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乙女ゲー主人公の妹になりました  作者: りり乃
1章 生徒会と先生と受験生
15/16

いつも通りではない日

私の朝は毎日姉の声から始まる。

「遅刻するよ!」と怒鳴られて渋々ベッドから出る。そして、リビングに行き席についたら姉がトーストと温かいダージリンティーをもってきてくれる。私は朝食を食べながら朝のニュースでやっている占いコーナーを見る。


『今日の双子座の運勢は…』


ふむふむ。今日は今週で最も恋愛運が高い日らしい。気になる人ともっと仲良くなれるかも、だと。ラッキーアイテムはウサギのぬいぐるみらしい。確か手のひらサイズぐらいのウサギのぬいぐるみがあった気が…。


「私、今日運勢悪いわね。物をなくしちゃうかもだって!ラッキーアイテムは人から貰った物ね」


そしてお姉ちゃんは自室に行き、この前私が姉に作った手編みの手袋をもってきた。


「げ、お姉ちゃんそれ持っていくの?もっと良い物あるでしょ?」

「私はこれが1番大切なの!」

「上手に編めなかったやつなのにー!…そういえば鏡夜は?」

「鏡夜は委員会の仕事があるとかであなたが起きる10分前くらいにもう学校行ったわよ」


よくそんな早く起きれるわよね。そういえば私と鏡夜は双子で同じ双子座。ってことは鏡夜も今日が最も恋愛運が高い日。委員会の仕事で女の子と一緒になって何かしらの恋愛フラグが立ったりして…!

1人で妄想を繰り広げていたらもう7時30分だ。そろそろ身支度をしなければ。トーストをいっきに食べ、ダージリンティーで流し込む。




そして、いつも身支度が終わるのは7時50分頃。支度が終わってすぐに家を出れば8時ちょっと過ぎには学校に着く。


そう、いつもならそうなる予定だった。


私はいつも通りに靴をはいて、いつも通りに玄関を開けて、いつも通りに自転車に乗ろうとした。ここまではいつも通りだった。

今日はやけに騒がしい。まるで不良達が喧嘩をしているような…そんな騒がしさだ。でも、まあ私には関係のないことだ。さっさと学校に行ってしまおう。自転車に乗るときに誰かが早乙女と叫んだような気がした。後ろを振り返ってみると、そのには鬼のような形相で走ってくる篠崎君がいた。はあはあと息を切らしながら私に駆け寄ってくる。


「俺が自転車こぐからお前は後ろ乗れ」

「何でよ。二人乗りはダメなのよ」

「いいからはやく!奴等がくる…!」


奴等?すると篠崎ぃぃぃぃと叫ぶ声が聞こえたので振り返ると、そこには私達の学校の問題児の先輩が5、6人いて、こちらも鬼のようや形相で迫ってきた。


「これは…やばいかも」

「だろ?だから早く乗れ」

「わかった…」


二人乗りは躊躇うが、あの人達には捕まりたくないから乗らなければ。


「篠崎君乗ったよ!」

「じゃあしっかり掴まれよ」

「重かったらごめんなさい」


ぎりぎり手の届きそうな所まできてしまったが、なんとか彼らを振り切る事ができた。しかし、あんなに先輩達を怒らせるなんて篠崎君朝っぱらから何をしたんだろう。


「篠崎君。あの人達に何をしたの?そうとう怒ってるけど」

「朝、花の水やりをしてたら、偶然通りかかったあいつらに水がかかって、誤ったんだが全く聞いてくれなかったから殴った」

「殴った!?」


いやいや、聞いてくれなかっただけで殴るのはいけないと思うよ。しかし、篠崎君が花に水やりをしていたなんて少しギャップがあって可愛いかも。花に水やりをしている篠崎君を想像するだけでお腹いっぱいになってしまいそうだ。


「ちゃんと掴まってるか?掴まってないと落ちるぞ」

「あ、うん。わかった」


掴まれと言われましても少女漫画などでよくある後ろからギュッと掴んでるのでいいのだろうか?それとも彼の服とか肩をギュッと掴めばいいのだろうか?悩みどころですね。


「あのさ篠崎君」

「ん?なんだ?」

「どうやって掴まればいいかな?後ろからギュッて抱きしめる感じか服とか肩をギュッと掴む感じかどうすれば」

「1番安定するのでいいんじゃね?」


1番安定?なら後ろからギュッと掴む感じか。篠崎君に言われた通りにしてみた。


「篠崎君ってさ私より身長少しだけ高いだけなのに体ガッチリしてるね」

「…当たり前だろ。男なんだから」


心なしか、篠崎君の顔が少し赤くなっているのは気のせいだろうか?


学校に近づくにつれて、生徒の数がしだいに増えてきた。私達が通り過ぎていくと皆からかうような顔で私達を見てくる。やっぱりこの掴み方恥ずかしいような…。

皆に私の赤くなってる顔を見られないように、篠崎君の背中に顔を(うず)める。


「なにやってんだよ早乙女…ってやばい。日向だ!」

「え!?ちょっと降りなきゃ!」


私が焦ってしまって、篠崎君から手を離した時にはもう遅かった。自転車がバランスを崩して倒れてしまった。私は顔面から落ちてしまい、鼻血が出てきて、私が落ちたところは血で染まっていてちょっとしたホラーだった。


「大丈夫か、早乙女!?」

「あ、うん。多分鼻血出ただけだから大丈夫」

「鼻血だけじゃねえぞ!額すっげー擦りむいてるぞ!日向!ちょっとこっちこい!」


篠崎君は彰君を呼んだ。篠崎君、こんな鼻血だしてる姿人に見られたくないんだけどなー。でもしかたないか、篠崎君の反応見ると私の怪我ちょっとどころじゃなさそうだし。


「どうしたんだ篠崎…!?雲雀どうしたんだ!え?顔面から転んだ?とりあえずはやく保健室に…」

「俺が運んでく」


そして、篠崎君は意識が朦朧としている私をお姫様だっこをした。私の意識はそこで途絶えた。







目が覚めたらベッドの上だった。最初はぼやけて見えなかった視界もしだいにはっきりとしてきた。そして、私の目の前には篠崎君がいた。


「あ、篠崎君おはよう」

「おはよ。怪我痛くないか?ごめんな、俺のせいで」

「篠崎君のせいじゃないよ。突然手を離した私がいけないんだよ。ありがとね、保健室まで運んでくれて」


ニコリと微笑んでもう一度ありがとうと言った。時計を見たらもう昼休みの時間だった。私はあれから5時間ほど眠っていたのか。


「篠崎君、私お腹すいた。食堂にご飯食べに行きましょ?」

「わかった。お詫びにおごる」

「ありがと!今月お金ピンチだったのよ!」


そして、私達は保健室を出て食堂へと向かった。


二人乗りしていた反省文を書かなければいけないことを知らずに。



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