第11話 アルカバン大監獄
第11話 アルカバン大監獄
アルカバン大監獄はグレン領北部に位置している、偽装も兼ねて見た目は至って普通の宿屋だが地下には囚人を収監する牢獄が建設されている。その中でも特に危険な囚人、主に元魔王軍の幹部がいる。
「この部屋です、くれぐれもお気をつけて」
VCS20に於いてリュゼルに並ぶレベルで報われないと言われているのが四天王アトラーである。彼はその力を見込まれ魔王から勧誘と言う名の脅迫を受け魔王の部下となった。
家族を瀕死の状態にされ助けたければ部下になれと言われたのだいやいやでも家族のことを思えば従わざるを得なかったのだろう。
そして洗脳の魔法をかけられ四天王となってしまったのだ、闇属性の魔法である洗脳魔法を解除できるのは専用の魔道具か闇属性に適性のある者のみ、つまり⋯⋯
「誰だ?」
肉体は封印されているが精神は話すことのみできる状態となっている。
「俺はリュゼル、ここアルカバン大監獄に最高責任者であるゼガルド・グレイ侯爵の嫡男だ」
「グレイ侯爵か、あの爺さんの子孫が何のようだ?」
「全てを思い出すときが来たのさ『悪夢に終止符を』」
黒いモヤがアトラーを包んでいき色がさらに濃くなっていったあと霧散する。ついでに封印を解いておく。
「これは一体⋯⋯頭のモヤが晴れたみたいだ。気分がいい」
「上手くいったみたいだな」
「あぁ、思い出したよ俺が何者だったのかもなぜここにいるのかもな。全てあのクソ野郎が原因だってことをな」
洗脳は解けたようだな、成功してよかったあとはどうこちらに引き込むかだが。
「四天王として奪ってしまった命はもう取り戻せないならせめてもの償いとしてこれからはあいつらを倒すために戦うよ。俺を仲間にしてくれないか?」
まぁ、彼の性格を考えればそう言ってくれるだろうと思っていたよ。
アトラーが得意とするのは強化魔法、通常は身体能力を2〜3倍するが彼の場合10秒間という時間制限付きで40倍にすることができるのだ。
おまけに魂装顕現である『覇王の金棒』は3秒間所持者の全能力を100倍にすると言うぶっ壊れっぷり、この性能のキャラが四天王最弱を自ら名乗るのだからプレイヤーの間で大きな話題となった。
「分かった、父上にはこちらから話しておくよ、これから宜しく頼むアトラー」
「この身を持って貴方をお守り致します」
熱く握手を交わした次の瞬間地上からとてつもない爆発音が響いた。
「やはり洗脳が解けているか、アヤツを失うのは手痛いが敵の手に渡らせるわけにもいくまい。処分するぞ『獄炎槍』」
黒き炎をまとった槍が宿に向かって飛んでいくが結界に阻まれ霧散する。
「ふむ、この程度では傷1つ付かぬかならば『獄炎之渦巻・双』」
2つの黒い炎の渦巻が結界に襲いかかっていきついに轟音をたてて突き破る。
「さて、消えてもらうぞアトラー!『獄炎滅雷球』」
炎と雷が合わさった魔法の球がおよそ千個こちらに向かって飛んでくる。
『黒炎槍・黒水槍』
黒き炎と水の槍を生み出し迎撃していき徐々に数を減らしていく、すると上空から声が響いてくる。上を見上げると
「やるではないか小僧」
そう不適に微笑む男がいた、あの男こそ最悪の魔王エルクスだ。
闇属性の魔法を極め続け闇属性に限ればゲーム終盤のリュゼルですら敵わない実力の持ち主今は弱くなっているようだが勝てる保証はゼロに等しい。なら⋯⋯
「フィーネっ!これを思い切りぶっ叩け!アトラー少しで良い時間を稼いでくれ」
俺は事前に用意していた袋に入った光を放つ爆弾を投げる、それをフィーネが槌で思い切り叩くすると袋から光が溢れ出し爆発する。
その隙にフィーネの手を取り影転移を使って屋敷へと戻るのだった。
「久しいな、アトラー。気分はどうだ?」
「お前の顔を見た途端テンションダダ下がりだ『身体強化!』」
身体能力を強化してエルクスに襲い掛かるが簡単に防がれる。
「蒼炎球」
通常よりも温度が高く威力の増した火炎球を
放ち距離を取っていく。ある程度距離を取り、魂装顕現を発動させる。
「魂装顕現『覇王の金棒』」
「ぶっ飛びやがれ」
出現した金棒をエルクスに向かって力の限り振るう、その勢いに耐えきれず血を吐きながらエルクスは吹き飛び壁に激突する。
「いいぞいいぞ!その強さこそ私の求めるものだ!」
「古代より存在する大いなる闇の象徴よ、今ここに現れ給え『邪神剣ガヌラ』」
邪神剣ガヌラ。いつから存在していたのか未だに判明してない最凶最悪の剣。手にした者は絶大な力を手に入れるのだとか。
見た瞬間に分かってしまった、あれはこの世界に存在すべきものではないと。
「蒼炎牢・改!轟雷落とし」
蒼い炎の牢を作りエルクスを閉じ込め雷を直撃させるが彼は表情を変えずにこちらへと向かってきた。必死に応戦するが防ぎきれず腕を肩ごと切り落とされてしまう。
「終わりだな、アトラー」
「終わらせねぇよ!結界魔法『聖炎神殿』」
次の瞬間巨大で神々しい神殿が現れ淡い光を放つ。気がつくと落とされたはずの腕がいつの間にか再生していた、この力は勇者の⋯⋯そう思いながら俺は意識を失った。
「魔王エルクス!これでも喰らえぇ!」
勇者は相応しいと判断された時、場所でしか聖剣を含む武器を扱うことができないがその理をついさっき変えさせてもらった、そして光属性に変質させた闇の魔力をたっぷり込めた聖剣とまではいかないが十分強力な武器だ。
「偽聖剣ムラマサノツルギ」
「邪神剣術奥義『冥界割り!』」
耳を貫くような轟音が響き渡り土煙が上がりしばらくするとそれが晴れていった。
そこには膝をついて入るが無傷のアッシュと真っ二つになった魔王エルクスがたおれているので




