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彼女の失態

 相変わらずリリとユリエの出番が少ない……(T_T)

「っ、私とした事が……!」


 ディーは己の失態に歯噛みした。

ここの所、魂の在処を見出して浮かれていたのは否定しないが、それにしても迂闊としか言えない。幼い頃ならいざ知らず、こんな初歩的なミスをするのは久しかった。

 宿屋に備え付けられていた椅子の背もたれに身体を預け、深く息を吐く。


 冷静にならなければ。


 今頃焦っても何もならない。過ぎた時間は戻らないのだ。

今考えなければならないのは、いかにこの事態を乗り切るかという事だ。


「!そうだわ、確かあの商人…」


 その時、一筋の光明になり得る可能性を持つ人物を思い出す。

今朝食堂で会った、宿の常連だという若い人族の男。ロビンやリリとも馴染みらしく、商品だけでなく、行商先であった面白い話なども土産として披露していた。

そして――――そう、確かトゥンケーンの出身だと言っていた。






 「これなどいかがですか? ユーザ・ワアヤの市で手に入れたレースです。半端な長さしか残ってないって事で格安で仕入れましてね。ご婦人やご令嬢のドレスには足りませんが、人形のドレスと小さい女の子の髪飾りを作るくらいなら大丈夫じゃないでしょうか。」


「まぁ、クラシックレースじゃない。柔らかくて良い色ね。うん、この長さなら十分だわ。」


予想以上の成果を得たディーはホクホクとテオに対価を払った。


「本当に助かったわ。仕上げに入る段階で用意してたレースの長さが足りない事に気づいたの。ここまで来たらデザインの変更は出来ないし、手持ちの物は色があわなくって。」


「いえいえ、こちらも助かりましたよ。良い物なんですが使い道が限られてますから……傷む物ではないですが、行商としてはあまり永く在庫を抱えるのは良い事ではありませんしね。」


 広げていた他の商品を片づけながら、笑顔で応える。軽いし場所を取る物ではないが、馬車を持っていないテオのような行商は、なるべく売れ残りを無くすのが基本だった。


「……それしにても、夕食の途中にごめんなさいね。どうも、その、夢中になると周りが見えなくなっちゃって。」


 恥ずかしそうに詫びる彼女に、


「いやあ、お気になさらず。こんな美人のお客ならいつでも大歓迎ですよ。」


とやや乾いた笑いをこぼしながらも応える。

 そう、テオは食堂で遅めの夕食をとっていたところにディーの襲撃を受けたのだった。


 テオもエルフの“魂の在処”の事は知っている。彼らにそれを自制させるのは、小枝でドラゴンを倒せというより難しい。それに彼らが基本的に善良であり、総じて美形である事もあって大体の者はエルフの暴走を暖かく見守る傾向にある。


「ありがとう。でも、せめて晩酌のお酒とお摘みくらいは奢らせてちょうだい?」


そう言いながら、そっと火の初級魔法で冷めたパンとシチューを温め直し、ちょっと良い地酒と鶏の揚げ物を頼んでくれるのに、ちょっと得した気分になった。






「まぁ、本当に色々な国をまわっているのね。」


「馬車を持っていませんので、身の軽さだけが取り柄ですよ。」


 結局そのまま二人で飲みに入り、美味い酒と、長いけど美人と差し向かいという事で上機嫌のテオは珍しく何時もより少しだけ酔っていた。

酒は嫌いではないし、そこそこ強い方でもあるのだが、悪い酔い方をする従兄弟が居たせいで若干酔う事に対して忌避感がある。他人が泥酔するまで飲んでいても人それぞれと割り切れるのだが、自分に対してはそうもいかず、何時もつき合い程度、いってもほろ酔い程度で抑えてしまっていた。


「母が西方の遊牧民族の出でしてねぇ、そのせいか、あっちこっち旅するのが性に合うんですよ。」


「まぁ、西方の遊牧民族のいるあたりといったらこの辺からは随分遠いわね。じゃあ、お父様とお母様は旅先で巡り会ったのかしら。」

 

