第1話 やり込んでいたゲームの世界に転生したっぽいです
新作です
なかなか見かけない属性のヒロインとのイチャコラをどうぞ!
第1話 やり込んでいたゲームの世界に転生したっぽいです
「何処だ?ここは?」
目を覚ますと知らない天井があった。昨日は確か突然悪化した持病の治療の為に病院で検査入院していたはず…ふと横に目をやると銀髪・銀眼で整った顔立ちをしているがどこか幼さの残る少年がこちらを見ていた。
「嘘だろ!?こいつはリュゼル?いやまさか…
世界的人気を誇るヴァルミル・クロニクル・ストーリー通称VCSの20作目にして歴代最高傑作と称されたゲーム、1000を超えるルート分岐に加え充実したストーリー、VCS専用ゲーム機が生み出す圧倒的グラフィック、そして組み合わせが1万通りを超えるほどのキャラパーツあらゆる要素が最高と言われた作品がVCS20だ。
そのゲームにおいて悪役貴族として登場するのがリュゼル・グレイだ。圧倒的実力を持ちそれでいて決して油断せず他人に対しては冷酷無比、僅か12歳で謎の死を遂げた父親の侯爵位を継ぎ領地を治め侯爵としてふさわしい振る舞いを周囲に求められるうちに心を殺した悲劇のキャラだ。
父親の死の真相を知った彼は闇属性の魔法を極め王家を滅ぼそうとするが失敗、あらゆる√で処刑、暗殺などの方法で死に死亡率9割超えのキャラとして話題となった。
「よりにもよってリュゼルかよ、作中最強クラスになる分、名無しのキャラよりはまだマシか?。」
確かにリュゼルの死亡率は9割超えだ、だが決して救済ルートが無い訳ではない。主人公が通う魔法学園で同じクラスになるためプレイヤーの選択次第で彼の心を開くことができれば親友となり魔王戦での共闘が可能になる。
「とりあえず情報集めだ、あれだけはは絶対阻止しないとな」
「とりあえず今、俺が何歳なのか知らないとな見た目的には10歳ぐらいか?」
そんなことを考えていると部屋のドアが叩かれる音がした、「坊ちゃま、誕生日パーティーのご準備が出来ました。」
「分かった、今行くよ」
今の声はクラウスか、ゼガルドが殺された後もリュゼルに仕え続けリュゼルと最期を共にした忠臣か…大切にしないとな
「坊ちゃまが産まれてもう10年ですか…感慨深いですね。私も大分歳をとったものです。」
「俺が当主になっても支えてくれよ?爺」
「もちろんそのつもりでございます、この老骨グレイ家に骨を埋めるつもりでこれからも仕えさせていただきます。」
そんなことを話しているうちにあっという間に食堂に着いた。
「「誕生日おめでとう、リュゼル。」」
「誕生日おめでとうございます、お兄様。」
「ありがとうございます、父上、母上。ありがとうレアナ。」
「これは、誕生日プレゼントだ。この国の貴族には自分の子供の10歳の誕生日に剣を贈るのが習わしでな、俺からはこれを贈らせてもらうぞ。」
そう言ってゼガルドは鞘に入った剣を取り出した。
「この剣はな、我が領の職人が高純度のミスリルと魔鉄鋼の合金を使い作った物だ。少々特殊な魔法の術式が組み込まれていてな、まぁ試してみれば分かる。」
そう言いながらゼガルドが俺に剣を渡してくる。
「ありがとうございます父上、刀身を出してみてもよろしいでしょうか?」
「あぁ、良いぞ。」
その剣を一言で表すならば、美しいその一言に尽きた。
ミスリルの銀色と魔鉄鋼の黒色が程よく混ざった色合いで美しい光沢を放っていた。
「凄く綺麗な剣ですね」
思わずそう呟いてしまう程その剣は美しかった。
「そうか!それは良かった!質のいいミスリルと魔鉄鋼を国中を探したかいがあったと言うものだ。それとリュゼルお前専属の護衛を付けることにした2年後の学園入学の際にもついて行ってもらうからな、今から中を深めておくといい。」
「分かりました、父上。」
