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魔法使いのおじさん  作者: 光晴さん


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第51話 ギルド御用達の奴隷商





王都への道中には、何度も兵士たちとすれ違った。

『ナルバ』の町で起こった事件は、王の元まで知らされていて

警戒態勢が布かれていた。


町や村を行き来する旅人や商人にとっては、安全で安心できるが

兵士や騎士が行き来する様子は、緊張を強いるものだな。




4日ほどかけて、王都に到着した。

相変わらず、王都の入り口は行列ができている。

あれに並んで入らないといけないとは、ため息が出るな…


そう思いながらも、長い行列に並ぶ。

今回は子供はいなかったが、2時間ほど並び王都に入ることができた。

何度目かの王都は、相も変わらず賑やかだ。


まずは、宿を確保してそのあと冒険者ギルドでジェシカさんの紹介状を見せる。

これで信頼のおける奴隷商を紹介してもらえるはずだな。



宿は比較的早く見つかった。

というより、今の時期はお祭り騒ぎになる行事などがないため

宿も、とりやすかったのだろう。


宿を出て冒険者ギルドへ行く。

王都の冒険者ギルドは、今のお昼時ともなると人は少ない。

ギルドに入り、正面の掲示板を眺めていると右側にある売店で怒鳴り声が聞こえる。


『ポーション売り切れって、ありえないだろうが!』

『本当に、申し訳ございません』

掲示板を見ると、『急募!薬師・錬金術師募集!』の張り紙が。


張り紙には、報酬を2倍から3倍出すのでポーション作りに協力をと

書かれていた。

何か大きな討伐でもあったのかな?と疑問に思っていると


俺の傍にいつの間にかいた冒険者が、教えてくれた。

「ポーション不足の原因は、最近噂になっている戦争が原因ですよ」

俺がその冒険者に振り向くと、冒険者は別の冒険者に話していた。


……俺に話しかけたんじゃないのか。何か恥ずかしい。


「戦争の噂か… 俺も聞いたことあるけど、この国には関係ないだろ?」

子供を連れた冒険者が、話しかけてきた冒険者に反論している。

「それがよう、この国も戦争に巻き込まれそうになっているらしいぜ」


「それ本当か?」

「ああ、この間国境近くの町に『ドラゴン』が現れたそうだが

それが帝国の仕業じゃないかってよ…」

「なんで帝国が… この国ともめることなんてないだろうに…」


「そこまでは知らないけどよ、そのせいで貴族たちが戦闘奴隷を集めているとか

ポーションなどを買い集めているとか…」

「ポーション不足はそのせいか?」


「らしいぜ、中には薬師なんかを雇ったなんて話も聞くぜ」

「どうなるんだろうな… 子供を連れて別の町へ行ったほうがいいかな?」

「ん~、ギルドも何か対策は考えているんじゃねえか?」

「だといいんだがな…」



何か、不安いっぱいの会話だったな。

売店で怒鳴っていた男はあきらめたみたいだな…



俺はジェシカさんの紹介状を受付の人に渡すと、

すぐに奴隷商のある場所を書いたメモを渡された。

ここに行けってことなんだろう。

受付の人に挨拶をしてから、ギルドを後にしてメモの場所を目指す。


メモに書かれていた場所は、少し入り組んだところにあったが

看板に『ギルド御用達』と明記されていた。

…この字をどれだけの人が読めるのかな?



その奴隷商に一歩入ると、想像していたものとは違った装いだった。

清潔感あふれる受付。

床にはごみ一つ落ちていない。

待合所になっている場所は、テーブルと椅子がきれいに整頓してある。


俺が、奴隷商の中を見渡していると女性が声をかけてきた。

「いらっしゃいませ、一条様でございますね?」

俺は、自分の名前を呼ばれたことにそしてなぜ知っているのか驚いた。


「ああ、ご安心ください。冒険者ギルドから連絡がありましたので」

「連絡ですか?」

「はい、うちと各ギルドとは契約を結び

魔道具によっての通信手段がございますので、すぐにわかります」


ニコリと笑顔を浮かべる女性。

「あの、それで奴隷を買いたいんですが…」

「はい、伺っております。何でも孤児院で働ける奴隷をお探しとか?」

「それもギルドから?」


「ええ、ギルドの受付で相談されたとのことですので

こちらも連絡を受け、迅速にご用意させていただきました」

…すごいな、ギルド御用達!


「人数で20人から30人とのことでしたが、間違いございませんか?」

「はい、その人数でお願いします」

「わかりました。ただ、うちで紹介するのはあくまでも働き手の奴隷です。

性奴隷や犯罪奴隷ではないので、毎月の給料をお願いしていますが…」


「勿論です。給料は月に金貨1枚を用意しています。

休みも週一で交代制を取ろうと思うため、人数が20人から30人になるんです」

「…なるほど、それを聞いて安心しました。

でも月に金貨1枚は多すぎませんか?」


「孤児院の子供たちはまだ成人していませんし、小さい子が多いんです。

そこを考えると、決して多くないと思いますよ」

「…ふむ、劣悪な環境というわけでもないようですね」


この質問とかは、通常の奴隷商にはないのかな?

「フフ、今他の奴隷商と違うのかと思いましたね?」

「わ、わかりますか?」


「ええ、うちの奴隷商を利用される方は、皆さん今までの私からの質問に

疑問を持ちますから。

ここは他の奴隷商とは違い、仕事を斡旋するところなんです。


それも、コネがないと普通は働けない場所が主です。

秘密厳守、そのための奴隷契約ですからね。

それさえ守れば、あとは普通の人と変わりありません。


だから、奴隷たちを粗末に扱ったり

通常の奴隷と同じに扱う人は利用できないようになっているんです」

「働き口を紹介するのに、

身分まで奴隷と同じ扱いはしてほしくないということですか?」


女性は、いい笑顔で微笑みかけた。

「その通りです。ではこちらにどうぞ、すでにご用意していますので」

奥に移動する女性を、俺は追いかける。







ここまで読んでくれてありがとう。


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