 旅先で運命の相手に巡り会うなんてロマンチックね、と嬉しそうに言う彼女を微笑ましく思いながら、ふと今は亡き母を想う。

 美しいが芯が強く、父への愛だけで生まれ育った地を遠く離れ、何もかもが違う石の都に骨を埋めたひと

父と母が互いに深く愛し合っていたのは間違いないが、女奴隷を仕入れてきた等とからかい、蔑む親戚連中ばかりか、使用人すら幾人かを除いては母を女主人とは認めず、蛮族と見下していた。

 涙はもとより、弱音を吐いたところすら見た事はない。

嘲りや中傷など何処吹く風、毅然と顔を上げ、微笑む姿ばかりが思い出される。

 幼い自分は母が不当な扱いをされる度に憤り、卑しい混血児だと父の目のないところで下らない嫌がらせをしてくる親戚や使用人を軽蔑していたものだ。

 だが、ひょっとしたら――――母からすれば父と私以外は路傍の石に等しかったのではないか、と思う。

心ない仕打ちに耐えていたのではなく、彼らの行いなど、虫の羽音ほどにも関心が無かったのではないだろうか。


 ――――――――「愛」の反対は「憎しみ」ではなく、「無関心」だという。


 記憶の中の母の面影からは、そちらの方がしっくり来るような気がする。

だとすれば、少し痛快だ。

思いがけずこぼれた笑いに、不思議そうにするディー。


「いや、すみません、ちょっと昔の思い出し笑いを。」


「良かったわ。トゥンケーンは大変だったっていうから、悲しい事を思い出させてしまったかもと思ったの。」


 やはり彼女は優しい。奴らとはなんという違いだろう。


「ご心配なく。両親が亡くなったのはずっと前ですし、親しい親戚も居ませんしね。あの時も、丁度僕は国を離れてましたし。」


「あら、じゃあ貴方もあの騒動の事は判らないのね。」


「いやぁ、判る者なんて居ないんじゃないでしょうかね。なんせ――――」


 ――――――――何の前触れもなく、突然王城が崩壊したというのだから。


 そこに居たはずの王や王妃を救出しようにも、軍を指揮する騎士団長や主な将校もまた瓦礫に飲まれたと見られ、城外にある王都守護隊の詰所はといえば不審火に見舞われ、それどころではなかった。

混乱する民を鎮めようにも、上が居ない兵など更なる混乱を呼ぶだけだ。

 こんな時に民を慰撫する役目を負う神殿の巫女は、不安を和らげる初歩の治癒魔法を使おうとして発動せず、つい昨日まで使えた筈の治癒魔法が一切使えなくなっている事に気づいてしまった。

その動揺のまま聖女に事態の解決を求め、そして更なる恐慌をきたす。

 神殿の中で最も美しく豪奢な聖女の間で、巫女達が見たのは――――――――引き裂かれた繻子のカーテンと粉々になった輝水晶の水差し。それらが散らばる床でもがき苦しむ、全身を赤と紫と黄の斑で膨れあがらせた聖女の姿だった。

 当初、毒を盛られたのだと思われた。

治癒魔法が使えない為、神殿の宝物庫に納められていた希少な解毒の魔道具が使われたが、何の反応も示さなかった。“解毒不可”の反応すら出ない事から毒ではなく病だと断定された。

 当時、トゥンケーンでは神殿と治癒魔法のあおりを食らって医療師が冷遇されていたが、それでも全く居ない訳ではない。

普段見下してくる連中に強引に連れてこられ、不満気だった老年の医療師は、聖女の惨状を見て直ぐさま医療に従事する者として目の前の患者に全力で立ち向かった。


 ――――――――が、原因はついに解らなかった。

 老医療師のつてで来れるだけの医療師が手分けして原因を探り、薬師はおろか暗殺ギルドの毒師まで駆り出したがそれらしい毒ひとつ、類する病ひとつとして見つける事は出来なかった。

