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魔法使いのおじさん  作者: 光晴さん
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第3話 魔法を覚える




俺は今、たき火を囲って座って本を読んでいる。

ここは、『ナルバ村』の道中にある野営地。

雑貨屋に寄った時、野営の準備があると便利だとかなんだかんだと

店主に勧められるまま『冒険者セット』なる初心者セットを買わされた。


銀貨2枚と安かったと思うので買ったのだが、こうして野営をしてみると

買ってよかったと思う。

何せ、俺と同じ方向に向かう異世界人は野営などの準備をしている人は少なかった。


「おじさん、ちょっといい?」

今話しかけてきたのは、俺と同じ馬車に乗り隣同士で座って少し仲良くなった高校生。

大野 勝君 17歳 職業が俺と同じ『魔法使い』。


でも行先は、『ナルバ村』の一つ手前の町『ナルキド』。

同級生たち何人かと冒険者として暮らしていくそうだ。

「ん?どうしたんだ」


「おじさんずっと本を読んでいるね、面白い?」

これは異なことを聞く。情報収集は大事だぞ、若者よ。

「面白いというより、わからないことがあるからな」


「でも、そんなに真剣に読むものでもないでしょ?」

今俺が読んでいるのが、メイドさんが渡してくれた『この世界の常識』という本。

そのままのタイトルだが、結構わかりやすい。


法律はそれぞれの国で多少の違いはあれど、ほぼ一緒だし

お金の価値は、銅貨1枚=10円といったところ。

銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨100枚で金貨1枚と100枚単位で次の硬貨になる。


これによれば『冒険者セット』は、2000円ということになる。安いじゃないか。


他にもいろいろと載っているが、まだ全部読めてない。

「そうだな、でも情報収集は大事だぞ?」

「それはわかっているよ、僕だって異世界物の小説とか読んだことあるし」


「それは、俺も読んだことあるな」

勝君は、ニカッと笑うと友達のもとへ行ってしまった。

いいな~、友達がいるのは…。

う~ん、お金貯めて奴隷でも買おうかな…。



俺は、『この世界の常識』という本を鞄にしまい

もう一つの本『初級魔術書』を取り出し読み始める。

異世界に来たならば、魔法は使ってみたいよね。職業も『魔法使い』だし。


さて、この世界には魔法がある。俺がいた地球には魔法がなかった。…たぶん。

しかし伝説では、30歳になれば魔法使いになれると誰かが言っていた。

……そんなことはどうでもいい、とにかくこの世界には魔法があるのだ。


まず四大魔法。火・水・風・土の4つ。

その上位魔法。炎・氷・雷・鉄の4つ。

さらに特殊魔法に分類される、空間・治癒・付与・光・闇の5つ。


そして種族魔法の精霊魔法。

魔力があればだれでも覚えられる、生活魔法。

他にも発見されていない魔法の種類があるのだが、この本に載っているのはここまでだった。


まず魔法を使うにあたって、この本が進めているのが『魔力操作』を覚えること。

本によれば、この『魔力操作』を覚えておかないと大事故につながる恐れがあるそうだ。


その昔、魔力操作を覚えずに火の魔法を使って小さい山をひとつ吹き飛ばし

抜け殻となった魔法使いが死んでいたとか。

そんな怖いことにならないように、絶対覚えましょうと書いてある。


『魔力操作』は簡単に覚えることができる。

まず、お腹に意識を集中させていると魔力らしきものを感じることができる。

そしてそれを操り、全身に巡らせたり指先に移動させたりを繰り返すと


『魔力操作』を覚えている。

あとは毎日これを繰り返せば、『魔力操作』をマスターし、どんな状況でも自然に字を書くように使えるらしい。


早速やってみる。

………できた。めちゃくちゃ簡単!驚いた!

でもこの簡単さは『異世界人』で『魔法のない世界』から来たからだろうな。


あとは『初級魔術書』に書かれている魔法を覚えれば、今日からあなたも魔法使い!

それと、俺に苦手魔法はない。本当は適正魔法が人それぞれにあるんだが俺にはなかった。

これも俺のスキル『魔道の神』のおかげか。


しかし、この『魔道の神』には弱点もある。

それは力が普通の人と同じになること。そのため物理攻撃力は普通の人と同じ。

勿論、強化魔法で体を強化することはできるが普通の人が強化したのと同じ。


だから俺は力を鍛えるより、対象の重さを変えようと考えた。

空間魔法の中に『重量軽減』の魔法を見つけたからな。

でも今は、空間魔法の『アイテムボックス』を覚えるのだ!


ファンタジーの定番、異世界生活の必需スキル、そして本推奨の最初に試すべき魔法。


で、さっそく本の通りに『イメージ』

………できた!

おお~、鞄が出し入れできる!超便利!これで荷物に悩むことはない!

「おじさん!それ『アイテムボックス』?」


「ああ、今さっき本で覚えたところだ」

勝君が俺の所に飛んできた。他の友達も集まってきたな。

「本の何ページに載っていたの?」


「待て待て、『アイテムボックス』を覚える前に『魔力操作』を覚えないと難しいぞ?」

勝君は、すぐに自分の本を鞄から取り出し『魔力操作』を覚えようとしている。

「おじさん、俺たちも覚えれるかな?」


「ん、君たちの職業は?」

「俺、『剣士』」

「僕は『僧侶』」

「俺は『忍者』」


確か、『魔力操作』と『アイテムボックス』と『生活魔法』は

異世界人なら誰でも覚えられるみたいなことを書いていたはず。


「え~と、どうやら異世界人なら覚えられるみたいだな。

君たちも『魔力操作』を覚えて『アイテムボックス』と『生活魔法』を覚えれば

役に立つこと間違いないぞ」


「よし!覚えるぞ~」

「僕も!」「俺もだ!」


みんな勝君と一緒に、『魔力操作』から覚えるようだ。

「できた。『魔力操作』めっちゃ簡単!」

「ほんとだ、すぐにできた」

「こんなに簡単とは…」

「すぐに覚えれば、忍術に生かせたな~」



隣から明るい会話が聞こえてくる。友達同士の会話だな…

おじさん、少し寂しい。







読んでいただきありがとうございます。

感想などをいただけると、幸いです。

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