞬だけ水晶が光り

「はい、もういいですよ~」

と、カードを水晶から抜いて俺に返してきた。


「はい、これで登録は完了しました。

依頼は正面にある掲示板から持ってきて、ここで提示してください。

その時にカードも一緒に出すことをお忘れなく。


これであなたも冒険者です、頑張って依頼をこなしてくださいね」

「ありがとうございます、ところでここの2階は何があるんですか?」

「ここの2階は資料図書館と、食堂がありますよ」


「へえ~」

「では、さっそく依頼を受けてみますか?」

「いえ、今日は帰ります。また明日」

「はい、また明日お待ちしていますね」


そう受付嬢と別れると、雑貨屋に寄らずに俺は家に帰っていった。






読んでいただきありがとうございます。

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