 解ったのは、発熱はあるものの高熱という程ではなく、頭や身体の節々が痛むものの外傷や内出血、壊死等は見られない事。涙と鼻水が酷く、目や耳の粘膜に非常に強い痒みを覚える事。嘔吐する程ではないが吐き気があり、腹が下り気味ではあるが脱水症状を心配する程ではない事。そして、肌という肌が赤と紫と黄の斑に膨れあがって、特に顔などは見る影もなく酷い有様になっているが、それ自体には痛みなどの症状は無し――――――――つまり、命には別状が無い、という事だった。

 惨い状態ではあるのだが、現状打てる手もなく、普段冷遇して来た相手である事をさし引いても、それならば命に関わる別の患者の方に行くのは致し方ない流れであるだろう。まして、今は神殿の治癒魔法が何故か使えなくなっているのだ。


 そうして、とりあえず感染性も無いという事で医療師が対症療法を巫女達に教えて普段の患者の元に戻った頃、吉報が届いた。

それは亡くなったと思われていた王と王妃、王太子等崩壊した王城に居た者達が奇跡的に生きて発見されたというものだった――――――――但し、全身が赤と紫と黄の斑に膨れあがる奇病に冒された状態で。


 正確には、奇病に冒されているのは王族だけだった。宰相や騎士団長は、王城の崩落によって酷い怪我を負い、例え治っても剣を振る事はおろか歩く事は不可能だろうと思われるが、今のところ命に別状はない。

また、王族であっても血の薄い者――――――――例えば、先王の弟であるニークマウン公爵は体の不調だけでこの独特な斑は見られず(最も、持病の痔が大層悪化したらしいが…)、現王の又従兄弟であるカラァゲー伯爵は目と鼻の症状だけに留まっている。


 これが徐々に広がっていったのなら奇病、という事になるだろう。

しかし、症状の重さにかかわらず、いっぺんに発病したとなれば、これは……呪いなのではないだろうか?


 その噂はあっという間に広まった。


 曰く、王達は密かに大変な罪を犯していて女神の逆鱗に触れたのではないか。


 曰く、王城の地下では夜な夜な浚われてきた美しい娘が惨たらしい目に遭っていたのではないか。


 曰く、美貌をうたわれていたものの、年相応に陰りの見えてきた事に焦った王妃が自分より若く、美しい娘を妬んで拷問に掛けていたのではないか。


 曰く、皇太子は実は大変な女好きで、何十人もの娘を慰みにして、飽きれば手ひどく捨てていたのではないか。


 曰く、王は隠れ水虫で実はハゲ。


 ―――――等々、とんでもないものからどうでも良いものまで、様々な噂が駆けめぐった。


 奇病にかかったのは聖女と王族だけだったが、その他の貴族達が無事だったかというとそうではない。

いや、貴族だけではなく豪商等も、国に対してある程度の力を持つ者は悉く思わぬ事故や病に見舞われた。

更には何の変哲もない国民の中にもちょっとした事故や不運に見舞われる者が続出したが、流石にそこまで含めて良いのかは判らない。


 折り合いの悪い従兄弟も騎士団をクビになったと聞いた。

最も、今までやっていた物資の横流しやら賄賂の強制やらが明るみになっただけだというから、ただの自業自得だ。そもそも、騎士団自体ボロボロで、クビにならなくても良かったとは思えない。

 昔から、下賎な混血と見下して暴言を吐くくせに、わざわざ家や店にやってきては金品を脅し取っていくような奴だった。

 異変を聞いて、親父の残してくれたトゥンケーン内の資産を整理しに戻った時、あいつが俺がよくグリンダに立ち寄るというのを聞いてこちらの方に向かったという情報があった。

女将さん達や、世話になってる商売先に迷惑がかかったらと心配で急いで来てみたが、未だにそれらしい情報もないし、おおかた途中で派手好きのあいつ好みのヴェナーサ貿易国にでも方向転換したんだろう。