護衛か、おそらくシオンとミリアの2人だろうな。
シオン・ヴェリステッド、グレイ家の魔法兵団の団長を父にもち火と風の属性に適性を持つ少年。ゲーム本編ではリュゼルに仕える無口な従者として出てきていた。
ミリア・クラウザ、シオンの父がゾルフェイド魔法兵団の団長であるのに対しミリアの父は、ルナソレイユ騎士団の団長を務めている。
魔法適性は、土属性のみだが剣士としての才能がある。
この2人もほぼ全てのルートでリュゼルに仕え続けゲームの主人公に倒される最期を迎える報われないキャラであった。
「お前達、入って来ていいぞ」
「「はっ、はい!失礼致します!。」
少し緊張しているのか上ずった声が聞こえ、、。少年と少女が部屋に入ってくる。
「は、始めまして、シオン・ヴェリステッドです、リュゼル様の護衛としてリュゼル様をお守りできるよう精一杯務める所存です。」
「始めまして、リュゼル様私はミリア・クラウザと申します。貴方様の護衛に選ばれたこと、大変光栄です。」
2人が礼をし挨拶をしてくる、ゲームで見ることができ無かったは物語の裏を見れなかったのでなんだか嬉しくなってしまう、最もリュゼルは主人公ではなく悪役キャラなのでそこまで焦点が当たらないのも当たり前と言えばそれまでなのだが。
「始めまして、リュゼル・グレイです。これからよろしくお願いします。」
「無事に挨拶も済んだな、これからこの2人にはこの屋敷で共に生活してもらう。」
「分かりました、父上。」
主人公と敵対する気は無いが万が一のこともあるこの2人の信用を得るのが一先ずの課題だな。
「さて挨拶は済みましたがこれからどうしましょうか?」
「そうだな、取り敢えずサビラ村の視察にでも行くか」
「サビラ村ですか?あの村に何かあるのですか?」
「最近、大雨が降ったろう?あの影響でサビラ村の畑が駄目になったんだよ。その復興を兼ねての視察だ」
実際本編開始前にこの領地が豪雨に見舞われたことは作品内でも触れられている、当主であるゼガルドは多忙であり対応が遅れてしまった。それが後々リュゼル死亡の原因の一つとなるのだ。
「なるほどそのような意図が早速準備させます出発は明日でよろしいですか?」
「あぁ大丈夫だ、さてと少し鍛錬してくるよ」
「お供いたします」
そう言って2人は鍛錬場へ向かう俺の後ろを着いてきた。
「結界魔法『闇闘技場闇闘技場』」
結界魔法とはその名の通り結界を生み出し相手と自分を分断した空間に閉じ込める限られた者にのみ使える高等技術である。ゲームの主人公陣営でも使える者は主人公を含め3人しかいなかった。
またその空間内で起こせる事象はそれぞれ異なっておりバフ・デバフ相手への攻撃と様々であった。
引き込まれるような黒色の空間がひび割れ崩れていく。
「ハァッハァッ、5秒が限界かまだまだだな」
結界魔法はその強力さ故に魔力の消費が激しい例え優れた魔法使いで結界魔法を使えるとしても発動タイミングを間違えれば奥の手どころか命を落とす要因となってしまう。
「その年齢で5秒も発動できる時点でかなり魔力量は多いはずですしそもそも10歳の少年が結界魔法を使える時点でだいぶ凄いんですけどね」
「そうね、貴方を見ていると少し自信を無くしてしまうわ」
「何だか申し訳ないですね、すみません」
「気にしないで下さい、我々が未熟なのは事実ですから」
「そうですよ、それにそろそろ良い時間ですし明日に備えて早めに就寝しましょう」
ベッドに入った俺は平和な未来への決意を改めてする。
使える魔法の使用感と体の動かし方には慣れた。さてこれからどうなるのかね。
未来への期待と不安を胸に俺は眠りについた。
この作品はカクヨムでも連載します
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