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魔法使いのおじさん  作者: 光晴さん


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第54話 青天の霹靂





『ナルバ』の町の東にある孤児院では、子供たちが元気に庭で遊んでいた。

そこで働く職員たちは、この町出身が半分。あとは王都から来た女性たちだ。


彼女たちが王都から来て1年になるが、今では子供たちとも打ち解け

さらに心の支えになっていて、ドラゴン事件の後遺症もようやくでなくなった。


もともと、孤児院は200人が生活できるように俺と町の大工さんたちで

建てたものなので、今の人数なら余裕をもって住むことができた。


117人の共同生活は、問題を生むこともなく毎日平和に過ごしている。


孤児院の資金は、町や国や領主からお金がもらえるわけではないが

俺やシャルたちをはじめ、孤児院の孤児の中にも冒険者としてスタートした

子供たちの収入で賄っている。


今の主な収入源は、錬金術の授業で作ったポーションが

商人ギルドで買い取ってもらえ、いい収入になっていた。


そう言えば、今でも王都やその周辺の町や村では

ポーション不足が続いているそうだ。

やはり、買い占めが続いているのだろうか?




そんな毎日を送っている中、今日は久しぶりに俺はシャルたちと

冒険者ギルドで依頼を受けて、森の中に来ていた。


「エリー、そこの薬草は2つほど摘んでおいてくれ」

「はい先生」

俺とエリーの2人が、地面に生えている薬草を摘んでいると

木々の間から、シャルたち4人が依頼の獲物を担いで運んでくる。


「恭也様、依頼書にあった『ガーネットボア』を仕留めました」



『ガーネットボア』とは、見た目は普通の猪系魔物のボアと変わらないが

1つ違うところが、顔の額に埋め込まれた『ガーネット』という宝石だ。


この宝石は宝飾品としての価値はないに等しいが、

『マナポーション』の材料の1つだ。

この『ガーネット』1つで『マナポーション』1000本分作れる。



「ご苦労様。それじゃあシャル、額の『ガーネット』を取り除いておいて」

「はい」

シャルは、ボアの額にある『ガーネット』を取り除き始める。


俺とエリーは薬草採取を終えて、帰り支度を始めた。

「…町に帰る?」

「ああ、依頼は片付いたからね。ギルドに納めて報酬をもらうだけだよ」


アミとクロエもアイテムボックスに荷物を仕舞い、帰り支度を始める。

「恭也様、『ガーネット』の採取、終わりました」

「じゃあ、それはシャルのアイテムボックスにしまっておいて」

「はい」


「この残りの『ガーネットボア』は、俺のアイテムボックスに入れておこう」

そう言うと、俺はボアをアイテムボックスにしまう。


「よし、忘れ物はないね?」

みんなを見渡すと、みんなが頷いてくれる。

「それじゃあ、今日の狩りはこれでおしまい。ギルドへ戻ろう」

「「はーい」」




『ナルバ』の町にある冒険者ギルド。

村から町になり、他のギルドや商店が増えていく中

この冒険者ギルドも改修案が出ていたが、村の時からの愛着があるとのことで

改修は見送られ、建物をきれいにするだけに止めた。


ギルド内にあった雑貨屋は、ポーションなどを売る薬屋になり

2階にあった食堂は、経営していた母娘は町中に食堂兼宿屋を建てて移っていった。


そして、食堂の後に喫茶店が営業を始めて好評を得ている。

喫茶店では、食堂の時と同じでお酒は出していない。

お酒を飲むときは、町中に酒場が何軒かできておりそこに行くことになっている。


そのため、冒険者ギルドでのテンプレ、からんでくる先輩冒険者というのは

この町では小説の中だけとなっているようだ。



夕方の6つの鐘が鳴るときまであと1時間ぐらいというところで

俺たちは、冒険者ギルドに入ってきた。


ギルドの中には、ちらほらと冒険者がいるものの

受付が混んでいるわけでもないので今日もジェシカさんの受付へ行き

依頼完了の報告と、依頼品を納めに行く。


「お疲れ様です、ジェシカさん。依頼品の確認をお願いします」

書類仕事をしている手を止め、俺たちに向き直るジェシカさん。

「恭也さんたちこそ、お疲れさま。

それじゃあ、依頼品をこのトレーに出してくれる?

それと、全員のギルドカードもね」


「はい」

シャルが返事をして、自分のアイテムボックスから『ガーネット』を取り出す。

「へえ、結構な大きさね」

ジェシカさんは指で大きさをはかりながら、驚いていた。


「『ガーネット』ってこんなものじゃないんですか?」

俺は、みんなのギルドカードを出しながら聞いてみた。

「う~ん、恭也さんが言っている大きさはこんなものよ。

『ガーネットボア』の育ちがよくても、歳を重ねていても大きさは変わらないわ」


「では、何が違うんですか?」

「えっとね、他の冒険者の人がこれを持ってくるときは

少し欠けているものが多いのよ。

『ガーネットボア』を仕留めるときに、どうしても傷がついてしまうみたいね」


なるほど、他の冒険者と俺たちとでは倒し方が違うのか…

俺たちは、ボアを魔法で拘束。そして止めをってやり方だから

額の『ガーネット』が傷つかないが、

他の冒険者はどうしても傷がついてしまうと。


「ん~、難しいですね。魔物の倒し方って…」

シャルが率直な感想を言っている。

「そうね、特に必要な素材がどこにあるかで難しくなるわね…」


ジェシカさんは、『ガーネット』を他のギルド職員に任せて

依頼完了の手続きとともに報酬をギルドカードと一緒に渡してくれた。


「あ、そうだ。

シャルちゃん、あなた『ニューレム王国』の出身だったわね?」

シャルは急に故郷の名前が出たことに、緊張しているようだ。

「は、はい。確かに私は『ニューレム』の生まれですが……」



「そう、今朝ね王都のギルドから情報が来たの。

『ニューレム王国』で革命が起きてわずか1日で滅んだそうよ」


「え……」







ここまで読んでいただきありがとうございます。


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