 実家の伯爵家も今回の被害を受けたらしいが、それでもこの期に及んで贅沢しようなんてしなきゃ普通に路銀としばらくの生活費くらい出るだろう。

それに、あいつは俺が行商で使ってる名前は知らない筈だし、このまま二度と関わらない事を祈るばかりだ。


 ――――そんな訳で、この未曾有の災厄によってトゥンケーン聖国は俗に言う無政府状態と化した。

そうなれば周辺国が黙って見ているはずもない。

保護、援助の名の下に、あっというまに各国によって国土は切り取られていった。それに参加していないのは、ここグリンドールくらいのものだろう。

直前まで他国を見下し、侵略の意図が明け透けに見えていただけに、何処の国も遠慮などしなかった。

 だがそれだけに、特に首都は混沌の坩堝と化している。

もはや国を統治する求心力も能力も持たない王族・高位貴族など、とりあえず生きているなら最低限の保護はする、というだけでどこの国にも放っておかれているらしい。貴族でも他国につてのある者は亡命し、残るは逃げるに逃げれず、右往左往する者ばかり。

おかげで統治機構はズタボロで、利権は欲しいが面倒はいらない各国による折衝はいっこうに進まず、未だ“元トゥンケーン”とだけ呼ばれ、崩壊しても新しい名さえ与えられていない。


 こんな未来を――――あの驕り高ぶった人々は想像すらできなかった事だろう。

女神オーファナによって聖別された選ばれた国なのだと嘯き、“異界の勇者”というまともな国なら眉をひそめる身勝手な“兵器”による侵略を画策していた、あの人達は。

 


 こんな事を言ってはいけないのだろうが――――正直、トゥンケーンが崩壊して、すっきりした。

行商で各国を旅してまわっていても、ずっと身体のどこかにこびり付いていた嫌なものが、いつの間にか消えて無くなったような心持ちがする。

 あれが本当に呪いなのかどうかは判らない。各国の奉ずる神官や巫女達でさえ、それらしい魔力は感じないと言う事だ。

ただ、何だか触れてはいけない、気がするらしい。


 ――――“それ”が何かは知らないが、感謝をする分にはバチはあたらない、と思う。




「ふうん、確かにそこまで変な話だとただの病とは思えないわよねぇ。」


 ほんのり染まった頬が綺麗だなぁと思いながらテオは頷く。


「そうなんですよぉ。でもねえ、呪いだとしても、それを解析したり解呪するはずの神殿があれでしょう? しかも、一応出身の俺が言うのも何ですけど、心当たりがありすぎるっていうか……」

「ああ、そうねぇ。最近あっちこっちでモメてたっていうものねぇ。」

「ええ、もうお恥かしいかぎりで。」

「あら、あなたは何も悪くないわよ。ホントに災難よねぇ。私になにか出来ることがあったら遠慮なくいってちょうだいね。」

「ありがとうございます。ディーさんみたいな美人さんとお知り合いになれたのが何よりです。」

「あら、うれしいわ。」


 良い感じで杯を重ねていく二人は、常連のおっさん達に暖かい目で見られているのには気づいていない。

 実は、すでに両親は亡いというテオがちょっとばかり複雑な家庭環境らしいというのは常連には密かに知られていたりする。

若いがよく気のつく感じの良い青年で、苦労したろうにそんな話は殆どせず、来る度に旅先での面白い話をよく披露してくれる。

 何より、やって来ればまるで生家に帰ってきたようにほっとした笑顔を見せる様子は、田舎と馬鹿にされる事も多いこの国を本当に好きなのだと雄弁に語っていて、女将や亭主をはじめ常連などは、もう息子か孫のように思っている者も多かった。


(相手さんがエルフっても、かみさんのが長生きなんてなぁ人族同士でも珍しくねぇしな。)

(ああ、ちっとばかり長えかもしれねぇが、かみさんが若いなんて文句いったらバチが当たらあ。)

(ちげぇねえ。)

(坊主にも春がくる事を祈ってかんぱーいっと。)


