第八十一章:鬼(日本の伝説)の力強すぎる悩み
カラン——
相談所のドアが勢いよく開いた。
「……ここが仕事を探せる場所か?」
地響きのような低音が響く。
誠が顔を上げると、そこには赤い肌に角を持つ巨体の鬼が立っていた。全身の筋肉は鎧のように分厚く、握りしめた拳は一発で岩を砕けそうなほどゴツゴツとしている。
れながノートを開く。
「……鬼ですね?」
「ああ。」
「お名前は?」
「雷蔵だ。」
「雷蔵さんですね。それで、本日はどんなご相談でしょう?」
雷蔵は腕を組み、深く息を吐いた。
「……俺は、力が強すぎる。」
誠とれなが顔を見合わせる。
「強すぎる?」
「ああ……力が強すぎて、普通の仕事ができないんだ。物を運ぼうとしてもすぐに壊れるし、握手をすれば相手の腕が外れる。箸を持ってもバキバキに折れてしまう。」
雷蔵はふうっとため息をついた。
「俺はこのまま、ただ力を持て余すだけの化け物で終わるのか? それとも、俺のこの力を活かせる道があるのか?」
れなが頷く。
「つまり、力を活かせる仕事を探しているってことですね?」
「ああ。しかし、そんなものがあるのか?」
誠がニヤリと笑った。
「あるじゃねぇか、ぴったりの仕事が!」
雷蔵が興味を示すように顔を向ける。
「……何だ?」
「プロレスラーになれ!」
雷蔵の目がわずかに輝く。
「プロレス?」
れなが頷く。
「雷蔵さんの圧倒的なパワーとタフさがあれば、世界最強のプロレスラーになれるわ!観客は迫力のある試合を求めているし、あなたの力なら間違いなくヒーローになれる!」
誠がさらに補足する。
「最近はプロレスがエンタメとして大人気だからな。お前がリングに立てば、『鬼神レスラー』として話題になること間違いなしだ!」
雷蔵はしばらく考え込んだ。そして、ゆっくりと笑みを浮かべた。
「……なるほど、それは確かに俺にしかできない仕事かもしれんな。」
そして、拳をバキッと鳴らしながら力強く頷いた。
「よし、俺はプロレスラーになる!」
結果:鬼の新たな道
数ヶ月後——
雷蔵は、「レッドオーガー」というリングネームでプロレス界にデビュー。
彼の圧倒的なパワーと豪快なファイトスタイルは「鬼の一撃」と呼ばれ、瞬く間にファンの間で話題になった。
「俺の力は、ただの破壊のためじゃなかった。今は、人々に興奮と感動を与えるためにある!」
届いた手紙には、そんな言葉が書かれていた。
「さて、次はどんなモンスターが来るかな?」
相談所のドアが、再び静かに開かれる——。★




