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「頼、起きて。繁爺が迎えに来ちゃうから」

「ん? ん~ 分かった」

目を覚ました瞬間に澪の笑顔が飛び込んできて覚醒した。

身の回りの整理を済ませた澪は姉ちゃんと俺が暮らしているマンションで一緒に生活をしている。

考えてみれば一番安全な場所なのかもしれない。姉ちゃんは正義感が誰よりも強い公僕でそれなりの地位にあるのだから。

そんな姉ちゃんがチョイスしたマンションはセキュリティーが厳重でちょっかいを出す奴なんていないだろう。

トーストを味わう暇もなくカフェオーレで流しこむようにして澪とマンションを出ると。

黒塗りのタクシーが待ち構えて乗り込む。


「おはようございます。頼様。お嬢様」

「おはよう、繁爺」

挨拶を済ませると繁爺が車を出した。


繁爺の車が止まった場所はお屋敷の前で。俺は務めていたお店を退職して新しい会社に勤め始めた。

社長である代表取締役は澪で俺自身も取締役に名を連ねていて繁爺はタクシーを運転しているが相談役をしてもらっている。

この話は澪が屋敷の処分について迷っている時にアドバイスをしたのが始まりだ。

「私はやっぱり屋敷は処分して公園にしたい」

「うん、そうだね。でも、俺は反対をしたいな。理由としては勿体無いし公園にするにしてもこのお屋敷は利用価値が高いと思うから」

提案としてはこうだ。

屋敷を取り壊さなくても敷地面積を考えれば広い公園になる筈で屋敷の一階部分の食堂をレストラン&カフェとして再利用したほうが価値を見いだせること。

それと元従業員に声を掛けて調理スタッフや給仕のスタッフとして戻って来て貰いたいことを上げると澪が一番喜んで取り壊しを撤回してもらえた。


広大と言って良い程のイングリッシュガーデンは入園料を頂いて、庭師に戻ってきてもらい庭園の管理を任せ。

レストラン&カフェは本物の給仕が接客をし、コックも一流の腕を持っている人達が戻ってきてくれた。

食事をしてくれた入園者には割引をすることを決め。

新しい会社を立ち上げたと言うのが本当の所だ。

経理や財務も元々屋敷で働いていたプロに任せ、澪が信頼を置ける人だけで固め屋敷から追い出された人達も屋敷に戻って来られて喜んでいる。

一流のコックが作る料理もポーションを少なめにし原価を抑えお手頃な値段設定にした。

そして一番の魅力は本物のメイドが接客をしてくれる事だろうか。

オープンして間もないのに週末は家族連れが多く訪れ。口コミで本物の料理と本物のメイドや執事に会えると話題になり売上は上々だ。

俺の仕事といえばコックと相談しながら新しいメニューやデザートなどを考え放浪の旅をしていた時に知り合った人を頼りに宣伝し。

澪も働きたいと言う事でレジをしたり簡単な片付けをしたりしている。


「おはよう」

「おはようございます」

元気な挨拶と共に新しい一日が始まる。

まるで何回も生まれ変わるかのように。





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