第九十九章:ストーンゴーレムの動かぬ決意
カラン——
相談所のドアが重々しく揺れた。
……だが、なかなか開かない。
「……よっと。」
誠が立ち上がり、ドアを押すと、ゴゴゴ……という音とともに、ようやく開いた。
「……ここが仕事を探せる場所か?」
低く響く、石が擦れ合うような声。
入り口に立っていたのは——巨大な岩の塊のような存在。
れながノートを開く。
「……ストーンゴーレムですね?」
「ああ。」
「お名前は?」
「ガルドだ。」
「ガルドさんですね。それで、本日はどんなご相談でしょう?」
ガルドは、ゆっくりとした動きで腰を下ろした。その衝撃で床が微かに揺れる。
「……俺は、動きが遅い。」
誠とれなが顔を見合わせる。
「遅い?」
「ああ……俺の体は岩でできている。そのため、何をするにも時間がかかるし、素早い仕事には向かない。今の時代、効率やスピードが求められる中で、俺に居場所はあるのか?」
ガルドは静かに拳を握る。
「俺はこのまま、ただの石像として朽ちていくのか? それとも、俺にもできることがあるのか?」
れなが頷く。
「つまり、ゆっくりでも、力強く役に立てる仕事を探しているってことですね?」
「ああ。しかし、そんなものがあるのか?」
誠がニヤリと笑った。
「あるじゃねぇか、ぴったりの仕事が!」
ガルドが興味を示すように、石の瞳をわずかに光らせた。
「……何だ?」
「建築の基礎職人になれ!」
ガルドの表情がわずかに変わる。
「建築?」
れなが頷く。
「ガルドさんの頑丈さと安定感を活かせば、建築の土台や重要な石材を作る職人として活躍できるわ! 建築には、何百年も持つような強い基礎が必要だから、あなたの力が求められるはず!」
誠がさらに補足する。
「最近は、伝統的な石造りの建築や、耐久性の高い建築が見直されてるしな。お前がやれば、『動かぬ職人』として業界のレジェンドになれるぞ!」
ガルドはしばらく考え込んだ。そして、ゆっくりと頷いた。
「……なるほど、それは確かに俺にしかできない仕事かもしれんな。」
そして、拳を強く地面につけ、誓うように言った。
「よし、俺は建築の基礎職人になる!」
結果:ストーンゴーレムの新たな道
数ヶ月後——
ガルドは、「ガルド・ストーンワークス」という建築石材の職人チームを立ち上げ、頑丈で美しい石材を作る職人として活動を始めた。
彼の作る石材は「何百年経っても崩れない究極の建築素材」と評され、多くの歴史的建築やモニュメントに使用されるようになった。
「俺の遅さは、ただの欠点じゃなかった。今は、長く残るものを作るためにある。」
届いた手紙には、そんな言葉が書かれていた。
「さて、次はどんなモンスターが来るかな?」
相談所のドアが、再び静かに開かれる——。★




