今迄
何故そうなったのか覚えていない。
そもそも知らない。
"あの日"、目が覚めたら家族が居なかった。
"あの日"、慌てて外に駆け出した。家族だけが居なくなったのか、そうでないのか確かめるために。
街中探した。
何を?人をだ。
本当に一人もいなくなっていた。人っ子ひとり。夢じゃないかとも思った、夢であってくれと願った。しかしその夢は覚めてくれることがなかった。
"あの日"の夜は次の日起きれば元通りになっていることを願って寝た。その日は幸せな夢を見た。
弟の翔太と一緒に遊んでやる夢を。あいつは可愛かったからなぁ…。
目が覚めるとやっぱり一人だった。
一人で
独りだった。
幸せな夢から覚めて独りの街に戻ると、それはそれは残酷だった。
だが、同時に独りになれた、そんな風にも思った。
正直に言って親とはそこまで仲良くなかったのだ。というよりは、オレが勝手に親を苦手としていた。優しい親だったのだが、当時高校生という多感な時期だったからか、親と仲良くしたくなかったのだ。
今から考えれば滑稽ですらあるのだが。
さらに高校では友達と呼べる人がいなかった。
それが優しくしてくれる親を騙している行為にも思えて、余計に話さなくなった(これもオレが一方的に話さなくなっただけだが)。
"あの日"から1週間くらいだろうか?その間は一人で遊び呆けた。誰もいないのだから、誰もオレを止めない。カラオケだってタダで歌い放題だし、ボウリングだってタダで投げ放題だ。
食べ物にも困ることもない。
これはこれで楽しかった。有り体に言ってしまえば幸せな時間だった。
だがそんな風に感じていたのも1、2週間くらいだった。
そこから先は人が恋しくなった。人と話したくなった。
翔太に会いたいと思った。でも会えないと知った。
そして現在に至る。
ほら、湿っぽい話だったろ?
そして笑い話だろ?馬鹿な話だろ?人の温かさを忘れるなんてさ。
どうもですです。くらげです。
この世界にもしも自分しかいなかったら?って考えたことありますか?自分はよく考えてました。
じゃあ、そんな話書いちゃえ!って書いたのがこの話です。初めてで書く話じゃない気もしますが…
この話書くの楽しいけど思ってたより大変でした。
ではでは次のお話へ続く!