第九十一章:時間を操るモンスターの行き詰まり
カラン——
相談所のドアが開いた。
……のではなく、時間が一瞬止まった。
誠がまばたきをした瞬間、いつの間にか部屋の中央に黒いローブをまとった男が立っていた。
「……ここが仕事を探せる場所か?」
低く響く、落ち着いた声。
れながノートを開く。
「……時間を操るモンスターですね?」
「ああ。」
「お名前は?」
「クロノスだ。」
「クロノスさんですね。それで、本日はどんなご相談でしょう?」
クロノスはゆっくりと、時間の流れを支配するかのように手をかざした。机の上の時計が、一瞬だけ逆回転する。
「……私は時間を操ることができる。」
誠とれなが顔を見合わせる。
「時間を?」
「ああ……私は過去を見返し、未来を予測し、時を止めることすらできる。しかし、この時代において、その力をどう使えばいいのか分からない。」
クロノスは静かに息を吐いた。
「私はこのまま、ただ時間を見守るだけの存在なのか? それとも、私にできることがあるのか?」
れなが頷く。
「つまり、時間を管理したり、活かしたりできる仕事を探しているってことですね?」
「ああ。しかし、そんなものがあるのか?」
誠がニヤリと笑った。
「あるじゃねぇか、ぴったりの仕事が!」
クロノスが興味を示すように、わずかに時間の流れを遅くした。
「……何だ?」
「時間管理のコンサルタントになれ!」
クロノスの目が鋭く光る。
「時間管理?」
れなが頷く。
「クロノスさんの時間を見極め、最適な流れを作る能力があれば、企業や個人のタイムマネジメントを支援する最高のコンサルタントになれるわ! どんなビジネスマンも、時間を有効に使いたいと思っているものよ!」
誠がさらに補足する。
「最近は、時間管理のテクニックや生産性向上が重視されてるしな。お前がやれば、『時間を制する男』として、企業やトップクラスの経営者から引っ張りだこになるぞ!」
クロノスはしばらく考え込んだ。そして、ゆっくりと時の流れを通常の速度に戻しながら、微笑んだ。
「……なるほど、それは確かに私にしかできない仕事かもしれんな。」
そして、腕を軽く振ると、壁の時計がぴたりと正確な時刻に合わされた。
「よし、私は時間管理のコンサルタントになる!」
結果:時間を操るモンスターの新たな道
数ヶ月後——
クロノスは、「クロノス・タイムマネジメント」を立ち上げ、企業の時間管理を専門に扱うコンサルタントとして活動を開始した。
彼のアドバイスは「時間を最大限に活用する究極の指南書」として話題となり、数々の成功者や経営者が彼に助言を求めるようになった。
「私の力は、ただ時間を弄ぶものではなかった。今は、人々に最高の時間の使い方を教えるためにある。」
届いた手紙には、そんな言葉が書かれていた。
「さて、次はどんなモンスターが来るかな?」
相談所のドアが、再び静かに開かれる——。★




