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僻地の門番の話。  作者: 多喜
4/22

いればいいってもんじゃない

いつにもまして主人公がぼっち。

おかしいな、なんで進まないんだろう。


傭兵、と一言に言ってもその仕事内容にはかなりの種類が有る。


兵と呼ぶぐらいなので基本的に戦闘要員だ。

なので魔獣の討伐や盗賊退治が仕事の優先事項だがそんな仕事がそう多く有るわけではない。

必要に応じて国サイドから依頼が来てソレをこなすが、それ以外のときは国ではなく傭兵の集団の中で給金や仕事が割り振られる。

国の依頼も受ける警備会社的なものである。


よって自分達が使用する馬の世話やお金の管理、人事管理や新人育成のための指導員、設備の修繕など前線にでないどころか下手をしたら太陽の下にすらめったに出てこない仕事も多々ある。


前線にでるものたちは日々訓練をしながら街や国の警備などにまわされている。

主だったもので言えば街中の巡回、これは直接店などにも顔を出すためその土地出身のものと、聞き込みやくとしてあまり目立たない顔立ちのものが多い。

国境警備、これは騎士との連携も有るためそこそこ長く勤めているものがなることが多い。

そして門番、不審者の進入を未然に防ぐためにも、他国に舐められないためにも見た目に厳ついものが配置されがちだ。


騎士は何をしているのかといえば、機密性の高い文書の受け渡し、式典やパレードの参加、下手に人気がでた騎士などは貴族の夜会によばれることすらある。仕事の種類は違えど忙しさとしてはそう変わらない。

特に騎士はその絶対数が少ないため書類などがよく滞っている。


そして犯罪というものはえてして人目に付かないところで起きるものである。

結果、遠目にでもわかる立派な体躯と木刀をへし折った腕力を持ったジンは人気の無い門に配置された。

はじめの一ヶ月は仕事に集中させるため、新人は訓練所が使えないためジンは寮と仕事以外で人にあう機会がなくなる。

加えてジンは知らないが初日から寮に入るものは少ない。皆家から通えたり通えずとも荷物の準備などがあるため大体のものが訓練所が使える一ヶ月後くらいにはいる。

そんなわけでジンは仕事であう人間と食堂のおばちゃんたちぐらいにしかあっていない。


人数の関係上そこの門番は一人。昼と夜の交代や休みの関係もあって全員で四人いるが、実質そこに立つときは一人である。しかも何時から手入れがされてないんだと聞きたくなる獣道な場所だ。そんなところ人が通りかかるはずも無く。



「暇だ。」


あんなに男がひしめき合っていたというのに寮にはいってからこっちほとんど見ていない。

いや上司とか先輩とか見てるけど圧倒的に数が合わない。


「萌えが足りない」


くっとかみしめる台詞は切実であるが内容がないようなのでまったく共感は得られない。


上司がものごしやわらかい中性的な文系であるということもそれに拍車をかけていた。

文系も細身もいい、しかし中性的なのはいただけない。なぜなら妄想してると別に女子でもいいきがしてくるから。

いや、でも女装男子や男の娘は美味しくいただけるんだから中性的でもいけるはず。

きっと俺の調理法 (妄想力)がいけないに違いないとジンは気合を入れなおす。


相手が上司であるということはジンにとってはたいした問題にならない。



「ふふふ。」



何のための大浴場と食堂だよ!大浴場はいつ行っても貸切!食堂はおばちゃんとすっかり仲良し!

悪いことじゃないのにこの寂しさはいったい何か、考えなくともわかっている。

あのときのマッチョや理系男子や爽やか美少年達はどこにいったんだ。


趣味と仕事の両立というのはなかなかに難しいものであるらしい。


ジンはイライラをこめて無意識にその辺に生えている草をぶちぶち引きちぎる。

帰り際に一部だけむしれた草に違和感を覚え、部分的に禿げ上がった地面に申し訳なくなった。

せめて平均的にしようと草むしりに励む姿は地味に情けないが、幸いここは人が通りかかることなんてないため大男が背を丸めて草むしりに励む姿を目撃する人は今のところいなかった。



連日草むしりに励むと雑草はすっかり綺麗になった。

しかしこれだけ動いても疲れるということが無い。新しくなった自分の身体のハイスペックぶりにニマニマすてしまう。


草も見える限りは綺麗になったし、いっそ花でも植えようか。

いや、どうせ植えるなら食べられる植物にしよう。そのほうが収穫する楽しみあるし。

何がいいだろう、どうせなら雰囲気に合うものがいいな。

門の雰囲気的には薔薇とかソレっぽいんだが。

ここは一つ空間的なトータルコーディネートがいいきがする。



林っぽいところに覆われた獣道、門はところどころ苔むしてて門番は交代が来るまで一人ぼっち。


「これは・・・・まさか!」



ジンははっとして思わず自分の口元に手をやる。

・・・触手ものの設定環境が整っているだと!?


ちらりと鬱蒼とした林をみる、見れば見るほどそれっぽい。

いやまて落ち着け俺、触手なんて不自然な植物わざわざ草があるところに擬態させなくてもどこからでも発生は可能だし、最近では植物よりもスライムとか生物系のほうが出てるっぽいし。

ってそれも違う、そもそも触手の種なんて持ってない!

いやそうでもなくて!


目を閉じ大きく深呼吸して気持ちを落ち着ける。

グロイ系はだめだって決めたじゃないか。俺は紳士、俺は紳士、俺は紳士何度も脳内で繰り返してカッと目を開ける。



食べれるもの!

野菜を植えよう!だって俺は紳士なんだから。!



何かを振り払うように一心不乱に野良仕事に励んだジン。

門番としては完璧にアウトだが、収穫された野菜はなかなかのできだったという。



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