夢の中、ゲーム
「お兄ちゃ〜ん!ゲームしよ!」
これは夢だ。
一瞬にしてそう思った。
なぜならこの世界に翔太はいないともう知っているから。正確に言うならば、この世界はオレ以外に誰もいないから。
そう、これは夢だ。それなのに意識がハッキリしている。こっちが現実なのではないか、と錯覚するほどに。
こういうのを明晰夢、そう呼ぶのだろうか?夢を夢だと理解できること、それが明晰夢だ。
なるほど、そう考えると都合がいい。夢だけど、人と、翔太と関われるのだ。
「いいよ、お兄ちゃんが相手になろう。なんのゲームやる?」
「スマ◯ラ!ス◯ブラやろう!」
「ふっ、いいだろう!お兄ちゃんのドン◯ーコングが火を噴くぜ!」
「お兄ちゃん、ド◯キーコングは火を噴かないよ?」
…夢の中で弟に揚げ足を取られるなんて思ってもみなかったぜ…。
まぁなんにせよ、夢の中とはいえ久し振りに弟と遊べるんだ。楽しもう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「翔太!卑怯だぞ!PKファ◯アでハメ技なんて!」
「そう言うのを、負け犬の遠吠えって言うんだよね?お兄ちゃん♪」
お、弟が夢の中でウザくなってやがる…。
けっきょく惨敗しました。あのPK◯ァイアを破れなかった。今度やる時のために練習しておこう。
今度なんか来るか分からないけど。
遊び尽くした後に翔太が口を開いた。
「お兄ちゃん世界一周するんだって?」
なんで知ってんのかな、って思ったけど夢の中だった事を思い出して妙に納得した。
「…するよ。世界を一周するよ。」
「そっか…。大変そうだね。」
「大変だと思うけど、楽しみでもあるよ。」
翔太が優しい、それでいてどこか淋しそうな笑みを浮かべた。
「うん、応援してるよ。じゃあ、そろそろ覚めちゃうかな?お兄ちゃんともまたしばらくバイバイかぁ。」
「あ、そうそう。翔太、お土産なにがいい?買ってきてやるよ。」
「う〜ん、そうだなぁ、お兄ちゃんが笑ってればそれだけで充分お土産だよ。」
よく出来た弟である。本当に7歳か?オレより大人っぽく感じる。
「じゃあ、お兄ちゃんは翔太の為に笑って帰ってきてやる。」
そう言ってオレは翔太の頭を撫でる。
「うん、行ってらっしゃい。」
そこでオレは夢から覚めた。
夢の中とは言え、散々ゲームした筈なのに少しも疲れておらず、むしろサッパリしたと言っても過言ではない。
夢から覚めてしまったがまだ翔太に返事をしてなかったな。
「行ってきます。」
さて、今日から色んなところを周ろう。
どうもですです。くらげです。
今回は夢だけで1話使っちゃいました。短くてすみません笑。次回は最初に少しだけ家の中の話が入ります。




