第九十六章:ネクロマンサーの死者との対話
カラン——
相談所のドアが開いた——が、冷たい空気が流れ込むばかりで、誰の姿も見えなかった。
「……ここが仕事を探せる場所か?」
低く響く、不気味な声。
誠が顔を上げると、いつの間にか黒いローブをまとった男がそこに立っていた。彼の周囲には、影のようなものがゆらめいている。
れながノートを開く。
「……ネクロマンサーですね?」
「ああ。」
「お名前は?」
「モルテスだ。」
「モルテスさんですね。それで、本日はどんなご相談でしょう?」
モルテスは、静かにローブの袖を揺らしながら言った。
「……私は死者を操ることができる。」
誠とれなが顔を見合わせる。
「死者を?」
「ああ……かつては、戦場で死んだ者たちを蘇らせ、戦わせる役割を担っていた。だが、時代が変わり、私の力はただ恐れられるだけのものになってしまった。」
モルテスは暗いフードの奥で静かに目を閉じた。
「私はこのまま、ただ忌まれるだけの存在なのか? それとも、私にもできることがあるのか?」
れなが頷く。
「つまり、死者と関わる能力を活かせる仕事を探しているってことですね?」
「ああ。しかし、そんなものがあるのか?」
誠がニヤリと笑った。
「あるじゃねぇか、ぴったりの仕事が!」
モルテスが興味を示すように、ローブの下の手をゆっくりと動かした。
「……何だ?」
「心霊調査官になれ!」
モルテスの影が微かに揺れる。
「心霊調査官?」
れなが頷く。
「モルテスさんの死者と対話できる能力は、超常現象の解明に役立つわ! 心霊現象を科学的に調査する仕事なら、あなたの力が大いに活かせるはず!」
誠がさらに補足する。
「最近は、幽霊や怪奇現象の研究が盛んになってるしな。お前がやれば、『死者の声を聞く調査官』として、超常現象の世界に革命を起こせるぞ!」
モルテスはしばらく考え込んだ。そして、ゆっくりと不気味な笑みを浮かべた——だが、それは恐怖ではなく、どこか安堵のある微笑みだった。
「……なるほど、それは確かに私にしかできない仕事かもしれんな。」
そして、影をまといながら、誓うように言った。
「よし、私は心霊調査官になる!」
結果:ネクロマンサーの新たな道
数ヶ月後——
モルテスは、「モルテス・オカルトリサーチ」という心霊調査機関を立ち上げ、各地の超常現象を科学的に検証し、未解決の怪奇事件を解明する仕事を始めた。
彼の調査は「ただの怪談ではなく、真実に迫る研究」として評価され、数々のミステリー番組や学者たちの間で話題になった。
「私の力は、ただの呪われた術ではなかった。今は、死者の声を届けるためにある。」
届いた手紙には、そんな言葉が書かれていた。
「さて、次はどんなモンスターが来るかな?」
相談所のドアが、再び静かに開かれる——。★




