第八十三章:キングハイドラのまとまらない意見
カラン——
相談所のドアが開くと、複数の声が一斉に話し始めた。
「……ここが仕事を探せる場所か?」
「いや、まず自己紹介をしよう!」
「早く座ろう!相談を始めるぞ!」
「でも、本当にここで解決するのか?」
誠が顔を上げると、そこには七つの首を持つ巨大なドラゴンがいた。
れながノートを開く。
「……キングハイドラですね?」
「そうだ!」
「ちょっと待て、俺が答える!」
「いや、まずは名乗ろう!」
「……お名前は?」
「ギガスだ!」
「違う、俺はオメガだ!」
「俺はバルゴだぞ!」
れながため息をつきながらメモを取る。
「つまり、全員でギガス=オメガ=バルゴさんですね?」
「うむ!」
「いや、違うだろ!」
「まあ、大体合ってる!」
誠が笑いながら頷く。
「それで、本日はどんなご相談でしょう?」
ハイドラの七つの首は一斉にしゃべり始めた。
「俺たちは、意見が合わない!」
「全員違うことを考えてしまう!」
「何か決めようとしてもまとまらない!」
「全員が同じ意見になることがない!」
誠とれなが顔を見合わせる。
「それで、何かやりたい仕事は?」
「戦場は嫌だ!」
「いや、俺は戦いたい!」
「力を活かせる仕事がいい!」
「でも平和的な仕事がいい!」
「誰かの役に立ちたい!」
誠は腕を組み、しばらく考えた。そして——
「あるじゃねぇか、ぴったりの仕事が!」
ハイドラの七つの首が一斉に誠を見た。
「……何だ?」
「トーク番組の司会になれ!」
ハイドラの瞳が輝いた。
「司会?」
「そんな仕事があるのか?」
「でも、どういうことだ?」
れなが頷く。
「ギガスさんたちの多様な意見と議論の絶えない性格を活かせば、ディベート番組の司会にぴったりよ! それぞれ違う視点を持ってるから、番組が盛り上がること間違いなし!」
誠がさらに補足する。
「最近は、討論系の番組やポッドキャストが人気だしな。お前たちがやれば、『最強のトークショー』として視聴者が大喜びするぞ!」
ハイドラの七つの首が一斉に考え込んだ。そして——
「……なるほど、それは確かに俺たちにしかできない仕事かもしれんな。」
そして、七つの首が一斉に頷いた。
「よし、俺たちはトーク番組の司会になる!」
結果:キングハイドラの新たな道
数ヶ月後——
ギガス=オメガ=バルゴは、「ハイドラ・トークショー」を立ち上げ、討論番組の司会者として活躍を始めた。
彼らの番組は「多角的な視点を持つ究極のディベート」として大ヒットし、政治からエンタメまで幅広いテーマで議論を繰り広げる人気番組となった。
「俺たちの多様な意見は、ただの混乱じゃなかった。今は、人々に新たな視点を提供している。」
届いた手紙には、そんな言葉が書かれていた。
「さて、次はどんなモンスターが来るかな?」
相談所のドアが、再び静かに開かれる——。★




