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魔法使いのおじさん  作者: 光晴さん
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第11話 白い魔法使い



緊急依頼から、10日が過ぎていたが何もなかったな。

実は、ギルド長もジェシカさんもまだ帰ってきていない。

ギルドの職員の話では、オーク討伐に関してなぜか王都から人が来るらしく

帰るに帰れないそうだ。



俺は村に戻った後は、『ナルキド』で学んでおきたいことを思い出し、

今『ナルキド』の町へ来ている。

オーク討伐中は封鎖されていた街道も、討伐後封鎖が解除され、

再び辻馬車などの交通が再開されていた。


でも、今回俺は歩いて『ナルキド』へ来ていた。

…歩きしか、町へ行く手段がなかったからな…


それはともかく、最初に訪れたのは『薬師ギルド』、

ここでポーションなどの作り方を学ぶため

ギルドに登録をして『初級薬書』をもらう。


この本には、初級ポーションの作り方から傷薬・毒消し薬・各病気に効く薬など

『ナルバ村』では必要になる薬の作り方が載っている。

この本と薬師セットなるもので、村で薬を作るのもいいだろう。


次に訪ねたのは『鍛冶師ギルド』、ここでは10日間研修というのがある。

しかもその研修は、自分で作ってみたいものを教えてもらえる。

そこで俺は、馬車の作り方を教えてもらった。


研修を始めるさいに、教えてくれる先生に馬車だけでは早く終わるということで、

家具などの作り方もいっしょに教えてもらえました。


10日間の研修が終わるころ、

ギルドカードを確認すると『木工』と『木魔法』を獲得していた。



けっこう充実した『ナルキド』での研修だったな。

これを生かして、さらに村での生活ができるだろう。

俺は意気揚々と村へ帰るのだが、一つ忘れていたことに気づいた。


それは、俺の武器と防具だ。

実は俺の装備は、雑貨屋で購入した普通の服とズボン。それだけ。

……よくそんな装備でオーク討伐に出て行ったものだ。


いまさらながら、怖くなったな…

そこで、武器と防具を見に店に行こう。ついでにブーツも見ておこう。




俺は今この町で一番と評判の武器屋に来ている。

魔法使いの俺でも使える武器と防具をそろえようと思っていたのだが

……そんなものは扱ってなかった。


魔法使いの武器と言えば杖だが、

それを売っているのは『魔術師ギルド』だけだった。

また、魔法使いのローブもまた『魔術師ギルド』だけ。


どうやら魔法使いの武器や防具は、

他に需要がないので専門道具扱いになっているらしい。


買うならギルドしか扱ってないよ。とやんわりと断られた。

でも、ブーツはいいものが買えた。


ブーツに履き替えるとき、俺が履いていた靴を見て

「こんな靴があるのか…世界は広いな…」と職人が驚き褒めていたよ。

地球の日本産の靴、恐るべし!


勿論、買い取らせてくれと言われたが拒否しておいた。

たぶん再現不可能だと思うからな…



それから『魔術師ギルド』へ行くと、受付の女性に聞いてみた。

「あの、魔法使い用の武器と防具がほしいんですが…」

受付嬢は、笑顔でしっかりと答えてくれる。


「魔法使い用のものは、正面右手にある商店で販売しております。

いろいろございますので、自分に合ったものをお選びください」

俺は受付の女性にお礼を言って、商店へ移動する。

「どうもありがとうございます」



ギルドの右側にある商店に入ると、女性が1人で応対しているようだった。

「いらっしゃいませ、ごゆっくり選んでください」

俺はその言葉通り、ゆっくり選ぶつもりだ。


店の中には、いろんな杖が置いてあった。

定番のこれぞ魔法使いという杖もあれば、これ鈍器だろ?という杖もある。

また、先端に宝石が埋め込まれたものや

魔石がはめ込まれている杖もあった。


でも、どの杖も俺にはしっくりこなかった。

そこで店の女性に、

指輪か腕輪型の杖の代わりに使えるものはないか聞いてみた。

女性は少し考え、カウンターへ移動して


「でしたら、これなどいかがですか?」

と魔石がはめ込まれた指輪を見せてくれた。

「これにはめ込まれているのって魔石?」


「ええそうです、通常は杖を使われる魔法使いも

この指輪を使うことで両手が開きますからね。

宮廷魔導士様なんかは、手の指全部にこれをはめていた人もおられたとか…」

俺は、指輪をじっくりと眺めて

「これ、いくらですか?」


「これは金貨20枚です」

…高すぎて、手が出せない……

「高すぎて、手が出ないです…」


「そうですか…では杖にするか、杖なしで頑張るしかないですね。

今まではどうしていたので?」

「ん~、今までは杖なしで魔法は使えていたからな…」


「それなら、杖なしで頑張った方がいいですよ。

ご自分の魔法を使う時のスタイルは、

ご自分が魔法を一番使えるときのスタイルですから」

「なら、今は杖なしで頑張ります」


店の女性は笑顔で、応援してくれた。

「がんばってくださいね、お客様」

「あと、防具なんですがどんなものがいいですかね?」


女性は、俺の全身を上から下へ下から上へ見てから

「お客様なら、コート辺りがいいと思いますよ」

「コートだと、これからの季節大丈夫ですかね?」


「それは問題ありませんよ。

このコートの内側には魔法陣が縫われてありまして

自動温度調節ができるんですよ」

「へえ~、便利なものだ」


「お値段も、銀貨50枚とお手軽ですよ。

もっとしっかりしたものだと、もっとお値段が張りますけど…」

俺はコートを着ると、何かカッコいいかも…


「これ、買います」

「はい、まいどありがとうございます」

でもこのコート、白いんだよな…

黒いコートが定番なんだけど、これはこれでありかもね。






読んでいただきありがとうございます。

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