 呑んべえのおっさん達に密かに祝福されて、金の子豚亭の夜は更けていった。






 「わあぁ、ありがとうディーお姉ちゃん!」

 「ディーさん、いつもすみません。」

 「あら、良いのよ。好きでやってる事だもの。喜んでくれて嬉しいわ。」


 数日後、リリ達にディーの新作髪飾りとドールドレスがプレゼントされた。

モスグリーンのベルヴァ織りのドールドレスはシンプルで古風な型だったが、光を押さえた金糸で施された刺繍が品の良い華を添え、柔らかなクラシックレースが襟元と裾を飾る。

 同じ生地に同じ刺繍を施したリボンの髪飾りは、縫い縮めたクラシックレースのドレープを従えて、控えめな色彩ながらたいそう可愛らしい。


「秋祭りは絶対これにするの!」


 何より、リリも、さっそく着せて貰ったユリエもとても似合っていた。


「うふふ、ユリエちゃんの着ていた衣装を再現するするにはまだかかりそうだから、さしあたってと言ってはなんだけど……二人とも思った以上に似合っていて嬉しいわ♪」


 二人以上にご満悦のディーの笑顔はとろけるようだ。

このところ、少し髪が伸びてきたユリエは女将さんに綺麗に切り揃えて貰ったばかりだ。おかっぱから少し長くなった髪型に、品の良い古風なワンピースは相性が良い。

 ユリエがその場でくるりとまわってみせると、胸の前で手を組み、歓喜のため息をつくディーはそろそろ目の色が妖しい。


「ああぁなんて可愛いのかしらっ……! ああ今度はフレアスカートでふわふわシフォン、いえ、ダメよそろそろ寒くなっちゃうわ。そしたら裾を長めにとって縁に毛皮を……ウサギがいいかしら、それともミンク? そしたらお揃いのケープなんて素敵だわ。生地は――――――――」


 案の定暫く帰ってこない感じになったので、彼女はそっとしておく事にする。


「最初に着ていた服の印象が強くて、他の服が想像できませんでしたが……本当に良く似合っていますねぇ。」


 感心しきりなのはテオだった。

大体において、着せ替え人形を除けば人形というものは全体のバランスを踏まえて作られる為、同じような服以外はあまり合わない事が多い。特にユリエのように明らかに異相のものは、まったく型の違うワンピースなど酷くちぐはぐになると思われた。

 だが、この少し古風に作られた深い緑のワンピースは、まるで最初からこうだったかのように馴染んでいる。ユリエの髪が最初より伸びている事をさっ引いても、驚くべき事だ。

これは、ディーの腕がかなり良いものである証だろう。

単純な縫製の技術だけでなく、対象と調和するように仕上げるバランス感覚が優れているという事に他ならない。それは針子として、デザイナーとして大事な才能だ。

いくら美しい上等な服でも、誰にも似合わない服など買い手がつく筈もないのだから。


(これは、多少持ち出しがあってもこの縁を大事にするべきだな。)


 ディー自身はまだ修行中のしかも趣味の事だと言って自分の作品を売る事は考えていないようだが、いずれ名のあるお針子になるだろう。その時に、ドレスは無理でも飾り物を扱わせて貰えるようなツテは是非とも築いておきたい所だ。

少し高額でも人形服や子供服の材料になりそうなものの仕入れ先を考える。

 良い商人は先々の事も考えて商いをしなくてはならない。


「このレースはテオさんの商品だったんだって。」

「すごーい、こんな綺麗なレース初めて見たの。テオお兄ちゃんもありがとう!」


 笑顔でお礼を言ってくれるリリと、それにならってぺこりとお辞儀をするユリエ。

商人としての利益をさっぴいたって、こんな笑顔を報酬に貰えるなら文句などあるはずもない。


 ――――――――そう、別にユリエが恐くてたまらないので貢ぎ物をして少しでも点数を稼ごうとか、そんな事はないったら無い。










 え、トゥンケーンについての報告?


 勿論思い出してませんが何か?(笑)

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