第49話 町の復興と竜人族
ドラゴンの襲来から5日が経過した。
『ナルバ』の町の復興は、すぐに行われたが
俺の修理する場所は多く、特に畑と塀の修理は大変だった。
しかし、家の残骸を片付けているときに2体の遺体を発見した時は驚いた。
その2人は、燃やされた家を片付けているときに見つけ
その後、町の墓地へ埋葬された。
難民の2人で、ようやくこの町で安心して生活していた時に
あのドラゴンの襲撃だ。
仲が良かったとか、近所付き合いをしていたとかはなかったが
同じ町に暮らしているものとしては、悲しい事件だった。
さすがに同じ場所に家は建てられなくて、町長と相談の上別の場所に
再び家を建設していた。
今回のドラゴン襲撃の被害者はその2名で、あとは避難の際に怪我をした人や
避難誘導の時に町民ともめてのケガ、ドラゴンたちから少し離れての様子見の際の
流れ弾ならぬ、流れ衝撃によるケガなどだ。
ギルドと町長との話し合いで、今回の被害報告は王国が帝国にも抗議とともに
送ったそうで、どんな反応があるか心配している。
孤児院側としては、この5日ほど子供たちの中には
夜眠れなかった子や、おねしょをしてしまった子、
1人で寝れずに大人と一緒に寝る子などいろいろと影響が出ていた。
しばらくは、子供たちの心のケアにかかりっきりになるだろう。
また俺も、あの赤いドラゴンにビビってしまったことで
もう一度魔法などを見直す、いいきっかけになった。
今度こそ、どんな魔物が出ようともビビらずどんと構えれるように頑張ろう。
その後、赤いドラゴンがどうなったかは知らないが
おそらく、あの女性の僕としていいように使われるのだろう…
▽ ▽ ▽ ▽
10日前、森のこの場所にドラゴンと人間が攻めてきた。
赤き豪傑のドラゴン『グローニー』は、私たちを逃がすため
自らが標的となって北へ飛び立った。
あれから、グローニーの姿は見ていない。
村のみんなは、あいつのおかげでさらに南の森の奥に逃げることができた。
私たちの村は、竜人族の村。
どうやって、あのドラゴンを連れた人族が私たちの村のことを知ったのか…
私たちの長は、グローニーのことはあきらめろと私たちに言いきかせた。
人族と関わり合いになることを、恐れたのだろう。
でも、私は私たちを逃がすために走っていったあいつの背中が
今でも目に焼き付いて離れない…
あいつを、グローニーを助けることはできないか…
人族に捕まったのなら、何としてでも助けてやりたい。
だって……
だって、あいつは私のたった1人の兄だから……
私は、一途の望みをかけて村からさらに南にある大きな岩山に住む
『星龍王』を訪ねることにした。
なんでも村の言い伝えでは、星の海を渡ったことのあるドラゴンだとか。
真実はわからないが、それだけすごいドラゴンなのだろう。
私は、覚えたての『竜語魔法』を使いドラゴンへ変身する。
「【ドラゴバーノ】」
私の足元に魔法陣が展開されると、一瞬の光とともに私は1体のドラゴンになる。
銀色のドラゴン。
この色は村でドラゴンに変身できる竜人たちの中でも珍しく、
私と一番上の姉の2人しかいない。
色でいえば、一番珍しいのは私の1つ上の姉の紫水晶のような色だろうか。
鱗の1つ1つが紫水晶のようになっているのだが、そのくせ頑丈で脆くはない。
本人は、私の繊細な心が表れたものよと図々しいことを言っていた。
とにかく、私は銀色の翼を広げ『星龍王』に会いに飛び立った。
南の大きな岩山の中腹に、洞窟が見える。
おそらくあの洞窟の中だろう。あの洞窟から強者特有の気配のようなものを感じる。
私は、洞窟の入り口に降り立つと『竜語魔法』を解除し竜人の姿に戻った。
そして、そのまま洞窟の中へと進んでいく。
10分ほどまっすぐ進むと、洞窟の行き止まりに黄色いドアがあった。
「は?」
一瞬、呆けてしまった私は頭を横に振りドアをよく見る。
どこにでもあるドアだったが、とりあえず開けて中へ入ることにした。
ノブを回しドアを開けると、中は広い部屋になっていた。
「お、お邪魔しまーす…」
部屋の中に入り、ドアを閉めると奥から人が現れた。
「はい、どちら様ですか?」
それはそれは美しい女性で、銀色のロングの髪、胸は羨ましいほど大きく、
腰はくびれて、お尻は…好みが分かれるな…
背は高く、スタイル抜群の人。
「あ、あの、『星龍王』様に会いに来ましゅた!」
初めてきれいな女性にあった驚きと、『星龍王』に会う緊張で噛んでしまった。
目の前の女性は、緊張している私を笑顔で迎えてくれる。
「フフフ、そんなに緊張しなくてもいいですよ。
私が、『星龍王』と呼ばれている『オリビア』といいます」
「は、初めまして、北の竜人族の村に住む『アシュリー』といいます。
今日は、お願いがあって来ましゅた…」
……また噛んでしまった。
「フフフ、アシュリーのお願いを聞く前にまずは座って。
話はそれからね」
『星龍王』が指を鳴らすと、部屋の真ん中にテーブルと椅子が現れた。
「…」
「これはね、『創造魔法』で作ったオリジナルの魔法よ」
すごい、『星龍王』様ってこんな魔法も使えるんだ…
ここまで読んでくれてありがとう。




