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僻地の門番の話。  作者: 多喜
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ある雪の降る夜の話

※文体模索中です。書き方が安定しないので悪酔いしないようにご注意ください。警告タグは終わるまでに全制覇したいという願望。


設定皆無で進行中のため帳尻あわせのための改変が頻繁に行われる可能性があります。

妄想がそのまま文になればいいのに。

この世界は大きく分けて五つの土地に分かれている。


まず東西南北の四つ、その土地ごとに一番力の有る一族が各々の土地を守護している。

その四つの土地のちょうど真ん中に位置するように存在する都市クロイツ。

一番土地の面積は小さいながらも、一族の力を誇示するように幾重にも張られた結界と、優れた医療魔法の発達により何百年もの間、四つの土地をまとめ王国として栄えてきた都市である。


その王国のはずれ、人通りがなさ過ぎてほとんど獣道とかした細い路地にその男は居た。

どこに居ても目立つ、人より頭一つ分大きな身長。

鍛え上げられた筋肉がみっちり詰まっているであろう厚い胸板に太い腕、ソレを支える張りのある太もも。

がっしりした体型でありながら決して重そうに見えないのはすらりと長い足のおかげだろう。


腕を組んで眉間にシワを寄せるそのたたずまいだけで十分門番の役割を果たしている男は、空を行く名も知らぬ鳥を見上げ誰にも聞こえないような小さな声でつぶやいた。


「萌えが不足してる。」


内容はともかく、その低く抑えられた声は美しいテノールであった。








男は皆からジンと呼ばれていた。

元は誤解から生まれた名だが、本名を呼ばれる事はもう無いため本名としてしまってもいいかもしてないとジンは思った。

ジンのもともとの名前は陣内じんない 瑠香るか、れっきとした女性である。

ある会社帰り、酔っ払って家に帰る途中に路上で眠った。とある寒い日のことである。

死因は凍死。あっけない最後であったが瑠香はソレをどうとか思ったりはしていなかった。

次に目を覚ますと自分は見知らぬ老夫婦の家に寝かされていた。


「お兄さんは、こんな雪の中どこへ行こうとしたんだい?おじいさんが見つけなければ春まで雪の中だったよ」


答えようとしたが上手く声が出ない。寒さで感覚が麻痺してしまっているせいだ。

俯いて何も答えない瑠香に老婦人は気分を害した様子もなく質問を重ねる。


「そういえばお兄さんは名前はなんていうんだい?」


必死にかすれた声で名乗る。しかし最初の方しか音になっていなかったのだろう。


「ジンっていうのかい?あたしはモリー、おじいさんはグリム、なにも無いところだけど雪が止むまでゆっくりしていくといいわ。」


ソレが瑠香のジンとしての始まりだった。



翌朝目覚めて自分の身体の変化に悲鳴を上げ、モリーを驚かせてしまい、いやな夢を見たのだと取り繕えばそれ以上聞かれる事はなかった。

待てど暮らせど戻る気配のない身体に、春になる頃には瑠香はすっかり馴染んでしまった。

モリーとグリムは瑠香を本当の子供のように可愛がってくれたし、わからない事はなんでも教えてくれた。

国の話や通貨の単位、おおよそ常識だと思われる事まで聞いたのに不振な顔もせずやさしくしてくれる二人に瑠香もいつしか第二の親の様に思うようになっていった。

少しでも役に立てるならと力仕事を買って出て、精力的に働くうちにいい感じに鍛えられた身体を見てモリーは言った。


「ジンくらい体格が良ければ立派な騎士になれるだろうに」


そうして瑠香はこの新しいからだの新たな可能性に気が付いた。


これはリアルBLを堪能するチャンスじゃないかと。


瑠香は腐女子というものだった。

よく見ればこの身体はなかなかの美形である。体つきも最初の頃に比べてがっしりしている。

男の中に混じっても全く違和感は無いだろう。

むしろなぜ男になったとわかった瞬間に気がつかなかったのかと不思議に思うほどにその考えは瑠香の中のにすっぽり収まった。


しかし現実世界でBLなんてものは存在するのか、答えは否。

瑠香はわりと常識を重んじる人間であった。


だが瑠香はそこであきらめるような人間ではない、実現しないなら妄想すればいいじゃない!


そうして瑠香はジンとしてクロイツを目指す決意をした。


モリーが言った騎士になるという事は国に仕えるということだ。

特に国王やその血族を守ったり式典に出たりと幅広くこなさなければならないため貴族出身のものが多い。

他に国では傭兵を雇っていて主に街の警備などはかれらがしている。

当然、実践が多くなるため下手な騎士より強いものはおおぜいいる。

それでも騎士になるにはさまざまな条件があり、ゆえに非常に狭き門である。


しかし何事も例外は有る。

強いものの中には魔物と契約を結ぶ事ができるものがいる。それには相性が有るため契約を結ぶものはそう多くない。

そのため契約者は例外として認められている。

そこには才能有る人材を他国にやりたくないという国の政治的な考えももちろん絡んでいたが、契約者個人にはなんら関係のないことである。


まあそんな事だろうと思っていたジンは特に気にも止めず傭兵に志願した。

ジンの目的は国を守る事でも故郷に錦を飾る事でもなく、男と男の絡みを妄想する事であったので全く問題にならなかった。


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