第4話 原作主人公のポテンシャル
第4話 原作主人公のポテンシャル
「この度は本当にありがとうございました。貴方のお陰で被害は最小限に抑えられました。私個人として領民を代表してお礼を申し上げます」
そう言ってカーヴェル子爵が頭を下げてお礼をしてくる。
「頭を上げて下さいカーヴェル子爵、私は領民を守るという当たり前の事をしただけです。今回のスタンピードはそれなりの規模でしたし気にしないで下さい」
「そう言ってもらえると気が楽になるよ」
「では私はこれで」
この三ヶ月の間にアッシュは光・水属性魔法の上級を習得し、さらに魂装顕現まで扱えるようになってしまったのである。
さすが原作主人公、ポテンシャルが違いすぎる。……いや、俺も結界魔法を安定して使えるようになったのだから、彼のことばかり言えないのだが。
「魂装顕現『紅蓮双剣』」
アッシュがそう呟くと燃えさかる炎のような色合いの双剣が現れそれを使い訓練用の的に斬り掛かっていく。紅蓮双剣は炎を操ることができる剣だ、その温度を調節し鉄さえも溶けるような温度で鎧ごと相手を斬るそれがゲームでの彼の戦闘スタイルだった。元々鍛えていたこともあり筋が良いと家の騎士達が褒めていた。
「はぁっはぁっ、やっぱりこの技は魔力消費が激しいよ」
「まぁそうだろうな、魔力量は成長に応じて伸びていくから今の俺達の年齢だと10秒保てれば上々さ。消費しきることでも魔力量は増えるからじっくり増やしていくぞ」
「分かってはいたけどきついねあの強さも納得できるよ」
「強くなるには地道に努力していくのも大切さ」
「そうですよ、努力は必ず実ります」
「俺もようやく上級魔法を詠唱破棄して撃てるようになったよ、訓練はちょーきつかったけどな。ここの騎士団と魔法兵団はレベルが高すぎるんだよ」
そんなこんなでアッシュと共に鍛錬し1年が過ぎた、アッシュの成長は凄まじく安定して魂装顕現を使いこなせるようになった。一方の俺はというと前世の推しであったヒロインとの婚約が突如決まり動揺を隠せないでいた。VCS20に登場する悲劇のヒロインことフィーネ・フェザント、彼女は巨人族でとにかくでかいの一言に尽きる。VCS20の舞台となる国は多種族国家で人間以外にもエルフ、吸血鬼、ドワーフ、巨人、鬼とにかく様々な種類の者が暮らしている。
フィーネ・フェザントの父親であり侯爵家の当主でもあるカルラ・フェザント、フェザント家は元々伯爵位を持つ貴族であったが数年前の戦争で武功を上げ侯爵となった。父によると彼は豪快な性格でとても話しやすいが戦場にたった姿はまさに鬼神のようだと語っていた。
それにしてもまさか向こうの方から婚約の話をしてくるとは、たしかに最近は領内を視察したり他領の救援などにいったりとして何かと感謝されていたがまさか彼の耳にまで入っているとは。まぁ社交界で顔合わせたあと父にフィーネと婚約したいと言うつもりだったし好都合だが。
フィーネはVCS20では一応主人公と結ばれるものの最終決戦にて命を落としてしまう、他のヒロインと結ばれるルートは平和に終わるのに何故かフィーネのルートだけ救いがなかったのである。この点がVCS20唯一の欠点と言われていた。
ともかく明日はフィーネとの顔合わせだ推しの彼女に会えるのを楽しみにしつつ眠りについた。




