第2話 ギルド登録と派遣先
俺たちが召喚された場所で、これからどうなるのか考えながら待っていると
入り口と思われる場所に騎士団長らしき人や、3人の兵士に連れられて
男性の高校生が7人、女性の高校生が9人、教師だと思われる女性が2人、
合計18人が移動していった。
おそらくあの人たちが『勇者』の称号持ちだろう。
どんなことを王様から頼まれるのか、まあ俺には関係ないな。
それよりも、俺たちはどんなところに送られるのか…
そんな心配をしていたら、『魔法使い』と書かれた木の板を掲げた兵士が現れた。
よく見たら、『剣士』『戦士』などいろんな職業別に木の板が掲げられている。
「皆様、木の板に書かれた職業と同じ職業の方はそこに移動してください」
「職業『魔法使い』の皆様、こちらへお集まりください~!」
俺は、少し不安だったがここで何もわからないまま1人で動いてもしょうがないので
『魔法使い』と掲げられた場所に移動することにした。
確かに、『魔法使い』は多かった…
あれは購買のおばちゃんたちか?
それに男性教師や校長らしき人までいるな。生徒は男女半々かな。
何か法則でもあるのかと思ったが、スキルで職業が決まるのかも…
兵士の1人が、木の板を掲げた兵士の前に立ち説明を始めた。
「え~、それでは皆様にはまず『魔術師ギルド』へ登録してもらい
身分証明カードを作っていただきます。
登録はここでできますので、ご安心ください。」
兵士がそう説明している間に、兵士の横に机と椅子が用意され簡易の受付を作っていた。
そして、受付嬢が座ると登録が開始される。
「では、準備ができたのでこちらに並んで登録してください」
俺も列に並び、周りを眺めていると
他の職業の所でも、ギルド登録のため列ができていた。
このギルド登録は簡単で、机の上の水晶に手を置く。
しばらくすると水晶からカードが出てくる。そのカードを受け取り魔力を流す。
するとカードが光り、登録完了とのこと。
カードは免許証と同じ大きさで、カードには登録ギルドと持ち主の名前。
あとは登録ギルドのランクが表示されていた。
実はこのカードには、別ギルドの登録もできる。
それは、職業が『魔法使い』で魔術師ギルドに登録したうえで
お店をしたいからと『商人ギルド』へも登録できる。
つまり、登録ギルドは1つではないといことだ。
兵士の話では、複数のギルドに登録して大変なことになった人の話を
笑い話として話してくれた。
要は、ギルドへ登録だけして使わなかったら怒られますよって話だ。
兵士が再び前に立つと、今度は机の上に箱が用意された。
「え~、続いてはこの魔法の箱に手を入れて一枚『紙』を掴んでください。
つかんだ『紙』を私に見せて、そこに書かれている村や町、
都市へと移動していただきます。
この箱はいわゆる『魔道具』ですので、紙に書かれた場所の名前は
今のあなた方を必要としている場所、ということになると思います」
もう一人の兵士が、箱の横に立つと補足してくれる。
「もちろん、これは強制ではありませんが
必要としてくれる人たちのもとへ行った方が、良いことがあるかもしれませんよ?」
「では、1人づつ引いていってください」
並んでいた何人かは納得いかない表情をしていたが、
俺は必要としてくれるところがあるならばと、とりあえず納得しておいた。
そして俺の順番になり、箱から『紙』をひいて兵士に渡すと行き先を読み上げる。
「あなたの行き先は『ナルバ村』です」
「えっと、それはどこにあるのですか?」
場所がわからず、兵士に聞くともう1人の兵士が対応してくれた。
「それは、この『初級魔術書』の本と地図をお渡ししますのでお確かめください」
そう言いながら、兵士は本と地図を俺に渡してきた。
「お渡しした地図は、この王都からそれぞれの目的地までの地図です。
もし分からないことがある場合は、お近くの兵士詰め所までお尋ねください」
俺は、渡された本を開いてみると魔法のことが細かく載っていたが
初級編とあるように初歩の初歩なのだろう。
もらった地図も、王都から『ナルバ村』までの行き方しか書かれてなかった。
よくわからないことがあったので、その辺で作業をしている兵士に話を聞くと
作業を中断して、丁寧に教えてくれた。…良い人多いな。
で、聞いたところによると。
1、初級編以外の魔術書は、魔術師ギルドで購入できるとのこと。
2、当座のお金は、この城を出るときに金貨3枚が支給されるとのこと。
3、また、金貨とともにこの世界の一般常識の書かれた本ももらえるとのこと。
4、行った先の村で何をするかは、本人に任せるとのこと。
5、元の世界への帰還の方法は、よくわからないみたいだ。
俺は、兵士の人にお礼を言うと兵士は作業に戻っていった。
聞くこと聞いたし、もう移動してもいいみたいだし移動するかな。
どんな村かはわからないけど、異世界を楽しんでおくことにするか…
他の人たちも出口から、城の外へ歩き出している。
俺も本と地図を持ちながら、城の外へ向かって歩き出した。
しばらく城の中を外に向かって歩いていると、城門の傍でメイドさんが
一般常識の書かれた本と金貨3枚の入った袋、
そしてリュックのような鞄を、俺たち一人一人に渡してくれた。
俺は鞄の中に本2冊と、金貨3枚の入った袋を入れて城門を出ると
その足で、町の中にある雑貨屋へ向かった。
読んでいただいてありがとうございます。