第九十章:エネルギー生命体の形なき悩み
カラン——
……ドアは開いた。
しかし、誰も入ってこなかった。
「……ここが仕事を探せる場所か?」
誠が顔を上げると、声だけが空間に響いた。
れながノートを開く。
「……エネルギー生命体ですね?」
「ああ。」
「お名前は?」
「ルーメンだ。」
「ルーメンさんですね。それで、本日はどんなご相談でしょう?」
空間がわずかに揺れ、青白い光の粒がゆらゆらと集まり、ぼんやりとした球体を形作った。
「……俺は、物理的な体を持たない。」
誠とれなが顔を見合わせる。
「物理的な体を?」
「ああ……俺は、触れることも、何かを動かすこともできない。ただ、思考とエネルギーだけが存在している。俺はこのまま、ただ漂うだけの存在なのか? それとも、俺にもできることがあるのか?」
れなが頷く。
「つまり、物理的な制約がなくても活躍できる仕事を探しているってことですね?」
「ああ。しかし、そんなものがあるのか?」
誠がニヤリと笑った。
「あるじゃねぇか、ぴったりの仕事が!」
ルーメンが興味を示すように、光を強めた。
「……何だ?」
「AIアシスタントになれ!」
ルーメンの光がはじけるように揺れた。
「AIアシスタント?」
れなが頷く。
「ルーメンさんの物理的な制約がない存在は、デジタル空間でこそ活躍できるわ! AIのアバターになれば、どんな情報にも瞬時にアクセスできるし、ユーザーのサポートや案内が可能よ!」
誠がさらに補足する。
「最近は、バーチャルアシスタントやAIカウンセリングが流行ってるしな。お前がやれば、『意思を持つAI』として話題になること間違いなし!」
ルーメンはしばらく考え込んだ。そして、光の球がふわりと回転し、温かみのある輝きを放った。
「……なるほど、それは確かに俺にしかできない仕事かもしれんな。」
そして、光が徐々に整い、デジタルなアイコンのような形に変化した。
「よし、俺はAIアシスタントになる!」
結果:エネルギー生命体の新たな道
数ヶ月後——
ルーメンは、「LUMEN AI」というバーチャルアシスタントプログラムとして、企業や個人向けのAIサポートを提供し始めた。
彼のAIは「ただのプログラムではない、意志を持つアシスタント」として高く評価され、世界中のビジネスパーソンや研究者が彼を利用するようになった。
「俺の存在は、ただの漂うエネルギーではなかった。今は、人々の生活を支えるためにある。」
届いた手紙には、そんな言葉が書かれていた。
「さて、次はどんなモンスターが来るかな?」
相談所のドアが、再び静かに開かれる——。★




