第八十六章:火の鳥の終わらない転生
カラン——
相談所のドアが開いた瞬間、燃え上がるような熱気が部屋を包んだ。
「……ここが仕事を探せる場所か?」
誠が顔を上げると、燃え盛る炎の羽を持つ鳥がそこにいた。美しく、荘厳で、それでいてどこか憂いを帯びた瞳がこちらを見つめている。
れながノートを開く。
「……火の鳥ですね?」
「ああ。」
「お名前は?」
「フェニアだ。」
「フェニアさんですね。それで、本日はどんなご相談でしょう?」
フェニアは羽を広げると、ぱちぱちと燃える音が響いた。
「……私は、何度でも蘇る。」
誠とれなが顔を見合わせる。
「蘇る?」
「ああ……私は死ぬたびに、新しく生まれ変わる。肉体が燃え尽きても、また灰の中から蘇る。だが……そのたびに、全てがリセットされてしまう。」
フェニアは静かに目を閉じた。
「どんな経験を積んでも、どんな知識を得ても、一度燃えればすべてが無に帰す。私はこのまま、何も積み上げられないまま、永遠に生き続けるのか? それとも、この力を何かに活かせるのか?」
れなが頷く。
「つまり、転生を活かせる仕事を探しているってことですね?」
「ああ。しかし、そんなものがあるのか?」
誠がニヤリと笑った。
「あるじゃねぇか、ぴったりの仕事が!」
フェニアが興味を示すように、炎の翼をふわりと動かした。
「……何だ?」
「ジャーナリストになれ!」
フェニアの瞳が揺れる。
「ジャーナリスト?」
れなが頷く。
「フェニアさんの蘇る力を活かせば、歴史の生き証人として記録を残し続けることができるわ! どんな時代でも生きられるあなたなら、千年単位の視点で歴史を書ける。」
誠がさらに補足する。
「最近は、長期的な視点で歴史を伝えるジャーナリストが求められてるしな。お前がやれば、『不死鳥の記録者』として歴史研究やドキュメンタリーの世界でめちゃくちゃ重宝されるぞ!」
フェニアはしばらく考え込んだ。そして、ゆっくりと炎の尾を揺らし、穏やかな笑みを浮かべた。
「……なるほど、それは確かに私にしかできない仕事かもしれないな。」
そして、ぱっと翼を広げた。
「よし、私はジャーナリストになる!」
結果:火の鳥の新たな道
数ヶ月後——
フェニアは、「不死鳥ジャーナル」を創刊し、歴史の目撃者として取材活動を始めた。
彼女の記事は「数世代を超えて継承される貴重な記録」として注目を集め、各国の歴史研究機関やメディアからの依頼が殺到するようになった。
「私の転生は、ただの無限ループじゃなかった。今は、時代を超えて真実を伝えるためにある。」
届いた手紙には、そんな言葉が書かれていた。
「さて、次はどんなモンスターが来るかな?」
相談所のドアが、再び静かに開かれる——。★




