第27話 王都出発
次の日、ベッドから起きるとシャルはまだ寝ていた。
今日で、シャルと一緒のベッドで寝るのも最後だな。
俺は服を着替えてから、個人の用事をすませようとシャルを残して宿を後にする。
俺が向かったのは『薬師ギルド』
ギルドで『中級薬書』を購入するとその足で、今度は家具屋へ行ってみる。
勿論購入するのは、ベッドなどのシャルが使う家具。
『ナルバ村』で暮らしている俺の家に、シャルの部屋を作ってそこに
購入した家具を置くつもりだ。
一通り必要なものを購入して宿の部屋に帰ると、シャルはまだ寝ていた。
すでにお昼近くなんだが、よっぽど疲れていたのかな?
しばらくすると、ようやくシャルが目覚めるが少し寝ぼけているようだ。
「シャル、今日王都から出発するぞ」
「…しゅっぱつ?」
やっぱり寝ぼけているな…
「ああ、俺の生活している村へ帰るんだよ」
「…むら……む…村!」
「ああ、俺たちは今日『ナルバ村』へ帰るんだぞ」
シャルは大慌てで、ベッドから起き着替え始める。
俺はシャルが慌てて着替えているさまを、じっくりと見ていた。
……やっぱり、大きいよな~
シャルは、王都の古着屋で買った普段着に防具屋で購入したベルトやブーツを履き
『魔術師ギルド』の店で購入した、淡い緑色のコートを着ると
髪を後ろで一つに結び、俺の前に立つと
「お待たせしました、準備できました!」と報告する。
俺は、アイテムボックスから背負い鞄を取り出しシャルに渡すと
「ベッドの上にある着替えはこの中に入れなさい」
シャルはその俺の言葉に、顔を赤くして鞄を受け取り着替えなどを入れていく。
「こ、今度こそ、準備できました!」
「うむ。それじゃ、宿を出ようか」
シャルと2人で宿の人に挨拶をして、宿を後にする。
俺たちはそのまま、王都の外に出るため東門を目指して進んでいると
門の近くに、シスターと女の子が手を繋いで立っていた。
「あれ?」
そのシスターと女の子は、俺を見つけると走ってよってくる。
「先生、探しましたよ」
「…探した」
俺は気になることを、2人の女の子に聞いてみた
「いつから探していたの?」
「…昨日から」
シスターは、少し赤くなりながら照れていた。
「それで、俺に何か用事が?」
2人はお互いを見て、少し遠慮がちに言ってきた。
「先生に、弟子入りしたいんですけど…」
「…弟子になりたい」
俺は驚いたが、この2人を連れていくことは問題ないのか聞いてみる。
「俺の弟子になることは、この王都を離れることになるけどいいの?」
「あ~、実はあの教会、住めなくなったんです」
「…」
女の子はうつむいて、シスターが詳しく教えてくれた。
以前から孤児院となっていたが、2人を残してみんないなくなったため
管理していた国が、2人に退去を促していたそうだ。
それでも、期間を5年ほど設けていたが担当者が変わり、期間が減らされ
今月中には出て行ってくれと言われたらしい。
それで何かできないかと、冒険者ギルドへのあの依頼だったと。
俺が依頼を受け、魔法を教えてくれたけど『貧民街』の人間に職はなく
それならもっと魔法を教えてもらいたいと、俺に弟子入りをお願いした。
というわけか。
シスターと女の子は、縋るような目で俺を見て
「あの、ダメですか?」
「…ダメ?」
俺は彼女たちの目を見て断れるほど冷酷じゃないし、それに寂しがり屋だからな。
「いいよ、一緒に俺の住んでいる『ナバル村』に行くぞ」
女の子たちは、笑顔で喜び
「よろしくお願いします、先生」
「…よろしく」
俺は2人に、俺の後ろにいたもう1人の弟子のシャルを紹介すると
3人で自己紹介していた。
その中で思い出したことだが、シスターの名前がエリー。14歳。
そして口数の少ない女の子が、ユニ。10歳。
……なんで、今まで忘れていたかな。
王都を無事に出ると、俺はアイテムボックスから『ゴーレム馬車』を取り出し
みんなを乗せて『ナルバ村』へ向けて出発した。
オークションに出品するために王都に来たが、帰るときには弟子を3人も確保できた。
いろいろな出来事があったが、そいえば『異世界人』に会わなかったな…
勇者がいないのはわかるが、他の連中はどこ行ったんだ?
俺の知らないところで、何かが起きているのかもしれないな……
それはさておき、村への旅は順調に進んでいる。
さすが『ゴーレム馬車』弟子たちが乗り心地に驚いていたが、今は寝ていた。
1時間ぐらいで静かになったと思ったら、寝ていたのか。
……うん、3人とも美人だから寝顔がかわいいな~
でももうすぐ野営地点だから起こさないといけない。
実は、このゴーレム馬車には野営道具は積んでいない。
なぜなら、寝るときはゴーレム馬車の中で寝ればいいし、食事は俺が
アイテムボックス内にストックしているので、それで済ませられるし
トイレはその辺で。
夜の見張りは、結界魔法で熟睡ができるのだ。
とりあえず、今日はもう日が落ちたしこのあたりで野営としますか。
ここまで読んでくれて、ありがとうございます。




