第50話 王都へ
竜人族の村から来たアシュリーは、椅子に座り『星龍王』に話をする。
アシュリーの話を聞く『星龍王』のオリビアは、魔法鞄から紅茶を取り出し
アシュリーの前に置く。
「いい香り…オリビア様、その鞄は何ですか?」
オリビアも鞄から紅茶を出し、自分の前に置く。
「フフフ、この間ここから西の大きな町でオークションがあったの。
そこで手に入れたものよ、『無限鞄』って言うらしいわ」
私は、その鞄に感心していた。
「それで、アシュリーはどうして私を訪ねてきたのかしら?」
紅茶を優雅に飲みながら、私に聞いてきた。
「はい、実は…」
私は、ここを訪ねてきた理由を話した。
兄のことや、村のこと、そして今後のことを……
私の話を真剣に聞いてくれたオリビア様は、紅茶を一口飲むと
「…いいわ、あなたの村の安全は私が何とかしましょう」
私は、オリビア様のその言葉に前のめりになり
「あ、ありがとうございましゅ…」
……何で大事なところで噛むかな、私。
「フフフ。
でも、アシュリーのお兄さんのことは私ではどうすることもできないわ」
「オリビア様でも、ダメなんですか…」
私は、落ち込んでしまう。
心のどこかで、オリビア様なら何とかしてくれるのではと思っていたのだろう。
ここに来る前は、私が何とかと思っていたのに…
「そんなに落ち込まないで、お兄さんのことは調べてあげましょう。
今どこにいるのかとかね」
私は顔を上げて、オリビア様を見る。
「オリビア様…」
「アシュリー、ここで修業をしてみない?」
「修行…?」
私は、オリビア様の提案に驚いていた。
『星龍王』に認められ修行をすると『龍王』の称号を得るとか、そんな伝説がある。
称号『龍王』
『竜語魔法』をマスターしたものが得る称号。
この称号を持つものは、現在3人の竜人しかいない。
『星龍王』と『爆龍王』、そして『聖龍王』だ。
「私がここで修業したら、『龍王』の称号を得ることができますか?」
「ええ、『龍王』の称号を持つものから修業をしてもらうと
『龍王』の称号を得ることができるそうよ」
私は、その言葉に飛びついた。
「やります!オリビア様のもとで修業しましゅ!」
…大事なところで、また噛んでしまった。
「修行を終えたら、兄を探しに行く…。必ず兄を……」
「アシュリー、修行は厳しいけど確実に今より強くなれるわ。
強くなったら、お兄さんを探しに行きなさい。強くなったあなたなら
探し出すことも可能でしょう」
私は、オリビア様に感謝していた。
「はい!よろしくお願いします!」
…この2人が恭也たちと出会い、騒動を起こすまでしばらくの時間がかかる。
▽ ▽ ▽ ▽
ドラゴン襲来の影響で、孤児院の人員不足が深刻になった。
子供たちがトラウマを抱えないように、ケアをしているがとにかく手が足りない。
今までの人とシャルたちでは、賄いきれなくなった。
そこで、冒険者ギルドのジェシカさんに相談に行くと奴隷購入を勧められた。
「奴隷ですか?」
ギルドの受付カウンターで、書類仕事をしながらジェシカさんが答えてくれる。
「ええ。しかも王都の奴隷商人の所での購入を進めるわね」
「どうして、王都なんですか?」
「王都の奴隷商の扱っている奴隷には、
仕事を求めて奴隷になる女性たちがいるのよ」
それは、初耳だ。奴隷ってなりたくてなるものじゃないと思っていたけど…
「…王都以外の奴隷商は、違うんですか?」
「違うわよ。王都には貴族や大商人の本店をはじめ様々な働き口があるのよ。
でも、そういうところには偉い人のコネとかが必要になる。
だから、秘密は守りますという証拠を示すために
条件付きで奴隷になる人がいるの。
特に、貴族の屋敷で働くメイドさんなんかは絶対条件ね」
なるほど、信頼のおける人からの紹介じゃない人は信用がないわけか。
奴隷契約で秘密厳守と縛っておけば、それだけで信用の代わりというわけね。
奴隷と聞くと、かわいそうという俺の見方は偏見なのか…
ギルドを出た俺は、孤児院に帰り王都へ行く旨を伝える。
孤児院の人たちは、人員が増えるとあって喜んで賛成してくれた。
シャルたちも、子供たちのお世話などに人手が増えると喜んでくれた。
…早く決断したらよかったかな。
「それじゃあ、行ってくるよ。シャル、後のこと頼むね」
「はい、行ってらっしゃいませ」
笑顔で見送ってくれたシャル。
ゴーレム馬車『軽ワゴン型』を走らせ、王都へ向かう。
今回、雇う奴隷は20人を予定している。
子供たちが70人近くいるで、今の職員を考えても20人はほしい。
そのため、集めるだけ集めたお金、金貨3000枚。
王都や道中で何もなければ、10日もあれば往復できるだろう…
ここまで読んでいただきありがとうございます。




